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【38話】 リリアモデルのファンクション
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「やれやれ… 有名人って大変なのね…」リリアは椅子にすわって一息。
リリアモデルの勇者装備セットを装着し、各情報紙の記者のインタビューに愛想を振りまいていたリリアはようやく休憩。商人ギルド・リアルゴールドの呼んだ記者さんと準備された予定調和的な答弁が終わったところ。リリアちゃんも有名人の仲間入り気分。
外部の人間へのリップサービスはここまで、この後は関係者でリリアモデルの説明と契約内容についての説明があるらしい。
記者の中にはピエンもいた。ピエンはリリアの番記者になっている。リリアもピエンなら他社より多めにオフレコを効かせてもよい気分。
勇者管理室の名でディルも一緒に来ていた。相変わらずの堅物でリリアが管理室への相談なしに契約したことを注意していたが、今回は国もリリアもイメージアップにつながるようなので、事後承諾を許可。
「あれほど、言っていますから今後は十分気を付けてください」とディルはいつもの感じ。
「評議会も近いです。勇者として給料を支給されたいならくれぐれも品行方正に」と付け加えて帰って行った。
“あいつ今度はグーで殴ってやろうか…” リリアは思う。
リリアモデルはかっこよい!リリアは着てみて一言
「わお!」
さすが、戦略商品のフラッグモデル。女神ヴァルキリーの装備を模した、ハーフフェイスヘルメットとグレイとシルバーの中間色、サテン調が今どきでおしゃれな鎧。所々に入る青いストライプが映える。重装備苦手なリリアだが、思ったより重くない… っていうか、ちょっと露出高すぎない?おしゃれだけど、結構怪我しそうですよ、これ…
胸元がだいたんにオープンだがリリアの豊かなお胸もお尻もきつくない、さすがさすが。
「胸とお尻の部分に関して販売モデルは一般人向けになります」だって。
そりゃそうよね、リリアのゴージャスバディを一般人に求めるのは酷ってやつよね。
これに同じ色調の盾、剣がついている。どちらも勇者っぽくかっこいい。
ヘルメット、鎧、剣、盾、どれにもリアルゴールドとハンズマンのロゴが何気なく入っている。
“これを着て街を歩くのね、リリアってば、男の視線を釘付けにし、子供達に憧れの視線を送られ、同性からは嫉妬とも羨望ともつかない複雑な視線で眺められるのね!キャー!サイン責めよ!男が数多言い寄ってくるのよ!セレブと玉の輿! あ、嫉妬している女性達もちゃんと必要に応じて助けてあげるわ。勇者リリアは正義の味方。同性の嫉妬なんか気にもしないの。リリアちゃんの胸と器は一際大きいのよ”リリアはデレデレしている、おめでたい人。
難点はまずマント、真紅のマント。
「マントは勇者の必須アイテムです」だって。そうなんだろうけど、実際は実用的ではない、リリアは着けて動きまわってみたが、やはりリリアには合わない。
盾も重い。技術の結集でかなり軽量化されているらしいのだが、それでもリリアには取り扱いが難しい。うーん、今後剣盾技術練習が必要。
そして剣、これが最大の不安… ある意味実戦において剣が難点って実用として最大の欠点。
まず、グレートソードと呼ばれる類で、完全に両手で扱う設定となっている。
「大きな剣が勇者必須アイテムです」だって。そうなんだろうけど…
盾を持つため絶対片手が塞がるのに、両手で扱う剣って、コンセプト崩れしてない?…
両手で握って振ってみたが、重い、重すぎる。リリア最大の長所、俊敏性が全部消される。
ましてや片手で扱うなんてリリアには不可能だ。
先ほど記者の前で、盾と剣を掲げてしばらくポーズをとらされたが、ポーズを維持するだけで、腕の筋肉がピクピクだ、戦闘なんてとんでもない。
「リリア様、もっと顔の近くに掲げて… また下がってきましたよ」と怒られるが、“お前らいっぺんこれ持ってみろ!”っとリリアは怒鳴り返したかった。
そして、今回のモデル目玉、この剣の最大の特徴、最新の技術の結集とハンズマンが誇る機能。
