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お礼とお願い 森山さん!

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Kはマーブルの散歩の途中、プレハブから少し離れた場所に新しく自動車の教習所ができたのを見付けた。

「マーブル、こんなところに教習所ができたんだね」

「ワン、ワン!」

マーブルは教習所に入りたがるも

「そうか、俺はまだ免許持ってなかったか、もしかしてマーブル、家族が新しくできたら俺が運転するってこと?」

「ワン!」

「ワンって免許を取るにはお金も時間も手間もかかるんだよ」

「ウー」

「進さんに相談してみようか、でも由比さんが一人前の獣医になってからのほうがいいか、ん~、森山さんか、森山さんにこういうことは相談したらいいか、ねえマーブル」

「ワンワン」


◆ 森山の動物病院

「森山さ~ん」 

「おお、Kさん」

「今日はこないだのお礼もかねて、折り入ってご相談があります」

「お礼?相談?あらたまってどうした?」

「こないだは由比さんのこと、ありがとうございました」

「由比ちゃんのこと?」

「あのあと由比さんと仲良くなれて、由比さんが一人前の獣医になったら結婚するって約束したんだ」

「え?そこまで発展してたんだ」

「進さんにはまだ話してないけれど、いまはまだリハビリ中だし、本格的な話をするのは由比さんが一人前の獣医になってからのほうがいいのかなって」

「そうか、そういうことだったのか、ところで僕に相談したいことがあったんじゃなかったのかい、僕にできることなら相談にのろう」

「森山さん、この近くに自動車の教習所できたの知ってた?」

「教習所?新しいとこか」

「僕はまだ自動車の免許を持っていないから、そこに通いたいんだけど、お金があまりないからどうしたらいいのかなって」

「Kさん、まだ車の免許持っていなかったのか、そうか、仕事で運転するのに必要なのかな?」

「近い将来、新しい家族ができた時、僕が車を運転するのに必要なんだ、由比さんも卒業したら国家試験に合格して、それまでには僕が運転できるようにになっていたいんだ」

「そういうことか」

「森山さんや進さんにいつまでも運転してもらうのも男として格好悪いし、ひとりの女を守る立場になったら…」

「それならば僕が教習のための費用を出そう」

「ありがとう!森山さん!!」
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