仮面令嬢と変わり者王子の甘い日々

さらさ

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㉚面倒なことになる前に・・・(ラルフレッド)

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「では、酒は関係ないと言うのだな?」

もう一度問いかける父上に、ライアン様が口篭る。

「そうではないかと・・・」

「この酒とグラスを調べさせろ。他のグラスもだ。」

父上は遅れて駆けつけた魔術師に指示を出す。
俺は自分の魔力を使って毒物検知をした結果、グラスに毒物が付着しているのを確認している。

付着していたのは兄上のグラスのみ、しかも最初の乾杯用のグラスには付いてなくて、それ以降で使うグラス全てに付いていた。

明らかに兄上の命を狙ったのもだ。
そして、俺が酒を持参した情報を事前に得ていたのだろう。
あわよくば、俺を犯人に仕立て上げるつもりだったんだ。

犯人は恐らくライアンだろうな。
俺が兄上用に用意された未使用のグラスに酒を注いで飲ませようとしたら拒否した。母上や、父上にも飲ませないように焦っていた。
という事は、グラスに毒物が付いているのを知っている。

アホなライアンの事だから、兄が死ねば、次の候補となる俺は変わり者で、城にも住んでいない。
なので、自分に役が回ってくると思っているのだろう。

簡単に分かってしまう事をやってしまうあたりやっぱりアホだな。

そう思いながら、リリアーナの元に行くと、今にも崩れ落ちそうなリリアーナを抱き上げる。

「ラ、ラルフ様!皆さんの前でっ!」

急に抱き上げられて顔を真っ赤にして抵抗するリリアーナ、いや、それ以前に顔は赤かったけど・・・

「何言ってるの、立ってるのもやっとでしょ。」

優しく見つめると、リリアーナは目を伏せて恥ずかしそうにする。

「何故かふわふわして、とっても眠いんです・・・」

「あれだけ一気に飲んだらそりゃそうだよ。リリアーナ、お酒飲むの初めてでしょ?」

「うん・・・」

恥ずかしそうに頷いた後、俺の胸に顔を埋めるリリアーナ。
耳まで真っ赤になって・・・可愛い・・・
安心したのか、すぐに寝息を立て始めるリリアーナ。

「ありがとう。」

俺はそっとリリアーナの額にキスをする。

アンジェが「キャー!」と顔を真っ赤にして俺達を見て騒いでるのが見えたが無視する。
とりあえず後は父上に任せて退出しよう。
そう思って父上に挨拶に向かう。

「父上、俺はこれで失礼します。」

「ああ、ラルフレッド、リリアーナは酒に弱かったのか?」

俺の腕の中のリリアーナを見て父上が言う。

「そうみたい、初めて飲んだからね。」

「そうか、後の事は私に任せて、リリアーナを早く休ませてあげなさい。」

「はい、ありがとうございます。」

「ラルフレッド。」

立ち去ろうと父上に頭を下げた時に後ろから兄上が俺を呼びとめる。

「なんでしょう?」

振り返って兄上を見ると、顔色もすっかり元通りになっている。

「私を助けてくれたのはラルフレッドだろ?魔法が使えたのか?」

あー、やっぱりすんなり帰らせて貰えないか・・・
早くリリアーナを休ませてやりたいんだけどな・・・

「ええ、少し。」

「少し?宮廷魔道士でもあれ程早く治癒出来たか分からない速さで治してましたよね?」

コーデリア侯爵が腑に落ちない顔で問いかけてくる。

「そうだった?兄上を助ける為に必死だったから覚えてないな・・・」

面倒なことになりそうなので、俺はとりあえずとぼける事にした。

「フレデリック、エリオット、そんな事より、フレデリックの命を狙った犯人を明確にしたい。」

「そうでしたね。」

コーデリア侯爵様が父上に向き直る。
父上、俺から気を逸らしてくれてありがとう。

そっとその場を離れようとしたら、そっと部屋を出ようとするライアンを見つけてしまった。

とりあえず、手がふさがってるので、魔法で足を滑らせて転げさせておいた。

派手に転んでいたからみんな逃げようとした犯人に気が付いただろう。


扉まで近づくと使用人がドアを開けてくれる。

「俺の部屋は使えるようになってる?」

「はい、整えてございます。」

「ありがとう。」

俺は礼を言うと、自室に向かった。
城を出たのは9年前だけど、王子を辞めた訳じゃないと、父上が俺の部屋を残してくれている。

久しぶりに使うけど、今日は元々泊まる予定だったので、手入れはしてあるだろう。

部屋への道すがら、俺を初めて見るメイド達が、信じられないものでも見たかのような表情で、顔を真っ赤にして固まっていたけど、王子を直視するなど失礼な・・・

って、変人の俺に言えたことじゃないか。






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