わたしがクランマスターですっ!〜転生幼女とおじさまパーティーの異世界生活《ライフ》〜

松田 詩依

文字の大きさ
13 / 20
1章「運命の幕開け」

12話 目醒め……?

しおりを挟む
 体が熱い。でも、凍えるように寒い。
 わたしは色んな夢を見た。ぐるぐる目が回るほどの色んな夢を。
 そしてこれは――そうだ。ゲームの夢だ。前世のがやっていた『ドラゴンズ・サーガ』だ。
 私は一人で色んな敵を倒した。
 やりこんで、時々課金をして、沢山の経験値を手に入れて、色んな装備を手に入れた。
 私が死ぬまでに解放されていた全てのジョブ、全てのスキルをレベルマックスにするまではやりつづけていた。

『――いっけえ!』

 私のキャラクターが詠唱している。
 ああ、これは魔法だ。確か最後に手に入れられる超強力な大魔法。
 わたしは『私』のプレイを目に焼き付ける。

 剣士も良いけれど、やっぱりド派手な魔法が好き。
 おまけに魔法使いはソロ向きのジョブじゃないから。その分スリルがあってやりこんでいて楽しかった。
 私が亡くなる直前のアップデートで確か魔法と剣士のいいとこ取りの『魔法剣士』のジョブが追加されたんじゃなかったっけ――あれも楽しそうだったなぁ。

 ああ、意識が浮上していく。
 もうすぐ巨大エネミーが倒せそうだったのに。残念。

 リラ。これは『私』の全て。『私』の記憶。
 だからきっとこれは『あなた』にも引き継がれる。
 目覚めたらリラ私たちの世界。由良が望んだ最高の世界。
 だから、精一杯楽しもうね。

「――――」
「あ、目が覚めたんだね」

 目覚めるとシスターと目があった。

「…………エネミー。報酬」

 自分でびっくりするほど残念そうな声が出た。
 伸ばした手がなんだか熱いような気がする。

「なにいってんだいアンタは」
「リラ!」 
 
 呆れたシスターの声が聞こえた瞬間、けたたましい音を立てて部屋に誰かが入ってくる。
 リオンだ。かなり焦った顔をして、整えられた髪が乱れている。

「大丈夫かい?どこか具合が悪いとか、痛むところはないかい?」
「……平気。大丈夫、だよ」
「ああよかった。まるまる一週間眠っていたんだよ。ああ……君が死んでしまったかと思った」

 リオンは私の両肩に手を乗せて、それはもう大きな息をついていた。
 よっぽど心配してくれていたんだろう。彼の右の手の甲に見える赤い紋章をそっと撫でた。

「リオン、ごめんなさい。わたし、リオンのこと疑って。あなたはわたしのこと守ってくれていたのに」
「いいんだよ。あんな状況だったんだから、人を疑うのも無理はない」
「あの雨の中ずっと濡れていた。おまけに父親が死んだことで過度のストレスを感じていたんだろう。無理もない」

 二人ともわたしを心配してくれていた。
 体は軽いが頭はぼーっとしていて少し痛い。そしてとても目が疲れている。
 まるで丸一日ずっとゲームに熱中していた後のような感じだ。

「今度こそ君を失うかとおもった」
「きっとパロマが守ってくれたんだろうね」

 パロマ、お母様の名前だ。

「お前がお腹の中にいた時、彼女は必死になって守った。きっと今回もパロマが守ってくれたんだろう」

 まるで母親が自分の命を犠牲にしたようじゃないか。
 俯くわたしに、シスターがしまったという顔をする。

「ごめん。責めたわけじゃない。あんたが気に病むことじゃないよ。その分アンタが幸せに生きれば良いことさ」

 幸せな記憶が蘇る。
 お父様がいて、リオンがいて。クランのみんながいて。
 あの屋敷で過ごした幸せな日々がキラキラと輝いている。まるで遠い遠い過去のように。

『リラ――』

 大きくて強くてカッコイイお父様のことを思い出し、ぽろぽろと涙が零れる。

「……おとうさま」

 お父様が死んでからわたしはようやく泣けた。
 涙を拭うわたしをシスターが抱きしめてくれる。 

「あんたは一人じゃない。心強い味方がいる、私もね」
「私も、ずっとリラの傍にいるから」

 二人の大人の温かさが嬉しかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

見習い動物看護師最強ビーストテイマーになる

盛平
ファンタジー
新米動物看護師の飯野あかりは、車にひかれそうになった猫を助けて死んでしまう。異世界に転生したあかりは、動物とお話ができる力を授かった。動物とお話ができる力で霊獣やドラゴンを助けてお友達になり、冒険の旅に出た。ハンサムだけど弱虫な勇者アスランと、カッコいいけどうさん臭い魔法使いグリフも仲間に加わり旅を続ける。小説家になろうさまにもあげています。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?

山咲莉亜
ファンタジー
 ある日、高校二年生だった桜井渚は魔法を扱うことができ、世界最強とされる精霊王に転生した。家族で海に遊びに行ったが遊んでいる最中に溺れた幼い弟を助け、代わりに自分が死んでしまったのだ。  だけど正直、俺は精霊王の立場に興味はない。精霊らしく、のんびり気楽に生きてみせるよ。  趣味の寝ることと読書だけをしてマイペースに生きるつもりだったナギサだが、優しく仲間思いな性格が災いして次々とトラブルに巻き込まれていく。果たしてナギサはそれらを乗り越えていくことができるのか。そして彼の行動原理とは……?  ロマンス、コメディ、シリアス───これは物語が進むにつれて露わになるナギサの闇やトラブルを共に乗り越えていく仲間達の物語。 ※HOT男性ランキング最高6位でした。ありがとうございました!

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

暗殺者から始まる異世界満喫生活

暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。 流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。 しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。 同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。 ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。 新たな生活は異世界を満喫したい。

処理中です...