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【237.5話】 緊急招集の午後 ※年明け後の話し(前編)※
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リリア達はウルエ村に到着、もう夜中。
「ネーコ、ラビは馬車で寝る支度と、お湯を沸かしておいてください、挨拶だけしてすぐに戻ります。リリアは私と一緒に来てください」コトロが馬車を下りると指示をだした。
各ギルドに緊急招集がかかって、至急この村に集まれる冒険者が集まってきている。冒険者ギルド・ルーダの風、フルメンバーも大急ぎでやってきた。
この日の午後
リリアが、ミランダ達とお茶をしてバー・ルーダの風に戻って来ると、コトロが慌ただしく迎えた。
「あ、リリア、よかった、今探しを出そうかと思っていたところです。すぐに出発の準備を、ギルド・ゴーントレットがルーダ・コートの街のギルドに緊急招集を出しています。すぐに出発です」コトロが言う。
「緊急招集?それって、集まれるギルメンは全員集合なやつだよね、何があったの?今からどこに行くの?」リリアが目を丸くする。
ルーダの風に立ち寄ったミランダ達も驚いている。
「ゴーントレットのメンバーを乗せた馬車が数台、消息不明になったそうです。とにかくウルエの村目指して出ます」コトロが準備をしながら言う。
「マジ?私達もギルドに戻るから」
ミランダ達も慌ててバーを出ていく。
「今夜から私が戻るまでバーはネーコとラビの二人で… いや、今日から数日バーは休みにします。ラビ、こんな時に出す看板が納屋にあったはずです、“緊急のためギルドバーは休み”と書かれた看板。それを出せばお客さんも事情を察してくれます。皆、外泊、野外活動の準備です。リリアはお使いお願いします。アーマー&ローブに伝言、ルーダの風は便乗させてもらう予定を変更。こちらで馬車を用意するので、出発の時刻にメインゲートに集合しますって伝えて、リリアは急いでレンタワゴンしてきてください。二人分のベッド機能付きの馬車を借りてください」コトロが言う。
「わ、分かった、とにかく、借りてきてバーの前に戻るよ」リリアが答える。
「ごめんなさい!後で払い戻すから領収書を全部とっておいて!」
コトロが付け加える声を背にリリアも大急ぎでバーから出て行った。
出発準備を整え、ゲートに集合した他のギルドの馬車と共に連なって街を出る。
もうおやつ時を過ぎる時間、現地到着は夜中になる。
夜中は魔物の活動も増え、賊の出現も頻発するようになる。こちらも団体を組むのがベスト。
郊外に出ると、別の馬車数台と合流した。城壁内を大きな集団で待機していると不法集会罪等で怒られるそうだ。ある程度集まったら、外に出て他の者達を待つらしい。
馬車が七台程列になり山野に出る。
検問所で止められたが、先頭の馬車が説明し、全車通行。
監視タワーの兵士の目が厳しく光っている。
「街から出る方向なので簡単ですが、戻りは厳しいですよ。もっとも、バラバラになって戻りますけど」コトロが手綱を手に呟く。
ルーダの風の馬車はレンタワゴン。これにギルド紋章を取ってつけた様にかけてある。
コトロが手綱を握り、リリアが護衛席、ネーコとラビは馬車で待機。
「何がどうしんだよ」ダカットが不安がる。
リリアは連なる馬車を眺める。
各ギルドのサイズが馬車を見れば一目瞭然だ。
大きなギルドの馬車は多目的軍用車両の様な立派な馬車に、誇らしげにギルドのバナーが靡いている。
色々な馬車が連なり、もちろん小さな馬車もあるが、レンタワゴンしているのはリリアの所属するギルド・ルーダの風だけ。
リリアには少し不満。
「馬車も馬も維持が大変なのですよ。見栄を張る必要はないです。前のギルマスはそれで失敗しているのです。ウチはその分借金返済と給料に反映させます」コトロが事あるごとに言っている。
日が山に入り、各車、ランタンを煌々と点けて先を急ぐ。
「ニャン、ピョン、お疲れ様、操車と護衛、あたし達が変わるわよ」
日暮れまでリリアとコトロはネーコとラビに馬車を任せて車内で休んでいたが、いよいよとなって交代。
「二人ともお疲れ様でした。車内で寝ていてください」コトロも交代。
暗くなるここからが正念場だ。危険が多くなる。
「リリたん達、大丈夫ピョン?魔物が出てあまり休めてなかったピョン」
「休んだと思ったら退治に起こされたニャン、きつかったら変わるニャン」
