ヒロインが迫ってくるのですが俺は悪役令嬢が好きなので迷惑です！

14話 シルル様のご学友（リリアンナ）

入学2日目、私はシルル様のお友達を紹介したいと言われて談話室に向かいました。

そこには5人の男性と、女性が1人居ました。
女性のお友達がいるなんて、離れていた2年間に頂いたお手紙では聞いていなかったのでちょっとびっくりしました。
仲のいい女性って事は、この方はシルル様の恋人なのかしら。

それぞれ御挨拶頂いたのだけど、
ジュリアス様はとても綺麗な顔の、優しそうなイケメンさんでした。
カイ様は可愛らしい笑顔が特徴で、ほんわか癒されるお方だと思いました。
セフィア様は端的にお話をされるクールな感じのイケメンさんでした。
エルヴィン様はスラリと背が高くて、イケメンさんだけど、活発そうで、強そうなイメージの方でした。
ラース様は同じく背が高くて、がっしりした体格で、いかにも武闘派な感じの方でした。

そして、セイラ様はとても可愛らしくてしっかりとした方だと思いました。
自信の無い私に比べて、自信に溢れた様子で、少し羨ましいと思いつつ、この方がシルル様の恋人だとしたら、私は邪魔者でしかないのだと思うと、申し訳ない気持ちになって、目を合わせることが出来ず俯いてしまった。

シルル様は一応婚約者の私を立ててくださっているようだけど、セイラ様とは余り関わらない方がいいのかもしれない。
そうしないと、セイラ様はあまりいい気はしないと思うの。
私は何もしなくてもシルル様の隣に立つことが出来るのだから、それくらいは気を使わなくちゃね、シルル様は優しいから、私のことを愛してなくても、蔑ろになさるなんてことは無いでしょうけど、一歩下がって譲る気持ちを常に持っていないとしんどくなる。
だから私はシルル様を好きにはならない。

･･･でも、セイラ様を見て、少し心がモヤモヤとした感じになったの。
これは何かしら･･･？


「リリアンナ？ 疲れた？ 」

不意にシルル様に話しかけられて我に返る。
あ、私セイラ様とご挨拶した後ぼーっとしてたんだわ。
皆様に失礼なことをしてしまった。
そう思って周りを見ると、私とシルル様以外誰もいなかった。

「え？ 皆様は？ 」

「皆は気を使って席を外してくれたよ、本当にどうしたの？ 熱でもある？ 」

シルル様がそう言いながら私のおでこに手を当ててきた。
シルル様の手が私のおでこに触れてる！ そう思うだけで余計焦って熱が出そうになる。

「だ、大丈夫です。少しぼーっとしてしまっただけです 」

慌ててシルル様の手から逃げるように一歩下がって自分の手で今シルル様が触れていた場所を隠すように覆った。

「あ、ごめん、触れられるの嫌だった？ 」

私が慌てて離れたのをシルル様が変に誤解されたようで、少し寂しそうなお顔をされた。
シルル様はとても人気者だから、触れられて喜ぶ人はいても、私みたいに逃げる人なんていないのかもしれない。私もなぜ逃げてしまったのかしら、今ので嫌われてしまったかもしれない。

「いえ、そんな事ないです。ちょっとびっくりしてしまって･･･ 」

慌てて取り繕ったけれど、シルル様の表情はしばらく困惑していた。
本当に申し訳ないことをしてしまったと思っていると、直ぐにシルル様の表情がニコニコ笑顔に変わる。

「なら良かった、具合が悪かったのを無理させちゃったかと思って焦ったよ 」

本当にシルル様はお優しい。
きっと何か思われたのでしょうけど、何も無かったように振舞ってくださる。
今の私の行動は、自分でもなんと言っていいか分からなかったので、深く追求されないのは助かる。

「ご心配おかけしてすみません 」

「いや、突然たくさんの人を紹介されて混乱したよね、ごめんね、でも、今のメンバーはきっと将来にわたって付き合うことになるであろうメンバーだから、早くリリアンナにも知っておいて欲しかったんだ 」

「そうだったんですね、お気遣いありがとうございます 」

その中にはセイラ様も含まれているのよね、やっぱりセイラ様はシルル様の恋人なんだわ。
だから私も仲良くしろってことかしら･･･

そう思った時、胸がズキンと痛くなった。
？ 
何かしら？