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第6章 春到来
第120話 初戦の相手
しおりを挟む甲子園での練習。
短時間だけだけど、なんか体がふわふわしてる感じがする。緊張してる訳じゃないんだけど。なんなんだろうな、これは。
「テンションが上がりまくってるのかもな。なんだかんだ高校野球の聖地だし」
「これが甲子園の黒土かー」
阪神園芸さんのスーパー整備により、綺麗に整えられたグラウンド。
多少の悪天候でも、しっかり整備して気持ちよくプレーさせてくれるのは流石としか言いようがないな。
「マウンドはこんな感じかー。プロになると当たり前にここで投げられるんだよなぁ」
セ・リーグに選ばれたらだけど。パ・リーグに行ったら交流戦でしか当たらないし。
因みに俺の第一志望はパンサーズだ。父さんの古巣だし、移動も都内なら楽だもんね。
もう一つの東京の人気球団はね…。
あの規律だらけなのは勘弁して欲しいから、出来れば嫌だなぁって。わがままで申し訳ねぇ。
ってか、紳士たれとか言ってるくせに、賭博やら女性問題やらと結構やらかしてるよね。
パ・リーグは出来れば嫌だなぁ。あっちこっち行かないとだし。DHがあるから、俺はそっち向きだと思うんだけどね。……誰が自動アウトじゃ。
「しっかり沢山の所から指名してもらう為にも、活躍しないとな。レオンに指名数負けたくないし」
打てる打者の方が人気かなぁ?
それ以上のインパクトを残せる様にしないと。
「一回戦の相手は龍山大や。京都の強豪校やな」
「ガッデム。初戦から近畿勢は勘弁して欲しかったのに」
「ほんまにな~」
一回戦の相手は京都の龍山大に決まった。
龍対決になったな。龍宮と龍山。
カッコ良さでは互角か。
甲子園は兵庫にあるからか、近畿勢の応援が凄い印象がある。
近いし、応援しておこう的なノリなんだろう。
体験はした事ないけど、甲子園の応援は他とは全然違うらしいからな。
「父さんが言ってたけど、甲子園はそこらのアウェーとは別物らしい。多分俺達は洗礼を受けるんじゃないかな」
ヤジとか凄そう。甲子園大好きのおっちゃん達に俺達のウケも悪いだろうし。
あの人達は礼儀正しい、THE・高校球児を求めてるからね。
「初日じゃなくて良かったな。3日目やから、そこそこの人はおるやろうけど、初日程じゃないはずや」
初戦の先発はエースのキャプテン。
公式戦の復帰戦で、甲子園の近畿勢。
中々ハードな展開になってしまったな。
「一応、五回ぐらいを目安に投げて貰うで。そこからは点差次第やな。続投かスイッチか。スイッチするにしても、豹馬を出すか、金子を出すか。その時の展開次第やから、準備はしっかりしといてくれ」
「いえっさー!」
「わかりました!」
楽しみだなぁ。初戦に出番あるのかは謎だけど。
打線がいつも通りの活躍してくれれば、それなりに点差は開くと思うんだよね。
「打線はとりあえずいつも通りのメンバーでいく。大量点差がついたりしたら、交代もするやろうけどな。雰囲気に慣れて貰わんと、大事な場面で使えへんし」
うーん。もし僅差になるとすれば、キャプテンとか、打線が甲子園の応援に呑まれて萎縮するって感じだと思うんだけど。
俺は周りをぐるりと見て、龍宮メンバーをみてみる。うんうん。
「タイガぐらいかな。緊張して馬鹿しそうなのは」
ウル、レオン、隼人は緊張感皆無。
ウルは楽しそうだし、レオンは化け物だし、隼人は緊張してもそれを力に変えるタイプだ。
じゃないと、あんなにチャンスでバカスカと打てないだろう。
タイガ君はねぇ。俺にはツンケンした態度取るくせに、かなりの緊張しいだからな。
キャプテンが上手くフォローしてくれるだろう。
一応、後で両方と話をしておこうか。
「俺、4番のチビとか書かれてるっす!」
大浦君はなんでチビって言われて嬉しそうなのかな? 馬鹿にされてると思うんだけど。
エゴサで自分が出てくるのが嬉しい? そうですか。気持ちは良く分かります。
試合が終わったら小さな怪物とか言われるようになるんじゃないかな。
楽しみだね。
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