その女、悪魔憑きにつき

犬噛 クロ

文字の大きさ
59 / 60
8.悪魔たちの謝肉祭

8(完)

しおりを挟む
「いっ……!」

 加減もなにもなく、中心に大剣が突き刺さる。景からしたら、たまったものではなかった。

「いっだああああああああああ!!!!!」

 衝撃と痛みが、体のみならず脳天にまで響く。巨大な武具を受け入れさせられた膣道はいっぱいに広がり、裂けてしまいそうだった。
 想い人と結ばれた喜びなど感じる間もなく、破瓜の激痛に絶叫する景を、ティンカー・ベルはニヤニヤ笑いながら見下ろしている。

「このっ……! 悪魔っ! 悪魔あ!」
「そのとおり、我は悪魔だが、なにか?」
「酷いよっ! もうちょっと、加減してくれたって……!」
「おかげで忘れられない経験になったろう? だいたい酷いのは、お前のほうだ。我のなんて、可愛いらしい復讐だ」

 景にちゅっと音を立てて口づけてから、ティンカー・ベルはわずかに腰を引いた。体を起こし、布団の上で正座をすると、景の左右の太ももを、畳んだ自身の膝の上にそれぞれ乗せる。そして高くなった景との結合部分に、指を伸ばした。

「あっ、それ……っ! ダメ……っ!」

 ティンカー・ベルは景のクリトリスを指の腹で撫でながら、ゆっくり腰を前後させた。己の快感を追うより、相手にそれを与えるよう動く。

「あっ、あ……!」

 我慢できないほどの痛苦は消え失せ、景の肉体は悦楽に上書きされていく。
 たった一箇所繋がっているだけなのに、この充足感はなんなのだ。肉体的にも精神的にも満たされて、景の内側は恥ずかしいほどトロトロに蕩けてしまっている。

「ティンカー・ベルぅ……っ」

 悪魔に導かれて、絶頂へと駆け登る。自身に打ち込まれた鋼のように硬い楔を締めつけ、その存在を確かめながら、景は達した。


「あ……」

 ティンカー・ベルは一度、景との結びを解いた。
 荒い息をつき、しばらく余韻に浸ってから、景はおずおずと体を起こした。

「あの、ティンカー・ベル……。ごめんね、私だけ……。まだ終わってないよね……?」
「なに、気にすることはない」

 ティンカー・ベルはにっこりと笑った。その笑顔に応えるように、景も微笑み返す。
 酷いことをされた気もするが、まあいいか……と、景が絆されかけたそのとき、ティンカー・ベルの腕が腰に伸びてくる。景の体はぐるっと反転し、うつ伏せに倒された。

「!?」

 そのまま腰を持ち上げられ、四つん這いの格好にさせられた景は、肩越しに振り返った。ティンカー・ベルは笑ったままだったが、彼の金色の目は針のように鋭く光っていた。

「我が射精するのは、女が先に五回イッてからだからな」
「どういう計算!?」
「悪魔の愛し方というのは、そういうものなのだ」
「いやいやいや……!」

 問いただす前に、景は再び悪魔に侵入されてしまった。

「あっ……!」

 今度はティンカー・ベルは奥まで攻めず、手前にて留まっている。しかし大きく膨れた亀頭で、景の器の縁付近をぐるぐるとかき回し――。嬲られているような鈍い感覚が、景を苦しめた。

「あっ、ああ……!」

 初めてなのに、どうして。一度達したからか、膣内が敏感になっている。だがそれだけではないと、悪魔は囁いた。

「我の指と舌で、散々調教してやったからな。お前の肉体は処女にして、極上の淫乱に仕上がっているのだ」
「そんな……こと……!」

 後ろから伸びてきた手に胸を揉まれ、硬く尖った乳首を摘まれて、景の口から飛び出すはずだった否定の言葉はかき消されてしまった。代わりに漏れるのは、甘い嬌声ばかりだ。

「ああ……っ! やだぁ……!」
「気に入ったか、景。お前はずっと欲しかったんだろう? 我がチンポが」

 肉壁の、景が喜ぶ箇所を見つけた悪魔は、その一点だけを擦るように動いた。

「ちが……! ティンカー・ベルの、あ、アレ……が欲しかったんじゃなくて……! あなたが、す、きだから、抱いて欲しかったのに……!」
「……………………」

 しばらく悪魔は無言になった。が、気配で、景は彼が笑っているのだと分かった。

「なんで、笑う……のぉ……っ!」
「あまりに愚かだからだ。せっかく逃げてきたのに――このまま逃げられたのに、我が手に堕ちたお前が。我を選んだお前が!」

 ティンカー・ベルは景の腕を強く引いた。手綱を引かれた馬のように、景の上体は反り返る。

「……っ!」

 膣道の入り口から奥まで一直線にズルリと抉られ、景は再び達してしまった。
 目が眩み、一度目のときよりも深く重い愉悦に包まれる。声すら出せなかった。
 膝立ちの状態の景を後ろから貫いたまま、ティンカー・ベルは彼女の体に腕を巻きつけた。景の顎を掴み、上を向かせる。耳を齧り、そのまま声を注ぎ込んだ。

「我は一度、身を引いた。それなのにお前は、自ら堕ちてきた。ならば我は、もうお前を離さない。黒き沼のその色にとことんお前を染め上げ、沈めてやろう」

 ティンカー・ベルは低く唸り、景の腹の奥で巨大な塊が爆ぜた。爆発地点から、じんわりと熱が広がっていく。

 ――五回も、じゃなくて良かった……。

 そんな回数イカされていたら、きっと死んでしまうだろう。
 真っ白になった頭の中で、景は考える。
 もしかすると自分は、とんでもない決断をしたのだろうか。

 ――だけど……。

「大好き、ティンカー・ベル……。私は幸せだよ……」

 普段は後悔ばかりしているくせに、今は心晴れやかだ。
 だからきっと、これでいいのだ。

「……バカめ」

 珍しく照れているのだろうか。ぼそっとつぶやくと、ティンカー・ベルは景の頬に優しくキスをする。
 ――こうして二人は、悪魔と契約者ではなく、恋人同士になったのだった。


 ~ 終 ~

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

処理中です...