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プロローグ
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岩と砂だらけの平原。真っすぐに伸びた舗装されていない道を私たちが乗る大型のトレーラーが進む。
タブレットで現在位置を確認するチベット高原の中に私たちの現在位置を示す赤い点が一つだけ移動しながら点滅している。
目的地の香港まで、1日と半分。インドから1週間で香港に向かう旅だ。
保存食品とエナジードリンクだけの生活ももう少しで終わる。
濃い緑のシートに包まれている、私のフェンリルの隣に転がって雲一つない空を見上げた。
『ユリ、聞こえるか?後方から三機近づいてきている。山賊だろうな』
無線から男の声が聞こえる。パートナーであるリュウの声だ。
「振り切る?それとも、潰す?」
『潰せ。追いつかれる』
起き上がると背後から3つの砂煙が巻き上がっているのが見えた。
フェンリルに覆いかぶさっているシートを剥ぎ取る。
白のフォルムのツアラー型をベースに最新の流体力学を取り入れた流線型の骨格と装甲。前輪を挟むように12.7mm対物ライフルを二丁取り付けている。後輪の右側にはスモーク弾、左側には拡散型のロケット弾と超振動ブレードを二本を装着している。
私はそっとボディを撫でてからまたがる。そして、フルフェイスマスクのヘルメットを着用して、エンジンを起動させる。
まるで生き物の心臓みたいに一定のリズムで振動が発生している。マシン独特の熱も私に伝えてくる。
「いいよ。固定器具を外して」
それを言うと同時に車輪を挟んでいた器具が外れる。
勢いよく床を蹴って、トレーラーの荷台後方から飛び出す。地面に着くと同時にトレーラーの進行方向とは逆方向に加速。グリップを思いっ切り回した。
攻撃目標まで、残り1キロ。
すべての武器の安全装置を解除して、いつでも射撃できるようにしておく。
前方に向かって左右一発ずつライフルを撃つ。二つの薬莢が宙を舞った。
射程圏内だけど、避けられただろう。次はすれ違い様に決めよう。
超振動ブレードを右手で柄を握り、鞘から抜いた。
―――残り5秒。
撃ってきたけど、ばら撒いてるだけでは私には当たらないのに。
―――残り4秒。
次は狙いを定める。三台並んでいる真ん中の奴にしよう。
―――残り3秒。
もう少し。焦らない。
―――残り2秒。
前方の装甲に数発、弾が当たった。
あーあ。タダじゃないのに。
―――残り1秒。
さよなら。
―――ゼロ。
一気にブレードを抜いて、水平にパイロットごと切り裂く。
白いボディに血の赤が飛び散り、血の斑点が複数付いた。後で洗わないと、血の色は嫌いじゃないけど。
前輪にだけブレーキをかける。後輪が浮いた状態で前輪を軸にして車体ごと180度回転させる。
後輪が地面に接すると同時に急加速し、残りの2台を追いかける。 前方の車輪から弾を撃つ。薬莢をまき散らしながら突き進む。弾が放たれる度に空気を震わす音と振動が気持ちいい。
残りの2台から爆雷をまき散らす。後ろを取られた場合の戦闘方法は知っているか……。
かわせるものはかわす、当たりそうなものはブレードの刀身で弾く。
「君たちが知ってる戦い方は私も知ってるよ」
私は一気に速度を上げた。握っていたブレードを思いっ切り投げる。
人ごと貫き、ブレードで地面に張り付けた。
「あと1匹」
もう1本のブレードを抜く。決めよう、早く終わらせて眠りたい。それにお腹空いた。
後ろから弾丸を放ちながら距離を詰める。
必死に撃ってくるけど、拳銃じゃ当たらないよ。
相手のヘルメット越しに恐怖で目が見開いた顔が薄黒いプラスチックの板越しに見えた。
「残念だったね」
距離を詰めて、名前も知らない人の首が空を舞う。首から飛び散る鮮血は枯れた色のない大地をわずかに潤した。
徐々に速度を落としてから、私のバイクを止める。
ヘルメットを取ると荒野独特の細かい埃とチリが混ざった風を感じる。
ライダースーツのチャックを開いて、腰で両袖を結ぶ。
中に着ていたタンクトップが露わになる。首からは私の所属している機動兵団のネックレスがぶら下がっている。
バイクに腰かけ、無線のマイクに話す。
「終わったよ。迎えに来てよ、リュウ」
『しばらく待ってろ』