剣に魔法石が入っている。ちなみにこの魔法石、精神を消費しても太陽に当てとくと精神が回復するらしい。ソーラーなんちゃらで、太陽神のご加護がなんちゃらで、得意げに技術的な説明をするドワーフの話しを聞き終わって、リリアは一言
「わかったは時々天日干しが必要なのね」と笑顔。
で、この剣の最新技術…
まず、契約上剣を抜く時は呪文を唱えないといけない。唱えないと絶対に剣が抜けない。
呪文の内容は
「勇者リリア参上!商人ギルド・リアルゴールと工芸ギルド・ハンズマンの共同開発と無償サポートにより授かった勇者リリアモデル(女性版)のこの剣で成敗してくれる」
大きな声ではっきりと、噛むと最初っからやりなおし。
…呪文長くない?必要? リリアはこの間に5回くらい切られていそう。
「これ要らなくない?逆に危険よ」とリリアが言うと、
「契約ですから、これでも技術の結集により短くなった方です」だって。
リリアが契約書を見直すと、確かに当初の五分の一程度にはなっている… 現場知らなすぎ… 無人の山奥で戦う時もいちいちこれなのか… 意味あるのだろうか…
剣を抜く時に刀身が光る。これはかっこよい!“キラーン!!”って感じだ。だけど性能的になにもない。その上、顔の高さに掲げて、ゆっくりと抜く時に見栄えが良い設定らしく、あまり素早く抜かないでくれだって…
刀身を鞘から抜く時に“スラリン”と心地よい音をたてる。これも魔石を使って音が出るようにしてある。これも性能的になにもなし。あんまり早く剣を抜くと音ズレして変。
剣を振る時に“ブン!”と凄い風切り音がする。これもギミック的に出す音。もちろん性能的な影響はない。リリアも剣を振ってみたが、音だけはすごい、150m級スラッガー並みのスイング音。
「リリア様、もっと本気で素振りしていただかないとビジュアルがサウンドとマッチしておりません」だって。こっちは十分本気だ!いらん機能に時間使うなら軽量化してくれ!
ちなみに感度が良すぎだ。ちょっと早く触れ回ると“ブン”っと音だけすごくなる。
使えない変な機能ばかりついているリリアモデル、大丈夫なのか?リリアは不安。
「これ、どっかのママさんみたいに全体攻撃で二回攻撃できる機能とかないの?」リリアが聞く。
「それ、他ギルドに特許を押さえられてます」なんだって。
リリアモデル大ゴケしそうなんだけど、リリアがんばってね。
リリアモデルの勇者装備セットを装着し、各情報紙の記者のインタビューに愛想を振りまいていたリリアはようやく休憩。商人ギルド・リアルゴールドの呼んだ記者さんと準備された予定調和的な答弁が終わったところ。リリアちゃんも有名人の仲間入り気分。
外部の人間へのリップサービスはここまで、この後は関係者でリリアモデルの説明と契約内容についての説明があるらしい。
記者の中にはピエンもいた。ピエンはリリアの番記者になっている。リリアもピエンなら他社より多めにオフレコを効かせてもよい気分。
勇者管理室の名でディルも一緒に来ていた。相変わらずの堅物でリリアが管理室への相談なしに契約したことを注意していたが、今回は国もリリアもイメージアップにつながるようなので、事後承諾を許可。
「あれほど、言っていますから今後は十分気を付けてください」とディルはいつもの感じ。
「評議会も近いです。勇者として給料を支給されたいならくれぐれも品行方正に」と付け加えて帰って行った。
“あいつ今度はグーで殴ってやろうか…” リリアは思う。
リリアモデルはかっこよい!リリアは着てみて一言
「わお!」
さすが、戦略商品のフラッグモデル。女神ヴァルキリーの装備を模した、ハーフフェイスヘルメットとグレイとシルバーの中間色、サテン調が今どきでおしゃれな鎧。所々に入る青いストライプが映える。重装備苦手なリリアだが、思ったより重くない… っていうか、ちょっと露出高すぎない?おしゃれだけど、結構怪我しそうですよ、これ…
胸元がだいたんにオープンだがリリアの豊かなお胸もお尻もきつくない、さすがさすが。
「胸とお尻の部分に関して販売モデルは一般人向けになります」だって。
そりゃそうよね、リリアのゴージャスバディを一般人に求めるのは酷ってやつよね。
これに同じ色調の盾、剣がついている。どちらも勇者っぽくかっこいい。
ヘルメット、鎧、剣、盾、どれにもリアルゴールドとハンズマンのロゴが何気なく入っている。
