ヒロインが迫ってくるのですが俺は悪役令嬢が好きなので迷惑です!

さらさ

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2話 私の婚約者(リリアンナ)

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私はリリアンナ・グラウシス。3ヶ月前に我が国の第一王子であらせられるシルル様と婚約しました。
私の父は公爵で、国の要である宰相を任されているので、裏切らせない為の言わば政略結婚です。
婚約してから月に2度はシルル様との面会にお城に上がるようになりました。

「リリアンナは今日も可愛いね」

シルル様は私を見るなりにっこり微笑んで社交辞令の挨拶をしてくださる。

「シルル様こそ、いつもとてもお美しいです」

シルル様はキラキラと輝く金色の髪と輝く泉のような碧い瞳をしていて、お顔立ちも綺麗なので、私なんかよりよっぽど可愛い。
私なんかをお世辞でも可愛いって言えるって、シルル様は本当に尊敬してしまう素敵な方だわ。
シルル様とは2つ違いなので、今シルル様は12歳だけれど、とても大人びた感じでいつも落ち着いていらっしゃるのよね。

「今日は天気もいいから、外でお茶でもしようか」

「はい」

シルル様は私の返事を待ってからにっこり笑って私に手を差し出した。
私がそっと手を摂ると、嬉しそうにニコニコと微笑みながら庭園に向かって歩き出す。
いつも思うのだけど、シルル様はどうしていつもこんなにニコニコしていられるのかしら・・・
政略結婚とはいえ、私みたいな可愛くもない子と一緒にならないといけないことに不満は無いのかしら・・・

シルル様に手を引かれながら斜め後ろから見るシルル様の横顔はとても綺麗で見とれてしまう。
そして、本当に嬉しそうにしていらっしゃる。

シルル様の事はお父様からしか聞いた事がないけれど、お父様はとても聡明な方だと言っていた。
未来の国王に相応しく、帝王学も小さな頃から理解されていたと聞いた。
そんな方だからこそ、とても真面目な硬いお方なのかと思っていたけれど、数回の面会で分かったのは、シルル様はとても気さくな方で、こう言っては失礼なのだけど、王子様らしくない。

「シルル様、どちらへおいでですか?」

「うん、庭園まで行ってリリアンナとお茶をしようと思ってね 」

庭園までの道中、出会う方みんなに声をかけられ、その度に笑顔で答えるシルル様はすごいと思う。
何がすごいって、出会う人みんなが社交辞令ではなく、心から笑顔でシルル様に話しかけている事。
シルル様も、友達に話すように、本当に楽しそうに大人達と話をしている。
この城にいるみんながシルル様を信頼している。大事にしている。
それはシルル様も同じ、シルル様もみんなを信頼し、大事に思っているのだと思う。

ここの人達は職務ではなく、義務でもなく、シルル様を心からお慕いしているのだ。
そんな中、私は宰相の娘というだけで、シルル様の隣に立てている。 
政略結婚だから仕方ないとはいえ、なんだか申し訳ない気分になる。

でも、それも今のうちだと思ってる。
私も馬鹿じゃない。何も知らないわけじゃない。
政略結婚で愛されるとも思っていないし、きっと側室を娶られるだろうということも分かっている。
シルル様が私に甘い言葉をかけて下さるのも今のうち、だから私もシルル様に心を奪われすぎないようにしていなければ、素敵な王子様をつい好きになってしまいそうになる。
好きになってしまったら、きっと辛くなる。だから私はシルル様に恋をしない。


「リリアンナ、今日は君の好きなケーキばかりを作らせたから沢山食べていいよ」

そう言われて、テーブルを見ると、キラキラと輝く可愛いケーキが沢山並んでいた。

「わぁ、可愛い、食べるのがもったいないですわ」

見た目も可愛く作られている美味しそうなケーキに思わず顔がほころんでしまう。

何時もはお茶の時間にこんなにケーキが出てくることは無いのに、今日は沢山のケーキが目の前にあって、思わず興奮してしまう。

「どれでも好きなのを食べていいよ」

シルル様にそう言われて、1つをどれにしようか悩んでいると、シルル様がくすくすと笑い出す。

「ふふ、好きなだけ沢山食べてもいいよ」

その言葉に、また目を輝かせてしまう。

「いいんですの? 」

「うん、リリアンナのその顔が見たくて、今日は沢山用意したんだ」

そう言われて嬉しくて、席に着くと侍女にケーキをいくつか取ってもらう。

「いただきます」

とっても美味しいケーキに満足しながら3個目を口にしかけた時、ふとシルル様を見ると、ニコニコと私を見ていた。

「シルル様は食べないのですか? 」

「うん、僕はいいよ、それより・・・」

シルル様はそう言いながら立ち上がってテーブル越しに私の顔に手を近づけた。

「クリームが付いてるよ 」

そう言いながら私の口元のクリームを人差し指の甲で取ってくれた。
その動作に、思わずドキッとしてしまう。

真っ赤になるのを感じながらシルル様を見ると、人差し指をぺろりと舐めて私を見る。

「リリアンナは本当に可愛いね 」

ああ、ダメだわ、シルル様に恋してしまう。





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