異世界コンビニ

榎木ユウ

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2巻オマケ

心配

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 いつものサクラ亭。

「ソラちゃんに指輪を買いに行こうと思うんだ」
 酒も進んで、暫く経った頃、デレデレと幼馴染が顔を緩めながら、そう呟いた。
 指輪を付け合う習慣は、プルナスシアにもある。恋人同士で互いにはめあい、将来の約束を誓うのだ。元は日本から伝わった慣習らしいので、元である日本でも指輪の意味はやはり重いものだろう。
 その指輪を、幼馴染が買いに行くと言う。

「……」

「ソラちゃん、そんなに派手なのは好きじゃないから、シンプルで、だけどピンク色の石がついたのなんか可愛いと思うんだよね」
「……」
「えへへ。やばい。顔が緩む」
 締まりのない幼馴染の顔は、正にこの世の春といったところか。

 マスターは珍しく甘いカクテルをアレイに無言で差し出そうとした。
 どうやらマスターなりの祝い酒のつもりらしい。
 しかし、ジグはそれを制してアレイに問いかける。
「とりあえず、お前ら、つきあってるんだよな?」
 そうであってくれ、と思いながら尋ねれば、幼馴染は気持ち悪い程モジモジとしながら言う。

「まだ言ってないんだ〜。いつ言おうか迷っててさ……」


 マスターは無言で甘いカクテルを自分で飲み干していた。ジグも無言で麦芽酒のお代わりを頼んだ。

 
 つきあってもいないのに、指輪の心配とか、幼馴染の頭の方が心配だ。
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