魔物も多く、あまり休めなかったが仕方がない。
「大丈夫だよ、ゆっくりお茶して寝てなよ」リリアが声をかける。
「ねぇ、状況は悪いの?」
リリアは濃紺になり、月がはっきりしだした空を眺めながらコトロに聞く。
「貴族の娘さんがルーダリア城下の学校に入学とかで、引っ越しと移動をゴーントレットが引き受けたそうです。娘と引っ越しの道具等を馬車に積んで護衛を伴って出発して… 昨日からウルエの先で消息不明だそうです」
「…… 全ギルドに招集って聞いたことあったけど、始めてだよ」リリア。
「馬車で2台か3台かで移動なら、ゴーントレットは半分以上のメンバーを失っています。賊に襲われたという話もありますし… ギルマスのルフトハンスは貴族にパイプを持っていて仕事もらっていますから… プライドがかかっていますよ。それに我々としても盗賊に壊滅させられたとあっては仲間に申し訳がありません。妥当な選択と言って良いでしょう」コトロ。
先ほどからたまに通信のイヤリングから各車の雑談が入ってくる。
「アイク、ペルーシア、バーディックもいたんだろ?大丈夫だぜ」
「あぁ、イヤリングのレンジ外で野宿してました!っとか言いながら悪びれもせず出てくるぜ」
「俺、アイクがまだ駆け出しのガキだった時に…」
男冒険者の冗談が続いている。
「全員招集だとギルマスも全員出るの?お店を閉めるのは意外だったけど…」リリアはしばらく聞こえてくる雑談を黙って聞いていたがコトロに質問した。
「私は普段バーにいますが、緊急時にまでリュートを引いて酔っぱらいの相手をしている程、のん気でもありませんよ。最初はネーコとラビにお店を任せてどこかの馬車に便乗しようかと思っていましたが… 恐らく、村の宿はいっぱいでしょうし、そうなると寝る場所は確保しないといけません。他ギルドに気を使って縮こまっているより、自分達の馬車を用意したほうが良いと思いました。どうせ馬車を用立てるならネーコとラビも来て活動した方がメンツが立ちます」コトロ。
「ふーん… どこのギルドもこんな場合は全員集合?」リリアが聞く。
「他のギルドは他のギルドの事なので何とも言えませんが、大きなギルドなら雑務やバックアップを街に残していると思いますよ。このような場合はお互い様ですから、集められる主力は集めていると思います」
コトロの説明が終わるとしばらくリリアは黙って通信を聞いていた。
日が暮れ、リリア達は魔物を退けながら村まで道を急いだ。
夜中、ようやく村に到着して、各車馬車を止める。
ゴーントレットの新人が皆を迎える。
「皆さん、お疲れ様でした。宿の食堂が開放されています。先に来たメンバーはもう休んでおりますが、案内役がいます。明日の朝からブリーフィングを行うので今日は、食堂に用意した食事を食べ、休んでください。宿はもう満室です、寝床が入用の人は食堂にいるメンバーに相談してください。是非食事してお休みください」
コトロはネーコ達に短く指示を出すとリリアを伴い宿屋に向かった。
「皆さん、お疲れ様です、どうぞ、お使いください」
食堂に入るとゴーントレットのスタッフ働いていて、新人がタオル類を差し出してくれた。
小さな食堂にビュッフェスタイルの食事が用意してあり、壁には書き込みされたマップが張られてある
リリアが見ると、見知ったメンバーが食堂の隅に寝具を引いて寝ている。
部屋も溢れる様に雑魚寝状況なのだろう。
今、到着したメンバーが入ってくると食堂は少し騒がしくなった。
「コトロ、リリア、大変だったでしょう、お疲れ様」
カレーラがリリア達を見つけて挨拶に来た。
青白い顔に微笑みを浮かべている。
「状況は?… そうなの… 明日の朝からですね…」コトロがカレーラと言葉を交わす。
周囲もマップの前に集まったり、他のスタッフから状況を聞いている。
リリアが見るにカレーラにもやつれが見える。
「ハンスは娘さんのご両親を迎えに街に戻ったわ。朝までにはここに戻るって。とにかく今日はもう休んで、お風呂も沸いている、スープも温めなおすから。寝る場所あるの?コトロ達」カレーラ。
「私達は馬車で寝るから、食べ物なんて冷えていたって大丈夫ですよ、我々も食事を貰って馬車で休みますから、カレーラ達も… 休んだらいいですよ。 リリア、食事四人分を持って馬車に戻りましょう」コトロが声をかける。
リリアはコトロの言葉に頷くとカレーラにハグをした。
