ヒロインが迫ってくるのですが俺は悪役令嬢が好きなので迷惑です!

さらさ

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29話 謝罪(シルル)

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ジュリアスは俺も手を広げすぎなんじゃないかと思うくらい女好きだ。
そのジュリアスと一緒に居たと思うと、心がザワつく。

「・・・どれくらい閉じ込められてたんだ? 」

「たぶん2時間程ですよ、話をしていたらあっという間だったので待った感じはしませんでしたけど 」

「何も無かったんだろうな? 」

「ありませんよ、俺そんなに信用ありませんか?」

何時ものへらへらした笑いを浮かべながら答えるジュリアス。
それで信用しろって方がどうかしてるぞ。

「・・・何も無かったならいいけど、リリアンナに手を出したりしてないだろうな? 」

「はい、可愛いリリアンナ嬢はシルル様のものですからね、手なんて出しませんよ 」

ジュリアスの言うことは今ひとつ信用出来ないけど、能力は認める。
リリアンナも、俺に対してもかなり恥ずかしがり屋なのに、他の男とどうかなるなんて考えられない。
こんな事で嫉妬してたら心の狭い奴だって思われるな、これ以上追求するのはやめよう。

「わかった、とにかく気付いてくれてありがとう、助かったよ 」

「リリアンナ嬢に何も無くて良かったです  」

そう言って笑うジュリアスは男の俺から見てもカッコイイな、こんな笑顔向けられたら惚れるだろうな。
そんなことを考えながら、明日早くリリアンナに会いたいと思いつつ部屋に戻った。



「リリアンナ様、昨日の事は私が原因です。ごめんなさい、あの子達にはよく言っておくから許していただけないかしら 」

翌日、セイラにリリアンナに謝る場を作って欲しいと言われて、いつもの場所にリリアンナを呼び出した。
今リリアンナはセイラの謝罪に目をぱちくりさせて状況が呑み込めていないようだ。

「あの、セイラ様、謝罪をしなければいけないのは私の方ですわ、私の気配りが足りないばかりにセイラ様に不快な思いをさせてしまいました。本当に申し訳ございません  」

リリアンナは頭をさげるセイラにおずおずと近づいて手を取ると、一気に喋って頭を下げる。
それを見たセイラはにっこり微笑んでリリアンナの肩に手を置く。

「それも全部私が仕組んだことなの。リリアンナ様は何も悪くないわ 」

「え? どういう事ですの? 」

まったく飲み込めていないリリアンナ、可愛いな。

「私がシルル様と付き合っているような噂を流したり、自分が虐められてると噂を流したりしてたのよ、本当は何も無いのに、全部自作自演  」

セイラは完全に吹っ切ったのか、堂々と自分のした事を告白している。
けど、リリアンナは未だ状況を呑み込めないで、セイラを眺める。そして、俺を思い出したのか、助けを求めるように俺を見た。

「うん、そうみたい。おれも昨日セイラ嬢から全部聞いたよ、セイラ嬢がリリアンナに謝りたいって言うから来てもらったんだ 」

「セイラ様のお言葉、本当なのですか? 」

リリアンナは信じられないのか、まだ呆けた顔で俺を見る。

「リリアンナ様、本当よ、シルル様と私とは何も無いから安心して、シルル様はリリアンナ様一筋みたいよ 」

「え? 」

セイラの言葉にびっくりしたように俺を見るリリアンナ。
俺一昨日もちゃんと気持ち伝えたつもりだったけど、まだ伝わってなかったのか? 

「シルル様、私はお邪魔なようなのでこれで失礼しますね  」

セイラは真っ赤な顔で俯くリリアンナを見て、ウインクを俺に送ると手を振りながら出て行った。
その表情からは「お兄ちゃん頑張って!」としか聞こえない。


「あの、先程のセイラ様の言葉はどういう事ですか? 」

セイラが出ていくのを見送った後、リリアンナが俺を見る。

「そのまんまだけど 」

「そのまんまとは? 」

「セイラ嬢が言ってた事は本当だよ、君が昨日閉じ込められたのも、君がセイラ嬢を虐めてると噂が流れたのもセイラ嬢が仕組んだ事らしいよ 」

「本当に? 」

「うん、それに、俺はセイラ嬢の事はなんとも思っていない。 好きなのはリリアンナだからね 」

もう一度、リリアンナに分かってもらうためにセイラとは何も無いことを念押ししてみる。
だけどリリアンナはまた俯いて少し困った顔だ。困惑しているのか?

「リリアンナ? どうしたの? 」

「いえ・・・ あの・・・ 」

「ん? 」

何だろう? 何か言いだげだけど、言いにくい事なんだろうか?

「何? 怒らないから言ってみて?  」

話しやすいように微笑みかけたけど、リリアンナは一瞬俺の目を見てから逸らして、また俯いてしまった。
でも、何か言いたそうななんだよな。
俺はリリアンナの隣の席まで移動してリリアンナを手を取る。

「何か言いにくい事? 」

手を取った瞬間、リリアンナは少し驚いたように僕を見つめて、その後顔を赤らめて俯く。

「シルル様は・・・ 」

「ん? 」

「シルル様はセイラ様ともこのように手を継がれていたのですか? 」

「は? 」

セイラと手を繋いでた? リリアンナは何のことを言ってるんだろうか?
セイラと手を繋いだことなんてない・・・いや、あるか、思い出した、あれは入学した年のことだから4年前じゃないのか?
何でリリアンナがその事を知ってるんだろう?



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