勇者の血を継ぐ者

エコマスク

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【61話】 偉人リリア

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リリア達の隊は昼食後、石切り場の施設で午後作業のミーティング中。
リリアは昼食中「巨乳を保つためにはそんなに食うのか」とからかわれながら、山菜チーズリゾットを全力で食べては「チーズ料理って舌を火傷するわよね」とニコニコしていた。

石切り場と周辺のお掃除は進んで、だいたい作業員たちが準備を始めても良い状態まできた。掃除中怪我人も出て、リリアとオフェリアも大なり小なり怪我をしたが、心臓さえ止まらなければ今節、回復ポーションで何とかなる。便利な世の中になったもんだ。
それで、ミーティングだが、午前中別働班が祠まで掃除しながら登ったのだが、祠の洞穴にどうやら、大魔クモが住み着いていると言うのだ。
洞窟の入り口にはクモの糸と、鹿だか熊だかの骨が散乱しているとのこと。
足音と振動を察知して穴から飛び出すので、弓で仕留めるか、場合によっては火矢を打ち込んで炙り出そうとなった。
「弓なら任せろって女がいたな。そこのポニーテール。おまえ午後から登っていけ。サポートつけてやる」リーダーが言うと、弓を背負ってウロチョロしているあいつかと、胸と背がデカい女の方を一同が振り返って見た。

「……………ク~……」
リリアはねむっている

オフェリアが気づいてちょっと慌てる。
が、ちょっと下を向き、腕を組み、膝を揃え、前髪とポニーテールを絶妙に垂らして座っている姿は、感慨深げに聞き入っているように傍から見える。居眠りの天才。変なところの度胸は立派な勇者リリア。
「まずいなぁ」とオフェリアが心配するが、絶妙に首をコクコクしているので
「よし、じゃぁ決まりだ。何か質問あるか?」とリーダー。
「やっぱりまずいなぁ」とオフェリアが密かにリリアの腰の辺りをゆすったら、絶妙に首がイヤイヤをするので
「質問がないなら、これにて解散。準備にかかるように。そこのポニーテール名前は?」とリーダーに聞かれるのである。
「あたし、リリアって言うの」とオフェリアが腹話術で何とか凌いだ。
爆発処理よりよっぽど緊張したオフェリア。
と、緊張感-163で大物感丸出しのリリア。

皆が席を立つと
「おい、リリアといったか。リリアこっちへ」とリーダーに呼ばれるのである。
「もう、ちょっとしっかりしなさいよ。リーダーに呼ばれてるわよ」と促しながらオフェリアがリリアを立ち上がらせるとリリアは
「んふー… チーズ料理っていっぱい食べると眠くなるわよねぇ」とか伸びをしながらリーダーのところに歩いて行った。
「ちょっと、話し分かってないでしょ?」とオフェリアの心配に耳もかさずリーダーと何やら話をしている。
オフェリアが心配しながら見ていると、リリアはニコニコとGoodサインを出して戻って来た。で、
「あたし、何かするみたいよ」っと、とんでもなく抽象的なコメントを吐くのである。Goodサインは何に対してだったのか見当もつかない。
オフェリアがようやく、話の概要を伝える。
「ふぅん… なるほどね。OKよ」とリリアはコクコク頷いている。
「知らずに、話し合わせて承諾してたの?よく出来るわねぇ」と驚くオフェリア。
「だって勇者は国民の頼み事を断れないじゃない。それに寝てたのでもう一回最初から、なんてお願いできないよ」とリリアは真顔で言っている。


リリアとオフェリアと大魔クモ討伐の準備をする。サポが着くので、リリアは小さいグループの班長の様なものだ。
リリアはどこまで理解しているのだろうか?とオフェリアが心配するのを他所にリリアは
「リーダー、あなたリーダーでしょ?… 彼女、オフェリア連れて行くわ。パートナーなの。その他二人連れて行きたいから。えっと… そこのオーガの彼二人。そうそう、よろしくね。 鉄盾二枚、10本組の矢を5セット。油壺(M)を二つ。6mmの10mロープ1本。布1m、綿…古新聞紙でいいや何枚か。体力ポーション(M)を四本、解毒薬(強)を二つ… それから… 以上ね、貰っていくわ… 倉庫係りに言って書類?… わかったわ、書類書けば倉庫から出せるのね。準備したらすぐ出発するから。途中のバフダン岩は支障が無ければ無視するから。さ、オフェリア、皆行きましょ!あ、後おやつのバナナ人数分もね!」
さっさと決めて倉庫に向かって歩き出した。

オフェリアは“リリアとおばばとどっちが偉人だろうか”と揺れるポニーテールを眺めながらリリアの後ろをついて行く。
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