勇者の血を継ぐ者

エコマスク

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【248.5話】 物理系弓女の会 ※少し前の話し※

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「マリベル、キララ、シャミネーラ、お待たせ、今日も皆さんに神のご加護がありますように」
リリア、ネーコ、ラビが城門まで来ると、既にメンバー全員集合中。
今日は物理弓女の会があるのだ。

物理弓女の会のメンバーはリリア、マリベル、キララ、シャミネーラの四人。それに今日は天気が良くバー・ルーダの風もお休みなのでネーコとラビも来ている。
ネーコとラビはメンバーではないが、リリアが物理弓女の会をBBQしながら開催すると言うので材料や道具持って一緒に参加。
リリアはローゼンさんの弓とお試し弓、それとターゲットを持ってやってきた。
「それでは、物理弓女の会、セダーの丘にレッツゴー!」
皆で城門を出る。
コトロはバード仲間のイベントを手伝いに行って弓女の会は不参加。


物理弓女の会
半年ほど前にリリア達が立ち上げた会。
メンバーは四人、リリア、マリベル、キララ、シャミネーラ。
会長はとりあえずシャミネーラ。

会の意義:
弓攻撃を得意とする物理系女子の地位向上に努める
活動内容:
気が向いたらメンバーで集まり、BBQがてら弓を練習して隙あらば世の中に弓の凄さを認めてもらう
なのだそうだ

冒険者にはスコアシートという物がある。
倒した魔物の数や、質、何か冒険者として撲滅・支援・救助活動を行ったり、街のクエスト等を遂行することで、点数が付くのだ。
戦闘に限って言えば、パーティーリーダー等が責任を持って報告の書類を出すし、何かあれば現場の衛兵等から書類を書いてもらう。
このスコアには計算方法があるのだ。これが喧々諤々の議論の元。
例えばパーティーで大物を倒したとして、最もダメージを与えた者の手柄が大きいのか、最後の一撃を与えた者の手柄なのか、いやいや、そもそも、エンチャントで攻撃力を支援した魔法、怪我をして行動不能になるのを防いだ治癒者の功績、元を言えばトラップを仕掛けた事によりなのか、小さい一撃でも足止めをさせた者のお陰か…
議論は不毛…

リリアが不満を口にする「弓支援のスコア計算が低すぎるよ」はこれ。
この弓攻撃の計算方法の式が割に合わないといった内容。
もっとも「前衛のリスクを考えろ」とか「精霊は呼び出すのに時間かかるけど実質二人分以上の働きなのよ」とか「魔物も人も空からの不意打ちに弱いの、空からの攻撃は倍計算でも良くない?」とか、誰も我が攻撃こそと名乗り始めるので口に出したらきりがない。
まぁ、とりあえず、どの冒険者もスコアには不満があるという話し。

で、リリア達がバーで飲んでいたら弓の話となり「弓の計算って甘いよね」「そうだ、そうだ」となり、「物理弓がいちばんスナイピング向けだよね」「そうだ、そうだ」となり、「もっと弓の凄さを世の中にアピールすべきよ」「そうだ、そうだ」となり、「よし、物理弓の得意なうちらでもっと弓を世の中に伝えよう」となり、「賛成、大賛成!かんぱーい!」となり、
気がついたら物理弓女の会というのが発足されていた。
この四人が特に弓が優秀というものでもない。
確かにリリアは恐らくルーダ・コートには並ぶ者がいないくらい秀でていて、エルフのシャミネーラ生まれつきの天性がある。
マリベルとキララは人並み、彼女たちの中で弓が最も得意とする武器なだけ。

時々集まって皆で弓の練習をする。今日はBBQセットも用意されている。
因みに会長はシャミネーラ。
「え?私入ってるの?私が会長?物理系じゃないけど…」
当然だがエルフなので、ホーリー系の効果が矢に乗る効果等でアンデッド系統にはバフ効果がある。
それに、三矢射、アクティブショット等、人間種族では出来ない技能を持っている。
「物理的矢が飛んでいくのは一緒だよ。乗りかかった船、あたし達の秘密を知られたからにはただでは帰せない、シャミネーラもメンバー、会長だよ!イエーイ!」
ってな事で物理系弓女の会の会長はエルフのシャミネーラ。

でも、男子は絶対禁制。
「男は絶対に抜きね。槍サーみたいなの嫌」キララが言う。
槍サーとは冒険者の間で男女、性乱れての、やりまくり乱交サークルの隠語となっている。
「ねぇ、ペコ、何で槍サーなの?別に武器は鞭でもヌンチャクでもいっぱいあるじゃない」リリアが質問したことがある。
「知らないわよ。多分槍って突く攻撃するから、ひっかけてるんでしょ」ペコが面倒そうに答えていた。
「槍サー、やるからヤリサー… 突くから槍サー。上手いけど槍を真面目に練習する人には迷惑な名称だよね」リリア。
「あのね、マジだったらサークルじゃなくてね、ちゃんとギルドで作る時間に練習するの。一人でも練習するの。異性がいなくても練習するの。異性と集まろうって時点で腑抜けてるんだよ」ペコが言う。
「なるほど…確かに…」納得のリリア。

それで、物理系弓女の会はたまに思い出しように集まり活動している。
ターゲットを立てて、たまに動く藁人形をターゲットに仕立てて、皆で情報交換し、勉強し、技術向上を目指し練習しながらBBQしている。
友情が芽生え、練習出来、美味しく、楽しい会。素晴らしいぞ、物理系弓女の会。
これがいつどのように、世の中に弓のアピールになるのかわからないが、弓が射れて、お肉を食べれて、お酒が飲めるのだ。細かい事はどうでもよい。


セダーの丘に上がったリリア達はターゲットを地面に立て、弓の練習をしている。
弓は一流のリリア。
「いいこと、もっとこう構えて、静止して、集中、心の目でターゲットを見るの。考えない、感じるの! 俯瞰で見る。まるで空から見ているような気分で、それで、もっとグっと集中ぅ、もっともっと、それで、一気に解き放つ!ビシっと!… ね?見た?あたしの集中力!すごいでしょ?わかった?こんな感じでビシビシ決めるの」リリアが教える。
弓は天才過ぎて凡人の理解の上をいく教え方のようだ。
「集中力って見るものじゃないニャン」ネーコがシートの上に寝っ転がりながらツッコミを入れる。
ラビは苦笑い。

リリア達は適当にわいわいと騒ぎながら弓の練習をしては、お肉と野菜をグリルで焼いて、BBQをしている。

「とっても良い天気ニャン、気持ちいいニャン。ラビも少しはお肉食べるニャン」
ネーコは弓談議に花を咲かせるリリア達を眺めながらビーフ等を皿にとりシートに座りなおした。
「ラビはこっちが好きピョン」焼きトウモロコシに手を伸ばすラビ。

「これ食べたら、リリアちゃんが必殺勇者ショット見せるからね!」
リリア達は和気あいあい。
世間に弓をアピールできているかは謎だが、楽しそうなリリア達の午後。
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