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㊹旅立ち【 最終話 】
しおりを挟む「レイラ嬢・・・俺は一度国に戻らないといけません。直ぐに迎えに来るので待っていてください。そうしたら、俺の元へ来ていただけますか?」
お城に行った翌日、ミカは一度国へ帰って、わたくしを迎える準備ができたら、直ぐに迎えに来ると言ってくれた。
今度は必ず来てくれるってわかってる。
「分かったわ。待ってるわ。」
わたくしがにっこり笑って言うと、ミカがわたくしを抱きしめる。
「本当はこのまま連れて帰りたいけど・・・暫く待っていてください。」
そう言ってわたくしのおでこにキスを落とすと、ミカはまた行ってしまった。
「レイラお嬢様、ミカエル様・・・皇帝陛下はとても素敵な方ですね!」
ミーナが嬉しそうに話す。
「ええ、そうね、でも、黒髪のミカに慣れなくて、ミカは黒髪の方がもっと素敵だと思わない?」
「ええ!本当にそうですね!」
ミーナが同意して力いっぱい頷く。
「レイラお嬢様が羨ましいです!まさか、ミカエル様が皇帝陛下だったとは・・・」
ミーナの瞳はキラキラしている。やっぱり女の子ね。
わたくしも、まさかミカが皇帝陛下だとは思わなかったわ。
「ミーナ、わたくしは皇帝陛下の元に行く事になるの。異国に行くのだけど、もし、ミーナが大丈夫ならついてきて欲しいのだけど・・・」
わたくしは馴染みのミーナに傍仕えとしてついてきて欲しかったけれど、ここから遠く離れた場所に行くことになるので、戸惑いながらお願いした。
「私などがレイラお嬢様のお付でご一緒させて頂いてよろしいのですか?もちろん!私はご一緒出来るなら何処までもご一緒させて頂きます!」
ミーナが元気よく答えてくれる。
「ありがとう。」
そうしてわたくしはミカの迎えが来るまでの期間に、引越しの用意を進めることになった。
まず、わたくしが、先に帝都に入り、イルザンド王国との仲を知らしめてから、お父様、お母様も帝都に入る予定になっている。
それから二ヶ月、最速で準備をして来たと言うミカが、正式にわたくしを迎えに来てくれた。
「お待たせして申し訳ございません。」
わたくしを見るなり謝るミカに、わたくしはミカの立場で、これだけの期間で準備を整え、自ら迎えに来てくれるのが、どれほど大変だっか思うと、申し訳無くなる。
「とんでもございません。ミカが来てくれるならいつまでも待っていますわ。」
わたくしはにっこり笑う。
「少し長い旅路になりますが、俺と来ていただけますか?」
改まって問いかけるミカに、わたくしは背筋をピンと伸ばして微笑む。
「ええ、喜んで。」
そうして、わたくしはミカと10日間の馬車での旅を経て、ミカの国、ルシリア帝国の帝都へと入った。
「レイラ嬢、こうして慌ただしくこんな所まであなたを連れてきてしまい申し訳ございません。レイラ嬢のことはこれからもずっと俺が守ります。俺と結婚していただけませんか?」
宮廷に入り、わたくしの為に用意して下さった部屋に入ると、改まってミカが膝を付いてわたくしに求婚のポーズを取る。
「はい、わたくしで良ろしければ。」
わたくしは左手をミカに向かって差し出す。
「レイラ嬢でなければ意味が無い。」
そう言ってミカがわたくしの手の甲にキスを落とす。
「これからもよろしくお願いしますわ。」
ーーー第一部[完]ーーーー
ーーーーーあとがきーーーーー
ここまで拙い文章にお付き合い下さりありがとうございました。第一部[完]とさせて頂きましたのは、レイラとミカの物語がもう少し描きたくなりまして、【陛下の溺愛するお嫁様】と言うお話を書かせて頂きます。(続きのお話1話目は一緒にupさせて頂いております。)
レイラがミカエルの国に行ってからのお話です。
相変わらずほのぼのですが、内乱後の大きな国での色んな出来事を乗り越えて、2人の絆が深まっていくお話を描きたいと思っています。
もし宜しければ、続きの物語もご覧いただけましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
ここまでお付き合い下さりました皆様に感謝です。
月野さらさ
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