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第6章 春到来
第156話 VS桐生8
しおりを挟む六回表。キャプテンはランナーを一人出したものの、後続を抑えて無失点。
そして、とうとう最後の一球で球速150キロを計測した。最後の力を振り絞った感あるよね。
「まだ投げれたんだけどね。まあ? 球数も嵩んできてるし? 後は仕方なく豹馬に託すよ」
面倒な状態が続いているキャプテンはここで交代を命じられていた。
強かってるけどかなり息が荒い。桐生が相手という事で神経を消耗させていたんだろう。もしかしたら最後の一球もかなり無理して投げたかもしれない。ハイになって体の異変に気付かない事もあるしね。
「わはははは! 後はこの三波にお任せを! 残り三回をピシャリと抑えてやりますよ!」
「俺が投げても抑えれたけどね!」
いや、既に120球を超えてるんだよなぁ。
これ以上は怪我の可能性もあるわけで。そんなに駄々こねないでください。
監督も苦笑いしてらっしゃいますよ。可能なら投げさせてやりたいとか思ってるんだろうな。
「なんや、豹馬二人になったみたいやな」
違った。そこはかとなく馬鹿にされてる。
顔に面倒って書いてあるもん。俺も流石にここまでは駄々こねませんよ? 監督様の決定には文句なく従ってるじゃないですか。たまに無言の抗議をする事もあるけどさ。
六回裏。
相手エースもここで球数を100球超えて、ツーアウトからウルにヒットを打たれて出塁を許したが、タイガを三振に抑えて、なんとか望みを繋ぐ。
「桐生高校よ。全ての希望を捨てよ」
俺がその望みを断ち切ってやろう。
圧倒的なピッチングを見せてやる。
七回表。投手交代が告げられて、俺の名前がコールされると甲子園は大歓声。
なんかちょびっとブーイングが聞こえたようか気がしたけど、無視する事にする。
「肩軽っ。絶好調すぎて怖い」
マウンドで投球練習をしてるんだけど、ブルペンの時と感覚が違う。
俺も決勝のマウンドでテンション上がってるんだろうか。
「ちょっと落ち着こう。こういう時こそ、平常心で挑まないとな」
投球練習が終わり深呼吸を繰り返す。
絶好調なのは良い事だけど、たまにその調子に振り回される事もあるからな。
「うーん。流石俺」
先頭バッターへの初球。アウトコースへのストレートが153キロを計測した。
タイガの構えた所にズバンと糸を引くように決まり、思わず自画自賛してしまう。
そしてその後、チェンジアップ2球であっさりと空振り三振を奪ってワンアウト。
「ストレートだけのピッチャーじゃありませんので」
なんならこの甲子園で、まだツーシームを投げていない。あれは既に魔球レベルだからな。
俺の切り札と言ってもいい。この試合では投げる機会があると思うが。
続く打者をショートゴロとファーストフライに打ち取り、あっさり三者凡退。
ストレートは最初の1球以外投げていない。
「桐生高校よ。全ての希望を捨てよ」
「それ気に入ってるの?」
うん。なんか強キャラっぽいでしょ。
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