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【48話】 小さな移動砦
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馬と馬車が方向を変える、二台の馬車が向きを変えるので先頭のリリアの馬車が後尾になる。
矢は20本近く飛んできたが、馬には当たらなかったようだ。リリアは急転換をする馬車の淵に必死につかまっていたが矢はリリアをかすめていった。
「先頭、そのまま元来た道を戻れ、飛ばし過ぎるな、車軸が壊れるぞ」魔法のイヤリングから指示が飛ぶ。
待ち伏せに気がつくのが一瞬早かったらしい、進行方向だった茂みから10名以上、すぐわきからも同じくらい賊が出て来た。何とかすり抜けて元来た道を戻る。
「全員撃ち返せ、リリア、射抜けるか!」
リリアは弓、バンク、グラフはクロスボウで射撃開始。
「こんなに揺れて、無理だよ!」予備はいっぱいある矢数でいく。
「騎馬だ、馬が出て来た」見ると五騎茂みから出てきた。
騎馬も徒歩の賊も矢を射てくるが、相手の矢も正確ではない、アンラッキーに馬に当たらないよう祈るだけ。
さすがに騎馬は早い。ぐんぐん追いすがって来る。
「もっと急いでよ、追いつかれるわよ」
「無理言うな、車輪を壊したら、終わりだぞ」
「バンク、グラフ、近い奴はあたしがやる、引き付けてから撃って」
「父さん、国民を守るリリアに勇気を、母さん武器を手にするリリアにお許しを、神よ、正しき行いの我らにご加護を」リリアはペンダントに手をかける。深呼吸をし、矢をつがえると、木々が遠のき、車輪の音が遠のくようだ、揺れも気にならない。いや、揺れる車上でも矢先が騎馬の男をしっかり捉え続ける…
騎馬が接近する。奴らの目的は馬車を止める事、相手から寄って来るのだ慌てる必要は何もない…
騎馬上で男がクロスボウを構える。ひるませて馬車に飛び移るのか?
クロスボウ… 走る騎馬上で上手に構えるのね。
でも、狙う瞬間かならず、自ら上半身の上下を抑えるのよ…
リリアの射線上からは逃れられない…
一矢一線… 相手は顔に喰らって落馬する。
次の相手、リリアのクイックエイム、クイックショット。しかし、フルフェイスのヘルメット。
“ありゃ、これはさすがに無理 ごめんね、お馬さん”
馬の前足を射ると、馬ごと脱落していく。
三騎目を射るが僅かに誤射。馬車の側を駆け抜けていく。
「ジャック、行ったよ、いや、先頭の馬車に行った」先頭の馬車事足止めか、小賢しい!
「先頭行ったぞ、気を付けろ!」イヤリングから聞こえた瞬間
「ぐぁ」
目を放した隙に残りの騎馬から飛び乗ってきた。しまった、接近戦の準備もしていなかった。
もみ合いになったが、リリアは手にしていた矢をそのまま顔に突き立てる。
鈍い手応えと呻き、自分の残酷さにぞっとする。
「うがぁぁ、うがああぁぁ」相手は怯むどころか形相を変えて死に物狂いに抵抗する。
「うっぐ…」呻いて、賊は馬車から落ちていった。見るとジャックの片手に剣。
「お前、何やってる!戦え!死ぬぞ!」怒鳴られるリリア。
見ると何とか騎馬は防いだらしい。
だが、まだ徒歩の連中が追って来る。
「いったん停止だ、先頭の護衛共こっちへ乗れ、先頭はそのまま逃げろ」
こちらの護衛とにじり寄る賊で弓撃ち合戦。数で分が悪い。
「ジャック、このまま逃げられないの?」リリアは射かけながら叫ぶ。
「馬鹿か!どの道通っても終点は一ヵ所だ、狙われたら根絶やしにするまでどこかで襲われるぞ!」
「… ちょっと集中できない、誰か下手なクロスボウを撃つなら盾になってよ、あたしがやる」
近づく連中から射ていくが数が多い。
「ジャック、賊が来るぞ」誰かが叫ぶ
「大丈夫だ、引き付けろ、そのまま矢だ。誰も馬車から下りるな!」
なにやら作戦があるらしい。
リリアは盾になってもらいながら、的を決めるとサッと立って射ては隠れるの繰り返し。
地味だが成果は上がっている。
徐々ににじり寄って来る賊、どちらも前に盾を置いて、その後ろから矢を射る。
至近からの打ち合い。下手に顔出すとビュンビュン矢がうなって飛んで来る。
盾の影から頭を出してフェイント合戦。モグラたたきゲーム。
相手は13人、こちらは8人。じりじりとした膠着状態が続く。相手はゆっくり散開しながら近寄って来る。
“さすがに危なくない?”っとリリアも思った時だった。