「カレーラ、大丈夫だよ、皆明日には戻るよ、必ず戻るよ、あなたに、皆様に神のご加護を」
カレーラはリリアの肩に頬を寄せると小さく頷いた。
「ネーコ、ラビは馬車で寝る支度と、お湯を沸かしておいてください、挨拶だけしてすぐに戻ります。リリアは私と一緒に来てください」コトロが馬車を下りると指示をだした。
各ギルドに緊急招集がかかって、至急この村に集まれる冒険者が集まってきている。冒険者ギルド・ルーダの風、フルメンバーも大急ぎでやってきた。
この日の午後
リリアが、ミランダ達とお茶をしてバー・ルーダの風に戻って来ると、コトロが慌ただしく迎えた。
「あ、リリア、よかった、今探しを出そうかと思っていたところです。すぐに出発の準備を、ギルド・ゴーントレットがルーダ・コートの街のギルドに緊急招集を出しています。すぐに出発です」コトロが言う。
「緊急招集?それって、集まれるギルメンは全員集合なやつだよね、何があったの?今からどこに行くの?」リリアが目を丸くする。
ルーダの風に立ち寄ったミランダ達も驚いている。
「ゴーントレットのメンバーを乗せた馬車が数台、消息不明になったそうです。とにかくウルエの村目指して出ます」コトロが準備をしながら言う。
「マジ?私達もギルドに戻るから」
ミランダ達も慌ててバーを出ていく。
「今夜から私が戻るまでバーはネーコとラビの二人で… いや、今日から数日バーは休みにします。ラビ、こんな時に出す看板が納屋にあったはずです、“緊急のためギルドバーは休み”と書かれた看板。それを出せばお客さんも事情を察してくれます。皆、外泊、野外活動の準備です。リリアはお使いお願いします。アーマー&ローブに伝言、ルーダの風は便乗させてもらう予定を変更。こちらで馬車を用意するので、出発の時刻にメインゲートに集合しますって伝えて、リリアは急いでレンタワゴンしてきてください。二人分のベッド機能付きの馬車を借りてください」コトロが言う。
「わ、分かった、とにかく、借りてきてバーの前に戻るよ」リリアが答える。
「ごめんなさい!後で払い戻すから領収書を全部とっておいて!」
コトロが付け加える声を背にリリアも大急ぎでバーから出て行った。
出発準備を整え、ゲートに集合した他のギルドの馬車と共に連なって街を出る。
もうおやつ時を過ぎる時間、現地到着は夜中になる。
夜中は魔物の活動も増え、賊の出現も頻発するようになる。こちらも団体を組むのがベスト。
郊外に出ると、別の馬車数台と合流した。城壁内を大きな集団で待機していると不法集会罪等で怒られるそうだ。ある程度集まったら、外に出て他の者達を待つらしい。
馬車が七台程列になり山野に出る。
検問所で止められたが、先頭の馬車が説明し、全車通行。
監視タワーの兵士の目が厳しく光っている。
「街から出る方向なので簡単ですが、戻りは厳しいですよ。もっとも、バラバラになって戻りますけど」コトロが手綱を手に呟く。
ルーダの風の馬車はレンタワゴン。これにギルド紋章を取ってつけた様にかけてある。
コトロが手綱を握り、リリアが護衛席、ネーコとラビは馬車で待機。
「何がどうしんだよ」ダカットが不安がる。
リリアは連なる馬車を眺める。
各ギルドのサイズが馬車を見れば一目瞭然だ。
大きなギルドの馬車は多目的軍用車両の様な立派な馬車に、誇らしげにギルドのバナーが靡いている。
色々な馬車が連なり、もちろん小さな馬車もあるが、レンタワゴンしているのはリリアの所属するギルド・ルーダの風だけ。
リリアには少し不満。
「馬車も馬も維持が大変なのですよ。見栄を張る必要はないです。前のギルマスはそれで失敗しているのです。ウチはその分借金返済と給料に反映させます」コトロが事あるごとに言っている。
日が山に入り、各車、ランタンを煌々と点けて先を急ぐ。
「ニャン、ピョン、お疲れ様、操車と護衛、あたし達が変わるわよ」
日暮れまでリリアとコトロはネーコとラビに馬車を任せて車内で休んでいたが、いよいよとなって交代。
「二人ともお疲れ様でした。車内で寝ていてください」コトロも交代。
暗くなるここからが正念場だ。危険が多くなる。
「リリたん達、大丈夫ピョン?魔物が出てあまり休めてなかったピョン」
「休んだと思ったら退治に起こされたニャン、きつかったら変わるニャン」
魔物も多く、あまり休めなかったが仕方がない。
「大丈夫だよ、ゆっくりお茶して寝てなよ」リリアが声をかける。
「ねぇ、状況は悪いの?」
リリアは濃紺になり、月がはっきりしだした空を眺めながらコトロに聞く。
