GOD SLAYER’S

猫乃麗雅

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― 第四章・西陸行路 ―

第178話 虚を突かれて

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ミーノン軍の約半数が、東西南北の“大通り”を進んでいく。

都の中央に在る城を目指して……。


それは昼時のことだった。

行軍を中断して、前もって準備していた簡易的な食事を摂ろうとしていた“西側の隊”の所へ、かなりの速度で神々が飛来したのである。

この[西の隊]には、総大将たる利通としみちが居た。

敵は、上級が一柱/中級が四柱/下級が五百柱である。

まさか神どもが打って出るとは思いもよらなかったミーノンの兵士らが浮き足立つ。

そんな先頭集団へ、魔法陣を構築した敵達が、白い【光線ビーム】を乱射した。

素早く【結界】を張って防いだ者たちもいれば、間に合わず死傷していく人間やサーヴァントも見受けられる。

(よもや捨て身になるとは…、ぬかったわ!)

〝ギリィッ!!〟と歯軋りした[武術マスター]が、愛馬に跨り、

「沿道の兵らは、近隣住民を守りながら、安全な場所まで非難させよ!」
「それ以外は、連中に掛かれぇいッ!!」

かように申し渡した。

これに応じて兵らが慌ただしく動いていくなか、[護衛隊]が利通の周囲を固める。

【剣士】であろう女性の一人が、武術マスターの左側から、

「まるで、ここに国主様が居るのを分かっていて、襲撃してきたかのようですね。」
「もしや、内通者が存在していたのでしょうか??」

との疑問を投げかけた。

「いや、その可能性は低いじゃろうな。」
「この国に住まう者の多くは、神々からの解放を望んでおるようじゃからの。」
「考えられるのは、“西の門”を護っておった神が知らせたか……、王が予め斥候を放っておったかの、どちらかじゃろう。」
彼奴きゃつは、儂と相まみえた時に、容姿などを記憶しおったじゃろうからな。」
「儂の特徴を、部下に伝えておったに違いない。」
「ま、なんにせよ、返り討ちにするまでじゃ!」

そう述べた利通が、宙に浮く敵どもを睨み付ける。

ちなみに、“ミーノンの国主”は、紺色の道着に、はがね製の額当て/肩当て/胸当て/肘当て/籠手/膝当て/足の甲と一体化している脛当てを、装備していた。

左の腰には[曲刀短剣]を帯びているようだ…。


一方、本隊から割と前の位置で休憩していた[ゴッド・スレイヤーズ]も対応に追われていた。

機械馬きかいうまやトライクは、ブレスレットに収納したたまにしておいてください。」
「現状では小回りが利かず、戦いづらくなるだけですから。」
「それよりも、まずは陣形を整えましょう。」
「いいですね? 紫蓮しれん。」

タリアノの案に、

「ああ、勿論だ。」

頷いたリーダーが、

「皆、急ごう。」

仲間を促す。

「おうよ!!」

「ええ!」

「了解です!!」

「はい!」

といった具合に答えたメンバーが、行動に移していく。


混乱に陥る街の上空にて、

「見つけたぞ、老いぼれめ。」
「必ずや、息の根を止めてくれようぞ。」

武術マスターを視界に捉えて呟いた王が、

「総大将さえほふれば我らの勝利ぞ。」
「手筈どおりに致せ!!」

配下の神々に命令したのだった―。
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