その一言が聞こえると無線が切れた。
私は深く息を吐いて、空を見上げた。光輝く太陽はじりじりと大地を焦がしているようだ。
汗が頬を伝う。迎えに来るまで、何も考えないで待っていよう。
タブレットで現在位置を確認するチベット高原の中に私たちの現在位置を示す赤い点が一つだけ移動しながら点滅している。
目的地の香港まで、1日と半分。インドから1週間で香港に向かう旅だ。
保存食品とエナジードリンクだけの生活ももう少しで終わる。
濃い緑のシートに包まれている、私のフェンリルの隣に転がって雲一つない空を見上げた。
『ユリ、聞こえるか?後方から三機近づいてきている。山賊だろうな』
無線から男の声が聞こえる。パートナーであるリュウの声だ。
「振り切る?それとも、潰す?」
『潰せ。追いつかれる』
起き上がると背後から3つの砂煙が巻き上がっているのが見えた。
フェンリルに覆いかぶさっているシートを剥ぎ取る。
白のフォルムのツアラー型をベースに最新の流体力学を取り入れた流線型の骨格と装甲。前輪を挟むように12.7mm対物ライフルを二丁取り付けている。後輪の右側にはスモーク弾、左側には拡散型のロケット弾と超振動ブレードを二本を装着している。
私はそっとボディを撫でてからまたがる。そして、フルフェイスマスクのヘルメットを着用して、エンジンを起動させる。
まるで生き物の心臓みたいに一定のリズムで振動が発生している。マシン独特の熱も私に伝えてくる。
「いいよ。固定器具を外して」
それを言うと同時に車輪を挟んでいた器具が外れる。
勢いよく床を蹴って、トレーラーの荷台後方から飛び出す。地面に着くと同時にトレーラーの進行方向とは逆方向に加速。グリップを思いっ切り回した。
攻撃目標まで、残り1キロ。
すべての武器の安全装置を解除して、いつでも射撃できるようにしておく。
前方に向かって左右一発ずつライフルを撃つ。二つの薬莢が宙を舞った。
射程圏内だけど、避けられただろう。次はすれ違い様に決めよう。
超振動ブレードを右手で柄を握り、鞘から抜いた。
―――残り5秒。
撃ってきたけど、ばら撒いてるだけでは私には当たらないのに。
―――残り4秒。
次は狙いを定める。三台並んでいる真ん中の奴にしよう。
―――残り3秒。
もう少し。焦らない。
―――残り2秒。
前方の装甲に数発、弾が当たった。
あーあ。タダじゃないのに。
―――残り1秒。
さよなら。
―――ゼロ。
一気にブレードを抜いて、水平にパイロットごと切り裂く。
白いボディに血の赤が飛び散り、血の斑点が複数付いた。後で洗わないと、血の色は嫌いじゃないけど。
前輪にだけブレーキをかける。後輪が浮いた状態で前輪を軸にして車体ごと180度回転させる。
後輪が地面に接すると同時に急加速し、残りの2台を追いかける。 前方の車輪から弾を撃つ。薬莢をまき散らしながら突き進む。弾が放たれる度に空気を震わす音と振動が気持ちいい。
残りの2台から爆雷をまき散らす。後ろを取られた場合の戦闘方法は知っているか……。
かわせるものはかわす、当たりそうなものはブレードの刀身で弾く。
「君たちが知ってる戦い方は私も知ってるよ」
私は一気に速度を上げた。握っていたブレードを思いっ切り投げる。
人ごと貫き、ブレードで地面に張り付けた。
「あと1匹」
もう1本のブレードを抜く。決めよう、早く終わらせて眠りたい。それにお腹空いた。
後ろから弾丸を放ちながら距離を詰める。
必死に撃ってくるけど、拳銃じゃ当たらないよ。
相手のヘルメット越しに恐怖で目が見開いた顔が薄黒いプラスチックの板越しに見えた。
「残念だったね」
距離を詰めて、名前も知らない人の首が空を舞う。首から飛び散る鮮血は枯れた色のない大地をわずかに潤した。
徐々に速度を落としてから、私のバイクを止める。
ヘルメットを取ると荒野独特の細かい埃とチリが混ざった風を感じる。
ライダースーツのチャックを開いて、腰で両袖を結ぶ。
中に着ていたタンクトップが露わになる。首からは私の所属している機動兵団のネックレスがぶら下がっている。
バイクに腰かけ、無線のマイクに話す。
「終わったよ。迎えに来てよ、リュウ」
『しばらく待ってろ』
その一言が聞こえると無線が切れた。
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