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【83.5話】 小さなリーダーの誕生 ※過去の話し※
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ウッソ村での葬礼が終わってから数日経った。
襲撃され犠牲者が出てしまい、畑、民家、家畜にも被害が出ている。収入の回復に3年程度かかるであろうし、家々の修復も村の経済力だけでは生活に困る人が多く、国から借り入れないと難しいだろう。
村人にも犠牲が出たが、特に両親を喪ったリリアは教会に引き取られて修道女になっている。子供に犠牲者が出なかった事と、シェリフ達の命と引き換えに賊を撃退出来たことがせめてもの救い。
ガウムドとメルディアを喪ったリリアは精神的に不安定になっていたが、教会で日課を過ごし、顔を合わせる村人と話をすることで回復をみせている。
リリアは葬礼に修道女の礼服で、ゼフのお手伝いをしながら出席した。
突然墓石の数が増えた教会のバックヤード。リリアは両親のお墓を淡々と見つめていた。ガウとメルのお墓は特に寄り添うように並び立っている。
「リリア、準備は出来たか?もうすぐ始まるぞ」
今年22歳になるアランが礼拝堂で準備をするリリアに声をかける。
村長の二男で、傭兵職をしていたアランだったが、去年長男が事故死して以来、村を継ぐように呼び戻されている。戦闘のスペシャリストで腕が立つ上、世の中を知っているので、シェリフ・リーダーだったガウムドの良い右腕だった。
襲撃を生き残ったアラン。
「今行くよ」
リリアは小さな体にブカブカな鎧を付けてアランと教会を出る。
墓地に行くと既にゼフも村の人達も集まっている、それに王国からの使者。
ゼフとアランの説明によると今日は王国から使者が来て、ガウとメルの勲章授与式をやるそうだ。勇者の血筋として、冒険者ギルドで活躍し、村の保安官としても活躍してきたガウと、ギルド時代からガウを支え、プリースト技能者として村を守り続けたメルに勲章が授与され、一級国民に昇格するそう。
その勲章を両親の墓前でリリアが授与される。なので、今日は鎧姿が礼儀なのだそうだ。
普段から皮装備のリリアは、借り物のブッカブカ鎧で出席する。
因みにガウとメルのギルド時代の出会いは、メルが入ギルドして初出ギルドの朝、寝坊して慌てて走っていたところ、街角で出合い頭にぶつかったのがガウだったらしい。
「どこ見てうろついてやがる!このオカチめんこ!」とガウが怒り
「オカチめんこって何よ、このすっとこどっこい!」と喧嘩別れしてギルドに行ったら、ガウも同じギルドのメンバーだったとか…
まぁ、それはともかく…
墓前で「国民なんちゃら課」と長い肩書の人達が長いスピーチをする。
イローナ、ジェシカ、キョーコおばさんは既に泣いている… 相変わらず…
リリアは傍からみるとやたらビシっとして立っている。
「リリアも立派になった」「礼儀は知っているのね」
リリアは勝手に色々褒められるが実はブッカブカの鎧の下がずり落ちそうなのだ。
明らかに手で押さえるわけにもいかないので、脇を引き締め両腕で必死に下がっていくのを防いでいるだけ。
使者の話しが終わり、勿体ぶった宣言があり、ラッパが吹かれる。
リリアの胸元にガウの「気高き鷹」とメルの「永遠の泉」の勲章が装着される。
リリアは淡々と立っていた。
授与式は終了、皆解散していった。村長とアランが使者達をもてなし見送る。
墓前はリリアとゼフだけになった。
「リリア、せっかくじゃ、ガウムドとメルディアに勲章を供えてやりなさい」ゼフが言う。
「…………」リリアはコクコクと頷くと勲章を外して手に取ってみた…
「………………………………」
リリアは手の上の勲章を眺める。タカの形をしたこっちがガウの勲章だろう。
もう一つはなんだか抽象的な形をしているが泉なのだろう。
二つとも鉄で出来ているみたいだ。リリアには重く感じられる。
手を少し揺らすとキラキラ鈍く光っている。国から何か貰える、国が自分の両親が生きていた事を認識してくれる。そう思うと大変誇らしく思える。
「………………………………」
ガウはとても背が高くがっちりしていた。大きな背中を見上げたのが思い出される。
メルはいつも薬草の香りがしていて、膝の上で抱いてくれたのが思い出される。
それが、今は小さな鉄になってリリアの手の上に乗っていると思うと、リリアは大声で泣きだした。突然の喪失感なのだろう…
「無表情だったが、泣けるようになったか」ゼフはニコニコして呟いた。
リリアとゼフが教会に戻ると、村長、アラン、シェリフが待っていた。
「リリア、皆で相談して決めた。お前は今日からシェリフ・リーダーだ、国士だ。俺達の、村のリーダーだ。もうちょっと大きくなるまでは仕事しなくていいが、給料は出る。その内、給料もらった分働けよ」アランが言う。
