ヒロインが迫ってくるのですが俺は悪役令嬢が好きなので迷惑です!

さらさ

文字の大きさ
9 / 30

9話 意図しない事(シルル)

しおりを挟む



翌日教室に行くと、なんか騒がしい。
俺を見るなり周りがざわめいた。

「おはよう、どうしたの? 何かあった? 」

近くに居た女子に尋ねてみると、少し顔を赤らめる。

「いえ、なんでもないです 」

俺が話しかけると大抵の女子はこんな反応をするからこれがいつもの反応なのか、騒がしい原因の反応なのかよく分からない。

うーん、なんかあったっぽいけど、何だろう?

そう思っていると、カイがこちらに歩いてくるのが目に止まった。
カイはなんか知ってそうだ。
これで騒ぎの原因が分かるかな、そう思ったのに、カイは俺の手をとると教室を出てしまった。

「カイ? どうしたんだ? 」

カイに手を引かれて歩きながら問いかけても、周りを気にしてるのか、答えない。
人気のない場所までたどり着いて、やっとカイが俺の手を離してくれた。

「シルル様、こんな所まで連れてきてごめんなさい 」

「いや、いいけど、何があっの? 」

「シルル様、セイラ嬢と何かありました? 」

カイが声を潜めて俺に問いかける。

「何か? なんで? 」

俺とセイラ嬢の事でなにか噂されてるのか? 昨日そんな噂になるような事はしてないけど・・・

「女子達が騒いでたんで聞いてみたんですけど、昨日遅くにセイラ嬢が女子寮に戻ってきて、顔が真っ赤だったみたいなんだけど 」

遅くなったのは俺もわかってる。
それで噂になってるのか?

「で? 」

「女子達が何かあったのか尋ねたら、『シルル様とずっと一緒に居た 』って答えたみたいなんだけど、本当に一緒に居たんですか? 」

「ああ、いたのは確かだな 」

「あの・・・手を繋いでたって言ってましたけど・・・ 」

カイが少し尋ねにくそうに尋ねる。

「確かに、手を繋いだけど、暗くて危なかったからで、特に変な意味はないよ 」

「2人で暗い場所に居たんですか? 」

なんか誤解されてるな・・・
俺は昨日の出来事をカイに話した。
話してる時にセフィアも来たので2人まとめて話した。

「そんな事があったんですね、図書室を閉めたやつ・・・探し出さないと・・・」

セフィアがぶつぶつと呟く。

「いや、それはいいよ、別に何も無かったんだし、閉めたやつも気づいて無かったんだろうに・・・あえて言うなら、今後はちゃんと確認してから戸締りするようにってことくらいかな 」

「そうですね、そう言っておきます 」

セフィアが頷く。

「それにしても、昨日の件が女子の間では恋物語になっちゃってるみたいですよ? 」

ちょっと楽しそうに話すのはカイだ。

「恋物語って・・・僕には婚約者が居るんだけど・・・」

「婚約者と恋愛はまた別でしょ 」

カイは楽しそうに、俺とセイラ嬢の事を恋愛に結びつけようとしているようだ。

「僕は婚約者のリリアンナが好きなんだ、セイラ嬢とは何もないよ  」

「婚約者がいらっしゃっても、シルル様はそれが許されるお立場です。なんの問題もないのでは? 」

セフィアまでが、俺がセイラ嬢と恋に落ちるのに何が問題なのかと問いかけてくる。

「いや、僕は一人の女性しか愛する気は無いから、セイラ嬢の事はなんとも思ってないよ、けしかけないでくれ、そう言うことを言ってる奴ばかりだから、あの騒ぎになってたんじゃないのか? 」

「確かに、ご最もです。申し訳ございません 」

セフィアが頭を下げると、カイも一緒に頭を下げる。

「てことは、噂は噂で、セイラ嬢とは何も無かったんですね? 」

カイがもう一度確認のように問いかけてくる。

「何も無いよ、てか、セイラ嬢には僕は婚約者がいるから気持ちには答えてあげられないって断ったんだ。あるわけないじゃないか 」

俺の言葉に、セフィアが鋭く反応して俺を見る。

「シルル様はセイラ嬢にそのように言われたのですか? 」

「うん、言ったけど? 」

何か問題でもあるんだろうか?

「それって、捉えようによっては、決められた婚約者が居て仕方なく結婚しないといけないから、セイラ嬢の気持ちに答えてあげることが出来ないって捉えられませんかね・・・」

その言葉に俺は衝撃を受けた。
まさかそんなふうに捉える奴居る?

「そんな訳ないでしょ、僕はちゃんと婚約者が好きだからって言ったし 」

「そうですか、なら大丈夫だと思いますけど、変に捉えられてなければ良いのですが・・・ 」

セフィアは意味深な返答をするけど、なんか別のとらえ方があるんだろうか?

「変に捉えるって? 」

「例えば、決められた婚約者が居るから仕方なく好きにならないといけない。とか・・・まあ、余程ボジティブでないとそんな風には思わないと思いますけどね 」

セフィアの言葉に、何故か背筋に寒気が走った気がした。
そんな面倒な捉え方をするやつなんて居るんだろうか?





しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

強すぎる力を隠し苦悩していた令嬢に転生したので、その力を使ってやり返します

天宮有
恋愛
 私は魔法が使える世界に転生して、伯爵令嬢のシンディ・リーイスになっていた。  その際にシンディの記憶が全て入ってきて、彼女が苦悩していたことを知る。  シンディは強すぎる魔力を持っていて、危険過ぎるからとその力を隠して生きてきた。  その結果、婚約者のオリドスに婚約破棄を言い渡されて、友人のヨハンに迷惑がかかると考えたようだ。  それなら――この強すぎる力で、全て解決すればいいだけだ。  私は今まで酷い扱いをシンディにしてきた元婚約者オリドスにやり返し、ヨハンを守ろうと決意していた。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

異世界転生した私は甘味のものがないことを知り前世の記憶をフル活用したら、甘味長者になっていた~悪役令嬢なんて知りません(嘘)~

詩河とんぼ
恋愛
とあるゲームの病弱悪役令嬢に異世界転生した甘味大好きな私。しかし、転生した世界には甘味のものないことを知る―――ないなら、作ろう!と考え、この世界の人に食べてもらうと大好評で――気づけば甘味長者になっていた!?  小説家になろう様でも投稿させていただいております 8月29日 HOT女性向けランキングで10位、恋愛で49位、全体で74位 8月30日 HOT女性向けランキングで6位、恋愛で24位、全体で26位 8月31日 HOT女性向けランキングで4位、恋愛で20位、全体で23位 に……凄すぎてびっくりしてます!ありがとうございますm(_ _)m

【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。

かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。 謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇! ※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

処理中です...