砂漠の国のハレム

さち

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ファティマのお茶会

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 ふたりが中庭に行くとすでにファティマとアイーシャ、アラン、シャロンがそろっていた。
「遅くなってすみません」
「かまいませんよ。シャムシードさま、皆さまへのご挨拶はすみましたか?」
「はい。シャロンさまのおかげで」
遅れたことを謝るシャイムとシャムシードの言葉に、ファティマは微笑みながら首を振ってシャイムを隣に座らせる。ファティマがにこりと笑ってうなずくと、侍女たちが菓子を持ってきた。
「ご挨拶は大事ですからね。さ、皆さまお茶とお菓子を楽しんでくださいませ」
ファティマの言葉でお茶会が始まった。お茶はファティマ自らいれる。シャロンとアランはいつもより固い表情だったが、ファティマとアイーシャはいつものように穏やかに微笑んでいた。シャイムもファティマとアイーシャに挟まれて微笑んでいる。シャムシードはそんな5人の様子を観察しながらお茶を飲んでいた。
「そういえば、シャムシードさま、ともにハレムに入られたもうひとりの方はどうなさっているかご存知ですか?」
ファティマがにこりと笑いながらシャムシードに声をかける。シャムシードはファティマの言葉に首を振った。
「いえ、昨日ハレムに入るときは一緒でしたが、それからお会いしておりません」
「そうですか。ここでは唯一の女性の妃ですからね。心細くていらっしゃるのかもしれませんね」
ファティマはそう言って微笑んだが、その笑顔はどこか冷たいものだった。
「シャムシードさま、何かご不便はありませんか?」
ファティマの様子に苦笑しながらアイーシャが尋ねると、シャムシードは「大丈夫です」と頭を下げた。
「お気遣いいただきありがとうございます」
「ここでは家に煩わされることもありません。穏やかにお過ごしくださいね?」
緊張している様子のシャムシードにアイーシャが微笑む。シャムシードは驚いたような顔をすると、少し目を伏せてうなずいた。
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