414 / 519
【208話】 シルキーの覚悟
しおりを挟む
「いたたた… とんでもない話しよね…」
リリアは何とかシルキーの屋敷の庭に転がり込んだ。
振り返ると隣の家のガーゴイルとガード用ガーゴイルと番犬はリリアが自分のテリトリーを出たことで追うのをやめたようだ。
リリアは散々な目にあいながら人様の家の庭を横切ってきた。
緊急とは言えリリアが他人の敷地に不法侵入をしている側だ。ガードに襲われても文句は言えない。反撃したら器物破損の罪に問われてしまう。
ガードに反撃を加えるわけにもいかず、犬を蹴飛ばしてやる事も出来ず逃げ回りながらシルキー宅の庭先に転がり込んだ。
あっちこっち怪我したがちょっとポーションは取っておきたい。
リリアはとんでもないと思っているが、勝手に庭に入られる側から見たらリリアの不法侵入の方がとんでもない。
リリアが路上を見ると衛兵達が逃げ回りながらもミノタウロスの相手をしている。
シルキーの屋敷の庭先はひっそりとしていた。
リリアが屋敷を見るとガーデンテラスの窓が大きく破壊され、門がなぎ倒されているのが見える。
“やっぱり、シルキーが関係している”
リリアは確信すると屋敷内に駆け込んでいった。
「シルキー!大丈夫?」
リリアが屋敷に駆け込むと庭に向かう大きな一室で執事達に付き添われるシルキーの姿がった。
疲れた様子でソファーに腰かけている。辺りは破壊され散乱している。
「リ、リリアね… 今自己回復をしていたところ、もう大丈夫よ」シルキーが答える。
「シルキー、路上のあの牛、ミノタウロスはシルキーのでしょ?」リリアが問いただす。
「ごめんなさい… 私、両親に会いたくて… 母の魂はサンズ・リバーを渡ってしまって無理だけど、魔族として純血の父は召喚できると思って… 危険は承知していたけど長年研究していて、なんとかなると思って… でも呼び出したら… ごめんなさい…」シルキーが力なく謝る。
「わかった… 何となくわかるよ。リリアはそんな危険を冒そうとは思わないけど、あたしも小さい頃なくした両親に会えるなら会いたいよ… 今はそれどころじゃないよ、犠牲者が出てしまっているの、シルキーの助けが必要よ」リリアはシルキーの手を引く。
「わかってる… 何かあったらリリアなら来てくれると思ってたわ」シルキーは短く答えた。
「あれは本当にシルキーのお父さんなの?」リリアは確かめた。
「… 実はわからないの…」
シルキーはリリアに手を引かれ立ち上がった。
“それなら詳しく知らない方がよいのかも…”リリアは思った。
「とにかくあいつを何とかしてよ!なんとかしないと!」リリアは外に駆け出し始めたがシルキーに強く止められた。
リリアが振り返るとシルキーは儀式の服をはだけさせている。白い肌、芸術的な胸…
「待って!リリア… 召喚されたミノタウロスは野にいるミノタウロスより魔力が強く強敵だわ。恐らく… 大勢でかかっても苦戦するはず。リリアに渡した銀のクサビを心臓に刺せば倒せるけど… リリアも荒れ狂うミノタウロスを見たでしょ?現実的には不可能に近いの。…召喚魔物は召喚主が消滅したら消えてなくなるわ。銀のクサビなら私の心臓を…」シルキーがリリアをまっすぐに見つめて言う。
“ドックン”
リリアの心臓が大きな音を立てた。もらったクサビも何か意味があるとは思っていたが…
「バカ!シルキーの大馬鹿野郎!何がリリアなら、よ!そんなことリリアにできるわけないじゃん!無理だよ!… あたしを利用しないでよ!」リリアは怒る。
「… 私は覚悟できているの。人の世界産み落とされたしまった魔族… お願いリリア、終わりにして」シルキーは胸に手を当てながら目をつぶった。
「… シルキー…」
外では叫び声が聞こえる。
