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1章「運命の幕開け」
12話 目醒め……?
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体が熱い。でも、凍えるように寒い。
わたしは色んな夢を見た。ぐるぐる目が回るほどの色んな夢を。
そしてこれは――そうだ。ゲームの夢だ。前世の私がやっていた『ドラゴンズ・サーガ』だ。
私は一人で色んな敵を倒した。
やりこんで、時々課金をして、沢山の経験値を手に入れて、色んな装備を手に入れた。
私が死ぬまでに解放されていた全てのジョブ、全てのスキルをレベルマックスにするまではやりつづけていた。
『――いっけえ!』
私のキャラクターが詠唱している。
ああ、これは魔法だ。確か最後に手に入れられる超強力な大魔法。
わたしは『私』のプレイを目に焼き付ける。
剣士も良いけれど、やっぱりド派手な魔法が好き。
おまけに魔法使いはソロ向きのジョブじゃないから。その分スリルがあってやりこんでいて楽しかった。
私が亡くなる直前のアップデートで確か魔法と剣士のいいとこ取りの『魔法剣士』のジョブが追加されたんじゃなかったっけ――あれも楽しそうだったなぁ。
ああ、意識が浮上していく。
もうすぐ巨大エネミーが倒せそうだったのに。残念。
リラ。これは『私』の全て。『私』の記憶。
だからきっとこれは『あなた』にも引き継がれる。
目覚めたらリラの世界。私が望んだ最高の世界。
だから、精一杯楽しもうね。
「――――」
「あ、目が覚めたんだね」
目覚めるとシスターと目があった。
「…………エネミー。報酬」
自分でびっくりするほど残念そうな声が出た。
伸ばした手がなんだか熱いような気がする。
「なにいってんだいアンタは」
「リラ!」
呆れたシスターの声が聞こえた瞬間、けたたましい音を立てて部屋に誰かが入ってくる。
リオンだ。かなり焦った顔をして、整えられた髪が乱れている。
「大丈夫かい?どこか具合が悪いとか、痛むところはないかい?」
「……平気。大丈夫、だよ」
「ああよかった。まるまる一週間眠っていたんだよ。ああ……君が死んでしまったかと思った」
リオンは私の両肩に手を乗せて、それはもう大きな息をついていた。
よっぽど心配してくれていたんだろう。彼の右の手の甲に見える赤い紋章をそっと撫でた。
「リオン、ごめんなさい。わたし、リオンのこと疑って。あなたはわたしのこと守ってくれていたのに」
「いいんだよ。あんな状況だったんだから、人を疑うのも無理はない」
「あの雨の中ずっと濡れていた。おまけに父親が死んだことで過度のストレスを感じていたんだろう。無理もない」
二人ともわたしを心配してくれていた。
体は軽いが頭はぼーっとしていて少し痛い。そしてとても目が疲れている。
まるで丸一日ずっとゲームに熱中していた後のような感じだ。
「今度こそ君を失うかとおもった」
「きっとパロマが守ってくれたんだろうね」
パロマ、お母様の名前だ。
「お前がお腹の中にいた時、彼女は必死になって守った。きっと今回もパロマが守ってくれたんだろう」
まるで母親が自分の命を犠牲にしたようじゃないか。
俯くわたしに、シスターがしまったという顔をする。
「ごめん。責めたわけじゃない。あんたが気に病むことじゃないよ。その分アンタが幸せに生きれば良いことさ」
幸せな記憶が蘇る。
お父様がいて、リオンがいて。クランのみんながいて。
あの屋敷で過ごした幸せな日々がキラキラと輝いている。まるで遠い遠い過去のように。
『リラ――』
大きくて強くてカッコイイお父様のことを思い出し、ぽろぽろと涙が零れる。
「……おとうさま」
お父様が死んでからわたしはようやく泣けた。
涙を拭うわたしをシスターが抱きしめてくれる。
「あんたは一人じゃない。心強い味方がいる、私もね」
