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9話 意図しない事(シルル)
しおりを挟む翌日教室に行くと、なんか騒がしい。
俺を見るなり周りがざわめいた。
「おはよう、どうしたの? 何かあった? 」
近くに居た女子に尋ねてみると、少し顔を赤らめる。
「いえ、なんでもないです 」
俺が話しかけると大抵の女子はこんな反応をするからこれがいつもの反応なのか、騒がしい原因の反応なのかよく分からない。
うーん、なんかあったっぽいけど、何だろう?
そう思っていると、カイがこちらに歩いてくるのが目に止まった。
カイはなんか知ってそうだ。
これで騒ぎの原因が分かるかな、そう思ったのに、カイは俺の手をとると教室を出てしまった。
「カイ? どうしたんだ? 」
カイに手を引かれて歩きながら問いかけても、周りを気にしてるのか、答えない。
人気のない場所までたどり着いて、やっとカイが俺の手を離してくれた。
「シルル様、こんな所まで連れてきてごめんなさい 」
「いや、いいけど、何があっの? 」
「シルル様、セイラ嬢と何かありました? 」
カイが声を潜めて俺に問いかける。
「何か? なんで? 」
俺とセイラ嬢の事でなにか噂されてるのか? 昨日そんな噂になるような事はしてないけど・・・
「女子達が騒いでたんで聞いてみたんですけど、昨日遅くにセイラ嬢が女子寮に戻ってきて、顔が真っ赤だったみたいなんだけど 」
遅くなったのは俺もわかってる。
それで噂になってるのか?
「で? 」
「女子達が何かあったのか尋ねたら、『シルル様とずっと一緒に居た 』って答えたみたいなんだけど、本当に一緒に居たんですか? 」
「ああ、いたのは確かだな 」
「あの・・・手を繋いでたって言ってましたけど・・・ 」
カイが少し尋ねにくそうに尋ねる。
「確かに、手を繋いだけど、暗くて危なかったからで、特に変な意味はないよ 」
「2人で暗い場所に居たんですか? 」
なんか誤解されてるな・・・
俺は昨日の出来事をカイに話した。
話してる時にセフィアも来たので2人まとめて話した。
「そんな事があったんですね、図書室を閉めたやつ・・・探し出さないと・・・」
セフィアがぶつぶつと呟く。
「いや、それはいいよ、別に何も無かったんだし、閉めたやつも気づいて無かったんだろうに・・・あえて言うなら、今後はちゃんと確認してから戸締りするようにってことくらいかな 」
「そうですね、そう言っておきます 」
セフィアが頷く。
「それにしても、昨日の件が女子の間では恋物語になっちゃってるみたいですよ? 」
ちょっと楽しそうに話すのはカイだ。
「恋物語って・・・僕には婚約者が居るんだけど・・・」
「婚約者と恋愛はまた別でしょ 」
カイは楽しそうに、俺とセイラ嬢の事を恋愛に結びつけようとしているようだ。
「僕は婚約者のリリアンナが好きなんだ、セイラ嬢とは何もないよ 」
「婚約者がいらっしゃっても、シルル様はそれが許されるお立場です。なんの問題もないのでは? 」
セフィアまでが、俺がセイラ嬢と恋に落ちるのに何が問題なのかと問いかけてくる。
「いや、僕は一人の女性しか愛する気は無いから、セイラ嬢の事はなんとも思ってないよ、けしかけないでくれ、そう言うことを言ってる奴ばかりだから、あの騒ぎになってたんじゃないのか? 」
「確かに、ご最もです。申し訳ございません 」
セフィアが頭を下げると、カイも一緒に頭を下げる。
「てことは、噂は噂で、セイラ嬢とは何も無かったんですね? 」
カイがもう一度確認のように問いかけてくる。
「何も無いよ、てか、セイラ嬢には僕は婚約者がいるから気持ちには答えてあげられないって断ったんだ。あるわけないじゃないか 」
俺の言葉に、セフィアが鋭く反応して俺を見る。
「シルル様はセイラ嬢にそのように言われたのですか? 」
「うん、言ったけど? 」
何か問題でもあるんだろうか?
「それって、捉えようによっては、決められた婚約者が居て仕方なく結婚しないといけないから、セイラ嬢の気持ちに答えてあげることが出来ないって捉えられませんかね・・・」
その言葉に俺は衝撃を受けた。
まさかそんなふうに捉える奴居る?
「そんな訳ないでしょ、僕はちゃんと婚約者が好きだからって言ったし 」
「そうですか、なら大丈夫だと思いますけど、変に捉えられてなければ良いのですが・・・ 」
セフィアは意味深な返答をするけど、なんか別のとらえ方があるんだろうか?
「変に捉えるって? 」
「例えば、決められた婚約者が居るから仕方なく好きにならないといけない。とか・・・まあ、余程ボジティブでないとそんな風には思わないと思いますけどね 」
セフィアの言葉に、何故か背筋に寒気が走った気がした。
そんな面倒な捉え方をするやつなんて居るんだろうか?
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