「マダムに代わり我々からもお願い申し上げます、マダム・リリア」
執事達が丁寧に頭を下げる。シルキーの命が尽きる時、彼らも崩れ去っていくことだろう。
「…あたし無理だよ… せっかく良い友達になれたと思ったのに、朝食一緒に食べたかったのに… なんか利用された感じだよ… シルキーの心臓を刺すなんて出来ないよ…」リリアは泣き出した。
「リリアは勇者でもあるんでしょ?勇者が魔人を退治する… 自然な事…」シルキー。
「皆自分の都合の良いときだけリリアを勇者、勇者って… かって過ぎるよ…」
リリアは思う。
確か召喚獣や使い魔が犯した罪は召喚主や主が引責する法律だったはずだ。
召喚主等に悪意が無かった場合、直接罪を犯した者が正気を失っていた証明が出来れば召喚主等も罪に問われない事はある。
ただ、シルキーが召喚したというミノタウロスは衛兵も含め既に複数名を惨殺している。シルキーが魔族という事もあり、罪に問われれば死刑だろう。
いや、どんな顛末だろうとリリアにはシルキーを刺せない。
リリアがシルキーを見る。
シルキーは再び目を開けると微笑みながらリリアを見つめ返した。
“大丈夫、怖がらないで”まるで促すように…
見ると執事達も穏やかに目礼をする。
「… なんで冒険者って皆そんなに潔いのよ! 逆に腹が立ってきたよ! シルキーを手にかけるくらいならリリアが牛に捻りつぶされたほうがましだよ! あいつは強敵だけど無敵や不滅じゃないんでしょ? ならリリアがやってやるわよ!弓があるなら持って来て!」
リリアが言うと執事達が素早く弓と矢筒を持って来てくれた。
リリアは受け取ると弓のしなりと弦を調べた。
“さすが良い弓つかってるのね、矢も十分”
「シルキー、覚悟している場合じゃないよ!悪あがきよ!リリアも死ぬ気でいくから手伝って!」
リリアは叫ぶとグイグイとシルキーの手を引いて壊れた窓から庭に出て行った。
リリアは何とかシルキーの屋敷の庭に転がり込んだ。
振り返ると隣の家のガーゴイルとガード用ガーゴイルと番犬はリリアが自分のテリトリーを出たことで追うのをやめたようだ。
リリアは散々な目にあいながら人様の家の庭を横切ってきた。
緊急とは言えリリアが他人の敷地に不法侵入をしている側だ。ガードに襲われても文句は言えない。反撃したら器物破損の罪に問われてしまう。
ガードに反撃を加えるわけにもいかず、犬を蹴飛ばしてやる事も出来ず逃げ回りながらシルキー宅の庭先に転がり込んだ。
あっちこっち怪我したがちょっとポーションは取っておきたい。
リリアはとんでもないと思っているが、勝手に庭に入られる側から見たらリリアの不法侵入の方がとんでもない。
リリアが路上を見ると衛兵達が逃げ回りながらもミノタウロスの相手をしている。
シルキーの屋敷の庭先はひっそりとしていた。
リリアが屋敷を見るとガーデンテラスの窓が大きく破壊され、門がなぎ倒されているのが見える。
“やっぱり、シルキーが関係している”
リリアは確信すると屋敷内に駆け込んでいった。
「シルキー!大丈夫?」
リリアが屋敷に駆け込むと庭に向かう大きな一室で執事達に付き添われるシルキーの姿がった。
疲れた様子でソファーに腰かけている。辺りは破壊され散乱している。
「リ、リリアね… 今自己回復をしていたところ、もう大丈夫よ」シルキーが答える。
「シルキー、路上のあの牛、ミノタウロスはシルキーのでしょ?」リリアが問いただす。
「ごめんなさい… 私、両親に会いたくて… 母の魂はサンズ・リバーを渡ってしまって無理だけど、魔族として純血の父は召喚できると思って… 危険は承知していたけど長年研究していて、なんとかなると思って… でも呼び出したら… ごめんなさい…」シルキーが力なく謝る。