「お前らいけえぇぇ!」頭だろうか?声がかかった。
賊が全員、盾を解き、一斉に馬車に走り込んで来た。
矢は20本近く飛んできたが、馬には当たらなかったようだ。リリアは急転換をする馬車の淵に必死につかまっていたが矢はリリアをかすめていった。
「先頭、そのまま元来た道を戻れ、飛ばし過ぎるな、車軸が壊れるぞ」魔法のイヤリングから指示が飛ぶ。
待ち伏せに気がつくのが一瞬早かったらしい、進行方向だった茂みから10名以上、すぐわきからも同じくらい賊が出て来た。何とかすり抜けて元来た道を戻る。
「全員撃ち返せ、リリア、射抜けるか!」
リリアは弓、バンク、グラフはクロスボウで射撃開始。
「こんなに揺れて、無理だよ!」予備はいっぱいある矢数でいく。
「騎馬だ、馬が出て来た」見ると五騎茂みから出てきた。
騎馬も徒歩の賊も矢を射てくるが、相手の矢も正確ではない、アンラッキーに馬に当たらないよう祈るだけ。
さすがに騎馬は早い。ぐんぐん追いすがって来る。
「もっと急いでよ、追いつかれるわよ」
「無理言うな、車輪を壊したら、終わりだぞ」
「バンク、グラフ、近い奴はあたしがやる、引き付けてから撃って」
「父さん、国民を守るリリアに勇気を、母さん武器を手にするリリアにお許しを、神よ、正しき行いの我らにご加護を」リリアはペンダントに手をかける。深呼吸をし、矢をつがえると、木々が遠のき、車輪の音が遠のくようだ、揺れも気にならない。いや、揺れる車上でも矢先が騎馬の男をしっかり捉え続ける…
騎馬が接近する。奴らの目的は馬車を止める事、相手から寄って来るのだ慌てる必要は何もない…
騎馬上で男がクロスボウを構える。ひるませて馬車に飛び移るのか?
クロスボウ… 走る騎馬上で上手に構えるのね。
でも、狙う瞬間かならず、自ら上半身の上下を抑えるのよ…
リリアの射線上からは逃れられない…
一矢一線… 相手は顔に喰らって落馬する。
次の相手、リリアのクイックエイム、クイックショット。しかし、フルフェイスのヘルメット。
“ありゃ、これはさすがに無理 ごめんね、お馬さん”
馬の前足を射ると、馬ごと脱落していく。
三騎目を射るが僅かに誤射。馬車の側を駆け抜けていく。
「ジャック、行ったよ、いや、先頭の馬車に行った」先頭の馬車事足止めか、小賢しい!
「先頭行ったぞ、気を付けろ!」イヤリングから聞こえた瞬間
「ぐぁ」
目を放した隙に残りの騎馬から飛び乗ってきた。しまった、接近戦の準備もしていなかった。
もみ合いになったが、リリアは手にしていた矢をそのまま顔に突き立てる。
鈍い手応えと呻き、自分の残酷さにぞっとする。
「うがぁぁ、うがああぁぁ」相手は怯むどころか形相を変えて死に物狂いに抵抗する。
「うっぐ…」呻いて、賊は馬車から落ちていった。見るとジャックの片手に剣。
「お前、何やってる!戦え!死ぬぞ!」怒鳴られるリリア。
見ると何とか騎馬は防いだらしい。
だが、まだ徒歩の連中が追って来る。
「いったん停止だ、先頭の護衛共こっちへ乗れ、先頭はそのまま逃げろ」
こちらの護衛とにじり寄る賊で弓撃ち合戦。数で分が悪い。
「ジャック、このまま逃げられないの?」リリアは射かけながら叫ぶ。
「馬鹿か!どの道通っても終点は一ヵ所だ、狙われたら根絶やしにするまでどこかで襲われるぞ!」
「… ちょっと集中できない、誰か下手なクロスボウを撃つなら盾になってよ、あたしがやる」
近づく連中から射ていくが数が多い。
「ジャック、賊が来るぞ」誰かが叫ぶ
「大丈夫だ、引き付けろ、そのまま矢だ。誰も馬車から下りるな!」
なにやら作戦があるらしい。
リリアは盾になってもらいながら、的を決めるとサッと立って射ては隠れるの繰り返し。
地味だが成果は上がっている。
徐々ににじり寄って来る賊、どちらも前に盾を置いて、その後ろから矢を射る。
至近からの打ち合い。下手に顔出すとビュンビュン矢がうなって飛んで来る。
盾の影から頭を出してフェイント合戦。モグラたたきゲーム。
相手は13人、こちらは8人。じりじりとした膠着状態が続く。相手はゆっくり散開しながら近寄って来る。
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賊が全員、盾を解き、一斉に馬車に走り込んで来た。
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