悪役令嬢は訳あり執事に溺愛される

さらさ

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㊳突然の参加者

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わたくしはヘンリー王子の真意を知って戸惑っていた。わたくしが書簡を読まなかったことで、ヘンリー王子を傷付けてしまった・・・

「レイラ嬢、今はレイラ嬢が剣を返却された事で婚約破棄が成立しています。もう一度、ヘンリー王子と婚約して頂けませんか?」

ジェフリー様がわたくしを真剣に見つめて言う。
その瞬間、わたくしの頭にはミカの笑顔が浮かんでいた。
知らなかったとはいえ、わたくしが婚約破棄をしてしまって、ヘンリー王子には申し訳なく思う。
けれど、ミカの事が好きだと気がついてしまった今、ヘンリー王子との婚約は出来ない。
でも、そんな虫のいい話しで許してもらえるのかしら・・・

どうお返事をすればいいの?
わたくしはいろいろ考えた結果、正直に話す事にした。

「わたくしのミスで婚約破棄になってしまって本当に申し訳ございません。ですが、もう一度婚約させていただくことは出来ません。」

「なぜです?」

ジェフリー様は理由を促す。
けれど、使用人のミカが好きだからなんて理由言えるわけない。

「・・・どなたか・・・好きな方がいらっしゃるのですか?」

わたくしがしばらく黙っていると、ジェフリー様が問いかける。
その言葉に、わたくしは思わず反応してカッと顔が赤くなるのを感じて、下を向く。

「・・・分かりました。無理にとは申しませんのでご安心を。出来れば、その想い人が私であれば嬉しかったのですが、どうやら違うようですね。」

ジェフリー様はわたくしに気を使って話を茶化してくださる。
本当にお優しい方だわ。

「ジェフリー様・・・ありがとうございます。」

「お礼を言われる様なことはしていませんよ。」

ジェフリー様はにっこりと微笑む。

「ヘンリー王子には私から説明しておきます。」

「ヘンリー王子様には本当に申し訳ございません。」

わたくしは自分の勝手さに改めて申し訳なさが込み上げてくる。けれど、ミカを好きな気持ちのまま、婚約なんて出来ない。

「レイラ嬢は気にする事ありません。分かりにくい護り方をしたヘンリー王子にも非はあるのですから。ねぇ、ヘンリー王子。」

「え?」

ジェフリー様が振り返った方を見ると、ヘンリー王子が立っていた。

「ええ??ヘンリー王子様!!いつからいらっしゃったのですか?」

「最初から、私が居ると話しにくいかと思い、少し様子を伺わせてもらっていた。まさか、私の手紙を読んでいかなかったとは・・・」

「本当に申し訳ございません!」

わたくしは深々と頭を下げる。

ヘンリー王子はわたくしを護ろうとして下さったのよね・・・悪役令嬢の演技はただのわたくしの空回りだったのね。

「私も無理にとは言わない。今回の事はレイラ嬢にとっても、気持ちの整理をするきっかけになったのなら、それでいいよ。」

ヘンリー王子がジェフリー様の隣に腰掛けながら言う。
ヘンリー王子・・・お優しいお言葉に、涙が出そうになる。

「さて、一つ目の話が着いた所で、もう一つのお話しをさせて頂いてよろしいでしょうか?」

ジェフリー様の声に、ジェフリー様は二点話があると言っていたのを思いだす。

「そうでしたわね、もう一つのお話しとは?」

「これは、ヘンリー王子の事とも重なるのですが、レイラ嬢を襲った犯人を捕まえ、処分が終わりましたので、ご報告に来たのです。」

「犯人・・・ですか?」

そういえば、ヘンリー王子に婚約破棄されたと思った時から、わたくしは襲われなくなっていた。
その犯人を捕まえてくださったの?

「ええ、お話させて頂いてもよろしいでしょうか?」

わたくしは犯人の事が気になる反面、怖くて聴きたくないと思った。



「その話し、俺にも聞かせていただけないだろうか?」

突然背後から声がした。
わたくしの心臓が飛び跳ねる。
ミカだ!ミカの声だ!

慌てて振り向く。
・・・ミ・・・カ?

扉の前に立っているのはミカ・・・よね?
わたくしが戸惑っていると、ジェフリー様が立ち上がる。

「お久しぶりですね。ミカエル君、・・・いいえ、クロード皇帝陛下。」

え?
ジェフリー様、今何を仰ったの?
ジェフリー様もミカエルと呼んだ。だけど、今目の前にいるミカは黒と青を基調とした立派な騎士服に、襟元に銀と深い青で刺繍の施された真っ黒なマントを羽織っている。
そして、ミカの髪の色が・・・漆黒の黒色になっている。

「ジェフリー公爵、お久しぶりです。やはり、俺の正体に気付いていたのですね。」

そう言って、ミカはわたくしの隣まで来る。

「確証があった訳ではありません。もしかしたら・・・ぐらいですよ。クロード皇帝陛下、皇位継承おめでとうございます。」

「ありがとう。」

「ミカエルって・・・え?あのミカエルか?」

ヘンリー王子もビックリしている。
わたくしはミカをまじまじと見ながら、会話についていけていなかった。

「レイラお嬢様、長い間お待たせ致しました。ただいま戻りました。」

ミカがわたくしに向き直って挨拶をする。

「ミカ・・・よね?」

「ええ、そうですよ。詳しいお話は後で、今はジェフリー公爵のお話を聞かせて頂きましょう。」

そう言ってミカはわたくしの隣に腰かけた。
















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