“これを着て街を歩くのね、リリアってば、男の視線を釘付けにし、子供達に憧れの視線を送られ、同性からは嫉妬とも羨望ともつかない複雑な視線で眺められるのね!キャー!サイン責めよ!男が数多言い寄ってくるのよ!セレブと玉の輿! あ、嫉妬している女性達もちゃんと必要に応じて助けてあげるわ。勇者リリアは正義の味方。同性の嫉妬なんか気にもしないの。リリアちゃんの胸と器は一際大きいのよ”リリアはデレデレしている、おめでたい人。
難点はまずマント、真紅のマント。
「マントは勇者の必須アイテムです」だって。そうなんだろうけど、実際は実用的ではない、リリアは着けて動きまわってみたが、やはりリリアには合わない。
盾も重い。技術の結集でかなり軽量化されているらしいのだが、それでもリリアには取り扱いが難しい。うーん、今後剣盾技術練習が必要。
そして剣、これが最大の不安… ある意味実戦において剣が難点って実用として最大の欠点。
まず、グレートソードと呼ばれる類で、完全に両手で扱う設定となっている。
「大きな剣が勇者必須アイテムです」だって。そうなんだろうけど…
盾を持つため絶対片手が塞がるのに、両手で扱う剣って、コンセプト崩れしてない?…
両手で握って振ってみたが、重い、重すぎる。リリア最大の長所、俊敏性が全部消される。
ましてや片手で扱うなんてリリアには不可能だ。
先ほど記者の前で、盾と剣を掲げてしばらくポーズをとらされたが、ポーズを維持するだけで、腕の筋肉がピクピクだ、戦闘なんてとんでもない。
「リリア様、もっと顔の近くに掲げて… また下がってきましたよ」と怒られるが、“お前らいっぺんこれ持ってみろ!”っとリリアは怒鳴り返したかった。
そして、今回のモデル目玉、この剣の最大の特徴、最新の技術の結集とハンズマンが誇る機能。
剣に魔法石が入っている。ちなみにこの魔法石、精神を消費しても太陽に当てとくと精神が回復するらしい。ソーラーなんちゃらで、太陽神のご加護がなんちゃらで、得意げに技術的な説明をするドワーフの話しを聞き終わって、リリアは一言
「わかったは時々天日干しが必要なのね」と笑顔。
で、この剣の最新技術…
まず、契約上剣を抜く時は呪文を唱えないといけない。唱えないと絶対に剣が抜けない。
呪文の内容は
「勇者リリア参上!商人ギルド・リアルゴールと工芸ギルド・ハンズマンの共同開発と無償サポートにより授かった勇者リリアモデル(女性版)のこの剣で成敗してくれる」
大きな声ではっきりと、噛むと最初っからやりなおし。
…呪文長くない?必要? リリアはこの間に5回くらい切られていそう。
「これ要らなくない?逆に危険よ」とリリアが言うと、
「契約ですから、これでも技術の結集により短くなった方です」だって。
リリアが契約書を見直すと、確かに当初の五分の一程度にはなっている… 現場知らなすぎ… 無人の山奥で戦う時もいちいちこれなのか… 意味あるのだろうか…
剣を抜く時に刀身が光る。これはかっこよい!“キラーン!!”って感じだ。だけど性能的になにもない。その上、顔の高さに掲げて、ゆっくりと抜く時に見栄えが良い設定らしく、あまり素早く抜かないでくれだって…
刀身を鞘から抜く時に“スラリン”と心地よい音をたてる。これも魔石を使って音が出るようにしてある。これも性能的になにもなし。あんまり早く剣を抜くと音ズレして変。
剣を振る時に“ブン!”と凄い風切り音がする。これもギミック的に出す音。もちろん性能的な影響はない。リリアも剣を振ってみたが、音だけはすごい、150m級スラッガー並みのスイング音。
「リリア様、もっと本気で素振りしていただかないとビジュアルがサウンドとマッチしておりません」だって。こっちは十分本気だ!いらん機能に時間使うなら軽量化してくれ!
ちなみに感度が良すぎだ。ちょっと早く触れ回ると“ブン”っと音だけすごくなる。
使えない変な機能ばかりついているリリアモデル、大丈夫なのか?リリアは不安。
「これ、どっかのママさんみたいに全体攻撃で二回攻撃できる機能とかないの?」リリアが聞く。
「それ、他ギルドに特許を押さえられてます」なんだって。
リリアモデル大ゴケしそうなんだけど、リリアがんばってね。
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