「貴族の娘さんがルーダリア城下の学校に入学とかで、引っ越しと移動をゴーントレットが引き受けたそうです。娘と引っ越しの道具等を馬車に積んで護衛を伴って出発して… 昨日からウルエの先で消息不明だそうです」
「…… 全ギルドに招集って聞いたことあったけど、始めてだよ」リリア。
「馬車で2台か3台かで移動なら、ゴーントレットは半分以上のメンバーを失っています。賊に襲われたという話もありますし… ギルマスのルフトハンスは貴族にパイプを持っていて仕事もらっていますから… プライドがかかっていますよ。それに我々としても盗賊に壊滅させられたとあっては仲間に申し訳がありません。妥当な選択と言って良いでしょう」コトロ。
先ほどからたまに通信のイヤリングから各車の雑談が入ってくる。
「アイク、ペルーシア、バーディックもいたんだろ?大丈夫だぜ」
「あぁ、イヤリングのレンジ外で野宿してました!っとか言いながら悪びれもせず出てくるぜ」
「俺、アイクがまだ駆け出しのガキだった時に…」
男冒険者の冗談が続いている。
「全員招集だとギルマスも全員出るの?お店を閉めるのは意外だったけど…」リリアはしばらく聞こえてくる雑談を黙って聞いていたがコトロに質問した。
「私は普段バーにいますが、緊急時にまでリュートを引いて酔っぱらいの相手をしている程、のん気でもありませんよ。最初はネーコとラビにお店を任せてどこかの馬車に便乗しようかと思っていましたが… 恐らく、村の宿はいっぱいでしょうし、そうなると寝る場所は確保しないといけません。他ギルドに気を使って縮こまっているより、自分達の馬車を用意したほうが良いと思いました。どうせ馬車を用立てるならネーコとラビも来て活動した方がメンツが立ちます」コトロ。
「ふーん… どこのギルドもこんな場合は全員集合?」リリアが聞く。
「他のギルドは他のギルドの事なので何とも言えませんが、大きなギルドなら雑務やバックアップを街に残していると思いますよ。このような場合はお互い様ですから、集められる主力は集めていると思います」
コトロの説明が終わるとしばらくリリアは黙って通信を聞いていた。
日が暮れ、リリア達は魔物を退けながら村まで道を急いだ。
夜中、ようやく村に到着して、各車馬車を止める。
ゴーントレットの新人が皆を迎える。
「皆さん、お疲れ様でした。宿の食堂が開放されています。先に来たメンバーはもう休んでおりますが、案内役がいます。明日の朝からブリーフィングを行うので今日は、食堂に用意した食事を食べ、休んでください。宿はもう満室です、寝床が入用の人は食堂にいるメンバーに相談してください。是非食事してお休みください」
コトロはネーコ達に短く指示を出すとリリアを伴い宿屋に向かった。
「皆さん、お疲れ様です、どうぞ、お使いください」
食堂に入るとゴーントレットのスタッフ働いていて、新人がタオル類を差し出してくれた。
小さな食堂にビュッフェスタイルの食事が用意してあり、壁には書き込みされたマップが張られてある
リリアが見ると、見知ったメンバーが食堂の隅に寝具を引いて寝ている。
部屋も溢れる様に雑魚寝状況なのだろう。
今、到着したメンバーが入ってくると食堂は少し騒がしくなった。
「コトロ、リリア、大変だったでしょう、お疲れ様」
カレーラがリリア達を見つけて挨拶に来た。
青白い顔に微笑みを浮かべている。
「状況は?… そうなの… 明日の朝からですね…」コトロがカレーラと言葉を交わす。
周囲もマップの前に集まったり、他のスタッフから状況を聞いている。
リリアが見るにカレーラにもやつれが見える。
「ハンスは娘さんのご両親を迎えに街に戻ったわ。朝までにはここに戻るって。とにかく今日はもう休んで、お風呂も沸いている、スープも温めなおすから。寝る場所あるの?コトロ達」カレーラ。
「私達は馬車で寝るから、食べ物なんて冷えていたって大丈夫ですよ、我々も食事を貰って馬車で休みますから、カレーラ達も… 休んだらいいですよ。 リリア、食事四人分を持って馬車に戻りましょう」コトロが声をかける。
リリアはコトロの言葉に頷くとカレーラにハグをした。
「カレーラ、大丈夫だよ、皆明日には戻るよ、必ず戻るよ、あなたに、皆様に神のご加護を」
カレーラはリリアの肩に頬を寄せると小さく頷いた。
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