「わかった… 何となくわかるよ。リリアはそんな危険を冒そうとは思わないけど、あたしも小さい頃なくした両親に会えるなら会いたいよ… 今はそれどころじゃないよ、犠牲者が出てしまっているの、シルキーの助けが必要よ」リリアはシルキーの手を引く。
「わかってる… 何かあったらリリアなら来てくれると思ってたわ」シルキーは短く答えた。
「あれは本当にシルキーのお父さんなの?」リリアは確かめた。
「… 実はわからないの…」
シルキーはリリアに手を引かれ立ち上がった。
“それなら詳しく知らない方がよいのかも…”リリアは思った。
「とにかくあいつを何とかしてよ!なんとかしないと!」リリアは外に駆け出し始めたがシルキーに強く止められた。
リリアが振り返るとシルキーは儀式の服をはだけさせている。白い肌、芸術的な胸…
「待って!リリア… 召喚されたミノタウロスは野にいるミノタウロスより魔力が強く強敵だわ。恐らく… 大勢でかかっても苦戦するはず。リリアに渡した銀のクサビを心臓に刺せば倒せるけど… リリアも荒れ狂うミノタウロスを見たでしょ?現実的には不可能に近いの。…召喚魔物は召喚主が消滅したら消えてなくなるわ。銀のクサビなら私の心臓を…」シルキーがリリアをまっすぐに見つめて言う。
“ドックン”
リリアの心臓が大きな音を立てた。もらったクサビも何か意味があるとは思っていたが…
「バカ!シルキーの大馬鹿野郎!何がリリアなら、よ!そんなことリリアにできるわけないじゃん!無理だよ!… あたしを利用しないでよ!」リリアは怒る。
「… 私は覚悟できているの。人の世界産み落とされたしまった魔族… お願いリリア、終わりにして」シルキーは胸に手を当てながら目をつぶった。
「… シルキー…」
外では叫び声が聞こえる。
「マダムに代わり我々からもお願い申し上げます、マダム・リリア」
執事達が丁寧に頭を下げる。シルキーの命が尽きる時、彼らも崩れ去っていくことだろう。
「…あたし無理だよ… せっかく良い友達になれたと思ったのに、朝食一緒に食べたかったのに… なんか利用された感じだよ… シルキーの心臓を刺すなんて出来ないよ…」リリアは泣き出した。
「リリアは勇者でもあるんでしょ?勇者が魔人を退治する… 自然な事…」シルキー。
「皆自分の都合の良いときだけリリアを勇者、勇者って… かって過ぎるよ…」
リリアは思う。
確か召喚獣や使い魔が犯した罪は召喚主や主が引責する法律だったはずだ。
召喚主等に悪意が無かった場合、直接罪を犯した者が正気を失っていた証明が出来れば召喚主等も罪に問われない事はある。
ただ、シルキーが召喚したというミノタウロスは衛兵も含め既に複数名を惨殺している。シルキーが魔族という事もあり、罪に問われれば死刑だろう。
いや、どんな顛末だろうとリリアにはシルキーを刺せない。
リリアがシルキーを見る。
シルキーは再び目を開けると微笑みながらリリアを見つめ返した。
“大丈夫、怖がらないで”まるで促すように…
見ると執事達も穏やかに目礼をする。
「… なんで冒険者って皆そんなに潔いのよ! 逆に腹が立ってきたよ! シルキーを手にかけるくらいならリリアが牛に捻りつぶされたほうがましだよ! あいつは強敵だけど無敵や不滅じゃないんでしょ? ならリリアがやってやるわよ!弓があるなら持って来て!」
リリアが言うと執事達が素早く弓と矢筒を持って来てくれた。
リリアは受け取ると弓のしなりと弦を調べた。
“さすが良い弓つかってるのね、矢も十分”
「シルキー、覚悟している場合じゃないよ!悪あがきよ!リリアも死ぬ気でいくから手伝って!」
リリアは叫ぶとグイグイとシルキーの手を引いて壊れた窓から庭に出て行った。
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる