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30話 仲良く
しおりを挟む「そう言えば、一度暗闇にセイラ嬢と一緒に閉じ込められて、セイラ嬢が危なくないよう、手を引いた事があるな・・・それが何か? 」
随分前の事なので、そんな事があったなーと思い出しながらも、リリアンナが何を気にしているのか分からなくて問い掛けた。
でも、その後すぐに理由に思い至った。
「・・・・・・え? 」
ちょっと待って、それってヤキモチ?
え? めちゃくちゃ嬉しいんだけど。
思わず握った手をきゅっと強く握りしめてリリアンナを見る。
リリアンナはビクッと反応しただけで、悲しげに下を向いたままだ。
「リリアンナ、確かにあの時明るい場所に移動するまでの少しの間、俺はセイラ嬢と手を繋いでた。でも、それ以外何も無い。一緒にいた時間は1時間もない。すぐに脱出したからね 」
「そうなのですか? 」
リリアンナがやっと顔を上げて俺を見る。
「うん、それより、今リリアンナはセイラ嬢にヤキモチ妬いてた? 」
「そ、そんな事ありませんわ! 」
リリアンナは慌てて目をそらすけど、その動作がもう可愛くて仕方ない。
「ヤキモチ妬いてくれるの、めちゃくちゃ嬉しいんだけど、違うの? 」
ちょっと意地悪にそっぽを向いてしまったリリアンナの方を覗き込みながら話しかける。
すると、リリアンナはますます耳まで赤くなって顔を逸らす。
「・・・・・・ヤキモチ・・・ですわ。セイラ様と手を繋いでたと聞いて、やっぱりシルル様はセイラ様が好きなんじゃないかと思うと、なんだか胸が締め付けられるようで、心が落ち着かなくて・・・苦しかったのです 」
リリアンナは訴えるようにそう言った後、涙目になるのを隠すようにまた俯いてしまった。
俺はそんなリリアンナをそっと抱きしめた。
「リリアンナ、不安にさせてごめん。何度でも言うけど、俺はリリアンナが好きだ。他の誰かなんて考えた事も無い。だから、俺を信じてくれないか? 」
肩越しに話す俺に、リリアンナは首を縦に降って答える。
「苦しくなるくらい俺の事を想ってくれてたなんて、めちゃくちゃ嬉しい 」
少しして、リリアンナが落ち着いたのを見計らって、腕を緩めてリリアンナの顔を見ながら囁くように話しかけた。
「私、シルル様を好きになってもいいのでしょうか? 」
「いいに決まってるじゃん、俺はリリアンナに好かれてると思うとめちゃくちゃ嬉しい 」
リリアンナは何故俺を好きになることを躊躇うのか、よく分からないけど、俺がリリアンナの事が好きで、他の誰かなんて考えられないってずっと言い続ければ安心してくれるのかな?
「俺、リリアンナと婚約できて本当に嬉しかった。だから、一生リリアンナだけを大切にしたい。俺のこと信じて着いてきてくれる? 」
俺の言葉に、リリアンナは顔を真っ赤にしてくしゃくしゃな笑顔で答える。
「はい 」
「良かった、俺さ、リリアンナに嫌われたと思って凄く怖かったんだよ 」
そう言うとリリアンナは驚いたように俺を見る。
「嫌うだなんて、とんでもないです! 私の方こそ嫌われていると思ってましたので・・・ 」
「何故? 俺がリリアンナを嫌いになるわけない。でも、不安にさせたならごめん。俺は歳をとって死ぬまでリリアンナにそばにいて欲しい。だから、これからは嫌な事、不安な事があったら何でもいいから話して欲しい。もっといっぱい話して、みんなが羨ましがるくらい仲良くなろう 」
「シルル様・・・ 」
「あ、シルって呼んでって言っただろ? 」
そう言うと、リリアンナはまた頬を赤くして少し躊躇って俺を見る。
「シル・・・様、私も、沢山お話がしたいです 」
その表情がとても可愛くてドキッとする。
「うん、リリアンナ、愛してるよ 」
「私もシル様の事、大好きですわ 」
顔を上げてにっこり笑うリリアンナは本当に可愛くて、一生守りたい笑顔だと思った。
俺ははまだまだ未熟だけど、リリアンナが俺を好きだって言ってくれるだけで頑張れる。
リリアンナが笑っていられる様に、国を守れる王になってやる。
心にそう誓いながら、リリアンナのおデコにそっと口付けをした。
ーーーー end ーーーー
ここまで読んでいただきありがとうございます。なんだか尻すぼみな話になってしまい申し訳なく思っております。
お見苦しい点が多々あったかと思いますが、暖かく見守って頂きましてありがとうございました。
※【婚約破棄してやる!って宣言した婚約者が可愛かったんだけど、どうしたらいい??⠀】の連載を開始しました。
宜しければご覧下さいませ。
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ren様
感想ありがとうございます(*´˘`*)♥
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アルフィー50様
ご指摘ありがとうございます。
訂正致します(*ˊᵕˋ*)੭ ੈ
acamella 様
感想ありがとうございます。
そうですよね、貴重なご意見ありがとうございます(。ᵕᴗᵕ。)