異世界に転生したので裏社会から支配する

Jaja

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第3章 勢力増強

第81話 擬似・スタンピード

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 ☆★☆★☆★

 「そら! 行くっすよ! 好きなだけ暴れてこいっす!!」

 アハムは味方からの合図に呼応して、目の前の恐竜達に指示を出す。

 「城壁まで一直線っすよ!」

 駆け出したトリケラトプス、ティラノサウルス、ステゴサウルスなど様々な種類の恐竜が城門に突っ込む。
 しかし、そこは辺境の街を長年守ってきた城壁である。15体ほどの恐竜が突撃しても一度は耐えた。
 そして慌てて城門から衛兵と冒険者が出てくる。
 恐らく遠目から魔物が迫ってきてるのを見て招集しておいたんだろう。

 「んー。俺の役目はこれで終わりなんすけど…」

 アハムと情報部の数名は遠目から必死に対抗している人を見ながらこれからの行動について考ええる。ボスからのミッションは既に達成してある。
 なので何もする必要はないっちゃないのだが。

 「下水道から縄張りに戻るっすよ。騎士団長がどう動くかも気になるっすし」

 アハムは真面目なので、他の仕事を探すために縄張りに戻る事にした。
 仕事がなければ仕事を作る。
 立派なワーカーホリックである。

 ☆★☆★☆★

 「グルォオオオオオ!!」

 「なんだ!?」

 「発勁・浸透掌」

 「ぐはっ!!」

 魔物の雄叫びに気を取られた瞬間に狙ってもう一度体の内側にダメージを与える。
 おお。吐血したぞ。俺も中々やるじゃないか。

 俺の保険。それは契約した深層の恐竜共を街にぶつける事だった。
 いやぁ。契約にはかなり苦労しましたよ。ただでさえ複数人でしか倒せないのに、契約して手下にするなんて。それも15体。一週間ちょっと掛かったからね。多分今回の襲撃で死ぬだろうけど。

 ほら。守るべき民が襲われそうになってますよ。
 帝国の騎士団長さんなら助けに行かないと不味いんじゃないですか。

 「くそっ! 何がどうなってる!」

 「あれもあなたの仕業なのかしらぁ?」

 「ゴドウィンには勝てないだろうなぁって思ってたからね。保険だよ」

 アンジーがコソッと聞いてくる。
 ここからでも遠目に姿が見えるし、魔物の雄叫び、一般人の悲鳴が聞こえてくる。
 今回の騒動で多分、一般人に被害が出る。
 申し訳ないなと思うけど、民を犠牲にしてでもアンジーが欲しかった。
 俺もだんだんクズの道を歩き始めたな。

 表向きは深層の魔物が攻めてきて、俺達の関与はバレないようにしてあるけど。
 まぁ、誰も深層の魔物を使役出来るなんて思ってないから、多分気にされる事もないだろう。

 「あーあー。一般人にも被害が出るだろうなー。先に退散した騎士や衛兵も駆り出されて死ぬんだろうなー。帝国の騎士団長様がこんなところで油売ってるせいで死んじゃうんだろうなー。可哀想にー」

 「こ、こいつっ!!」

 さっさと退散してもらうために煽る。
 ゴドウィンは雑に大剣を振ってきたけど、それを軽く避けて更に煽る。

 「なんの為の騎士団なんだろうなー。俺ってば口が軽いから色んな所で言いふらしちゃうかもー。帝国最強って呼ばれてるくせに騎士団長様は守るべき民を見捨ててスラムでチャンバラしてたってー。平民からは恥晒しとか言われるんだろうなー」

 「うふふ。帝国の貴族は平民の事なんて気にしないわよ。影でなんと言われようが上辺だけ褒められればそれで満足なんだから。恥ずかしいわよね。表では帝国最強って持て囃されて、裏では平民から戦場にすら向かわなかった恥晒しって言われるんだもの。あなたの派閥争いにも影響がありそうね?」

 アンジーは俺の意図を理解したのか、俺に乗っかって一緒に煽る。
 ゴドウィンの顔は茹で上がったタコみたいになってるけど、何も言い返さない。

 「ほら。まだチャンバラするんでしょ? この領の民が全員死ぬまで付き合ってあげるよ。あんたの妹と甥っ子は処刑されるだろうけど」

 最後の言葉が決め手だったのか、ゴドウィンは一度大きく深呼吸してこちらを睨み付け、足早にレーヴァンの縄張りから去っていった。

 「ふひぃー。とりあえずなんとかなったな」

 「お疲れ様です」

 「あらあら? あなた良く見たらエルフじゃないの。人間に付き従ってるなんて珍しいわね? そういえば領主がエルフを探してるって言ってたような気がするわねぇ。あなたの事かしら?」

 俺、カタリーナ、アンジーはその場に座り込む。
 調子に乗って煽ってたけど、俺達は結構ギリギリだったからな。

 「その辺の事も説明するけど、とりあえずはこの後の事についてだな」

 「そうねぇ。あれはこの付近の深層って呼ばれてる所の魔物かしら? どうやって操ってるのかはさておき、そんなに時間稼ぎにはならないんじゃないの? この領地には冒険者が山程いるんだし。中には深層で狩りをしてる上級冒険者もいるでしょう?」

 「ほとんどいないよ。商人に依頼を出させて高額で他領の護衛に行かせてるからな」

 その辺に抜かりはない。
 かなりのお金を使ったがレーヴァンを手に入れられるなら安いもんだ。
 だから、今この領地であの魔物に対抗出来るのはゴドウィンとクトゥルフ、レーヴァンの上澄みだけだろう。

 「流石のゴドウィンもあれをほとんど一人で相手するのは骨が折れるだろう」

 「なるほどねぇ」

 そこで深手でも負ってくれたらいいんだが。
 軽傷だったらまたこっちに攻めてくるだろうし。

 「深手を負ってくれるのを祈りつつ、それが無理っぽかったら、今度はこっちから攻める」

 流石にあれを相手した後ならそれなりに体力も消費して弱ってる事だろう。
 俺達と戦って恐竜と戦って更にもう一回俺達と。
 これで勝てなかったらお手上げだな。
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