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第4章 秋の戦い
第83話 まさかの
しおりを挟む試合は進んで、九回裏。
スコアは7ー4で龍宮がリード。
この回を抑えれば勝利である。
そして最終回のマウンドに上がるのは金子。
球数は150球を超えてるが、まだ交代していないのである。
「あれ? 俺の出番は?」
いや、六回辺りで交代の話は出てたんだけどね。
レオン、大浦、隼人の三者連続ホームランが飛び出して、もうちょい行けるかと。
そのままズルズルと九回まで引っ張ってしまった。
八回で自己最速の137キロ出した時は焦ったね。
アドレナリンで体がおかしくなってるんじゃないかと。
でも金子は体は疲れてるけど、指先の感覚が野球人生最高に調子良いとの事だったので、点差もあることだし続投となった訳だ。
イライジャに、二打席連続でツーランホームラン打たれてるけどな。
「まあ、試合の中でしか得られない経験というのもあるもんな。ここで完投してレベルアップして欲しいもんだ」
俺は八回らへんでベンチに引っ込んでる。
体を冷まさない様にはしてるけど、ほんとに出番が無さそうなので。
「球数が嵩んでるから、次の試合は俺が先発かな。休養が出来たとポジティブに考えよう」
そして、ツーアウトになり最終バッターはイライジャ。
三者連続ホームラン打たれて印象が悪いとはいえ、ポテンシャルは充分。
これから、東東京は苦労するねー。
西東京も魔境だけどな。
「はぁ~。せっかく、渚ちゃんが応援に来てくれたから良いところ見せたかったのにな。今日の主役は金子と清水先輩だな」
渚ちゃんは、次の試合も見に来てくれるのかな?
モデルのお仕事があるから、毎回来てくれる訳じゃないんだよなー。
応援に来てくれるだけありがたいんだけどね。
俺がしょぼくれてる間に金子がイライジャから三振を奪いゲームセット。
最後は137キロのストレートが綺麗に高めに決まった。
珍しくガッツポーズなんてしちゃって。
今日はイライジャにやられっぱなしだったもんな。
ってか、最終回で自己最速ってやばいな。
尻上がりにも程がある。
「うぇーい! お疲れさん! ナイス完投!」
「ありがとう。過去最高に疲れたけど、今までで一番楽しかったかな」
うむうむ。
それは良い事だな。
打線の援護があったとはいえ、イライジャに投げ勝ったのは良い経験にもなっただろう。
龍宮高校はこれで夏に続きベスト4進出である。
残り二つ。
油断せずに勝ちきって、センバツを確定させたいな。
まあ、ここまで来たら東京代表が神宮で勝ってくれたらワンチャン選ばれる可能性もあるけど。
龍宮高校は選ばれないだろうね。
頭髪等で高野連に喧嘩売ってるし、実際ネットやテレビでも老害が苦言を申し上げてるし。
ルール違反はしてないから良いじゃんね。
なんで老害は、自分がやられた事を下の人間に強要したがるのか。
髪の毛をどうこう言うなら、未だに蔓延ってる体罰とかをなんとかしろよな。
と、まあ愚痴になってしまったが、勝てば良かろうなのだ。
秋季大会で優勝して、文句無しの成績を叩きつけて甲子園に殴り込んでやる。
応援ありがとうございます!
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