「私も、ずっとリラの傍にいるから」
二人の大人の温かさが嬉しかった。
わたしは色んな夢を見た。ぐるぐる目が回るほどの色んな夢を。
そしてこれは――そうだ。ゲームの夢だ。前世の私がやっていた『ドラゴンズ・サーガ』だ。
私は一人で色んな敵を倒した。
やりこんで、時々課金をして、沢山の経験値を手に入れて、色んな装備を手に入れた。
私が死ぬまでに解放されていた全てのジョブ、全てのスキルをレベルマックスにするまではやりつづけていた。
『――いっけえ!』
私のキャラクターが詠唱している。
ああ、これは魔法だ。確か最後に手に入れられる超強力な大魔法。
わたしは『私』のプレイを目に焼き付ける。
剣士も良いけれど、やっぱりド派手な魔法が好き。
おまけに魔法使いはソロ向きのジョブじゃないから。その分スリルがあってやりこんでいて楽しかった。
私が亡くなる直前のアップデートで確か魔法と剣士のいいとこ取りの『魔法剣士』のジョブが追加されたんじゃなかったっけ――あれも楽しそうだったなぁ。
ああ、意識が浮上していく。
もうすぐ巨大エネミーが倒せそうだったのに。残念。
リラ。これは『私』の全て。『私』の記憶。
だからきっとこれは『あなた』にも引き継がれる。
目覚めたらリラの世界。私が望んだ最高の世界。
だから、精一杯楽しもうね。
「――――」
「あ、目が覚めたんだね」
目覚めるとシスターと目があった。
「…………エネミー。報酬」
自分でびっくりするほど残念そうな声が出た。
伸ばした手がなんだか熱いような気がする。
「なにいってんだいアンタは」
「リラ!」
呆れたシスターの声が聞こえた瞬間、けたたましい音を立てて部屋に誰かが入ってくる。
リオンだ。かなり焦った顔をして、整えられた髪が乱れている。
「大丈夫かい?どこか具合が悪いとか、痛むところはないかい?」
「……平気。大丈夫、だよ」
「ああよかった。まるまる一週間眠っていたんだよ。ああ……君が死んでしまったかと思った」
リオンは私の両肩に手を乗せて、それはもう大きな息をついていた。
よっぽど心配してくれていたんだろう。彼の右の手の甲に見える赤い紋章をそっと撫でた。
「リオン、ごめんなさい。わたし、リオンのこと疑って。あなたはわたしのこと守ってくれていたのに」
「いいんだよ。あんな状況だったんだから、人を疑うのも無理はない」
「あの雨の中ずっと濡れていた。おまけに父親が死んだことで過度のストレスを感じていたんだろう。無理もない」
二人ともわたしを心配してくれていた。
体は軽いが頭はぼーっとしていて少し痛い。そしてとても目が疲れている。
まるで丸一日ずっとゲームに熱中していた後のような感じだ。
「今度こそ君を失うかとおもった」
「きっとパロマが守ってくれたんだろうね」
パロマ、お母様の名前だ。
「お前がお腹の中にいた時、彼女は必死になって守った。きっと今回もパロマが守ってくれたんだろう」
まるで母親が自分の命を犠牲にしたようじゃないか。
俯くわたしに、シスターがしまったという顔をする。
「ごめん。責めたわけじゃない。あんたが気に病むことじゃないよ。その分アンタが幸せに生きれば良いことさ」
幸せな記憶が蘇る。
お父様がいて、リオンがいて。クランのみんながいて。
あの屋敷で過ごした幸せな日々がキラキラと輝いている。まるで遠い遠い過去のように。
『リラ――』
大きくて強くてカッコイイお父様のことを思い出し、ぽろぽろと涙が零れる。
「……おとうさま」
お父様が死んでからわたしはようやく泣けた。
涙を拭うわたしをシスターが抱きしめてくれる。
「あんたは一人じゃない。心強い味方がいる、私もね」
「私も、ずっとリラの傍にいるから」
二人の大人の温かさが嬉しかった。
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