ウッソ村に小さなシェリフ・リーダーが誕生した瞬間。
教会の屋根からハトが小さなニューリーダーを眺めていた。
襲撃され犠牲者が出てしまい、畑、民家、家畜にも被害が出ている。収入の回復に3年程度かかるであろうし、家々の修復も村の経済力だけでは生活に困る人が多く、国から借り入れないと難しいだろう。
村人にも犠牲が出たが、特に両親を喪ったリリアは教会に引き取られて修道女になっている。子供に犠牲者が出なかった事と、シェリフ達の命と引き換えに賊を撃退出来たことがせめてもの救い。
ガウムドとメルディアを喪ったリリアは精神的に不安定になっていたが、教会で日課を過ごし、顔を合わせる村人と話をすることで回復をみせている。
リリアは葬礼に修道女の礼服で、ゼフのお手伝いをしながら出席した。
突然墓石の数が増えた教会のバックヤード。リリアは両親のお墓を淡々と見つめていた。ガウとメルのお墓は特に寄り添うように並び立っている。
「リリア、準備は出来たか?もうすぐ始まるぞ」
今年22歳になるアランが礼拝堂で準備をするリリアに声をかける。
村長の二男で、傭兵職をしていたアランだったが、去年長男が事故死して以来、村を継ぐように呼び戻されている。戦闘のスペシャリストで腕が立つ上、世の中を知っているので、シェリフ・リーダーだったガウムドの良い右腕だった。
襲撃を生き残ったアラン。
「今行くよ」
リリアは小さな体にブカブカな鎧を付けてアランと教会を出る。
墓地に行くと既にゼフも村の人達も集まっている、それに王国からの使者。
ゼフとアランの説明によると今日は王国から使者が来て、ガウとメルの勲章授与式をやるそうだ。勇者の血筋として、冒険者ギルドで活躍し、村の保安官としても活躍してきたガウと、ギルド時代からガウを支え、プリースト技能者として村を守り続けたメルに勲章が授与され、一級国民に昇格するそう。
その勲章を両親の墓前でリリアが授与される。なので、今日は鎧姿が礼儀なのだそうだ。
普段から皮装備のリリアは、借り物のブッカブカ鎧で出席する。
因みにガウとメルのギルド時代の出会いは、メルが入ギルドして初出ギルドの朝、寝坊して慌てて走っていたところ、街角で出合い頭にぶつかったのがガウだったらしい。
「どこ見てうろついてやがる!このオカチめんこ!」とガウが怒り
「オカチめんこって何よ、このすっとこどっこい!」と喧嘩別れしてギルドに行ったら、ガウも同じギルドのメンバーだったとか…
まぁ、それはともかく…
墓前で「国民なんちゃら課」と長い肩書の人達が長いスピーチをする。
イローナ、ジェシカ、キョーコおばさんは既に泣いている… 相変わらず…
リリアは傍からみるとやたらビシっとして立っている。
「リリアも立派になった」「礼儀は知っているのね」
リリアは勝手に色々褒められるが実はブッカブカの鎧の下がずり落ちそうなのだ。
明らかに手で押さえるわけにもいかないので、脇を引き締め両腕で必死に下がっていくのを防いでいるだけ。
使者の話しが終わり、勿体ぶった宣言があり、ラッパが吹かれる。
リリアの胸元にガウの「気高き鷹」とメルの「永遠の泉」の勲章が装着される。
リリアは淡々と立っていた。
授与式は終了、皆解散していった。村長とアランが使者達をもてなし見送る。
墓前はリリアとゼフだけになった。
「リリア、せっかくじゃ、ガウムドとメルディアに勲章を供えてやりなさい」ゼフが言う。
「…………」リリアはコクコクと頷くと勲章を外して手に取ってみた…
「………………………………」
リリアは手の上の勲章を眺める。タカの形をしたこっちがガウの勲章だろう。
もう一つはなんだか抽象的な形をしているが泉なのだろう。
二つとも鉄で出来ているみたいだ。リリアには重く感じられる。
手を少し揺らすとキラキラ鈍く光っている。国から何か貰える、国が自分の両親が生きていた事を認識してくれる。そう思うと大変誇らしく思える。
「………………………………」
ガウはとても背が高くがっちりしていた。大きな背中を見上げたのが思い出される。
メルはいつも薬草の香りがしていて、膝の上で抱いてくれたのが思い出される。
それが、今は小さな鉄になってリリアの手の上に乗っていると思うと、リリアは大声で泣きだした。突然の喪失感なのだろう…
「無表情だったが、泣けるようになったか」ゼフはニコニコして呟いた。
リリアとゼフが教会に戻ると、村長、アラン、シェリフが待っていた。
「リリア、皆で相談して決めた。お前は今日からシェリフ・リーダーだ、国士だ。俺達の、村のリーダーだ。もうちょっと大きくなるまでは仕事しなくていいが、給料は出る。その内、給料もらった分働けよ」アランが言う。
ウッソ村に小さなシェリフ・リーダーが誕生した瞬間。
教会の屋根からハトが小さなニューリーダーを眺めていた。
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