10 / 33
⑩にえって俺でした。
しおりを挟む・・・・・・・・・え?
今なんて言った?
性・・・何だって?
俺はしばらく固まった後、ユリアンさんを見上げる。
するとユリアンさんはエメラルドグリーンの瞳をうるうるさせて俺を見ていた。
「ゴメン、今なんて言ったの?」
「可哀想だけど、あんたは魔王の性奴隷として捧げる為に選ばれたんだよ。」
もう一度チャラ男が言う。
「は?」
何言ってるのこの人。
「シンラ、あなたをそんな酷い目には合わせません。」
ユリアンさん、だから俺の事を匿ってくれてたの?
て、イヤイヤ、俺、それ無理!
魔王ってとんでもなくエッチな奴なんだな!何?性奴隷?俺その為にここに来たの?だから強制性転換させられたの?
・・・神様に騙された・・・
「あんたが逃げればユリアンが罪に問われる。ユリアンの処刑と自分の身、どっちを取る?」
チャラ男が追い込むように俺を見る。
何その二択。
ユリアンさんを処刑になんてさせない!
でも、魔王の性奴隷は嫌だ。
てか、今まで選ばれた女の子はそんな酷い扱い受けてたの?
女の子に酷いことするなんて許せない!女の子は守ってやらないといけないんだぞ!ねーちゃん達に耳タコなほど聞かされてる。
よし、俺がエロ親父をぶっ飛ばしに行く!
そうだ、俺はには力がある。魔王なんてぶっ飛ばしてやる!
「・・・俺、行くよ。」
「シンラっ!!ダメです!」
またユリアンさんが強く抱きしめる。
「ユリアンさん、苦しいよ。」
「あ、すみません。ですが、貴方がどうなるか分かっていて行かせる訳にはいきません。」
少し腕を緩めながら、それでも離さないように俺を抱きしめたまま真剣に訴えるユリアンさん。
でも、俺は逃げちゃいけないんだよね。
詐欺師だけど、仮にも神から生を与えられた身だし。魔王と互角の魔力も与えられてる。
この世界の為に呼ばれた俺が逃げるとか許されない気がする。
「ユリアン、その子が自分がどうなるか分かってて行くって言ってるんだから、良いじゃないか。」
「ジョシュアは黙ってろ!」
おお、ユリアンさんが怒ってる。
こんなユリアンさん見るの初めて。
「シンラ、考え直してください。」
「ユリアンさん、ありがとう。でも、俺が行かないといけないんでしょ?魔族の暴走が始まるんじゃないの?止められるのが俺しかいないんなら、俺が行かなきゃ。それに、ユリアンさんを失いたくない。」
「シンラ・・・知っていたのですね。」
ユリアンさんがちょっと驚いた顔になる。
「うん、性奴隷とか知らなかったけど、俺はそんなのにはならない。だから安心して?」
俺はユリアンさんを安心させようとしてにっこり微笑んだ。
「シンラ・・・分かりました。・・・では、私も一緒に行きます。」
「え?ユリアンさんも?」
「ジョシュア、神官様に伝えてくれ。贄を見つけたと。私も付き添いで魔王の元へ行く事を許して頂きたい。早い方がいいから明日の朝魔王の元へ向かう。それだけ伝えておいてくれ。」
ユリアンさんがテキパキとチャラ男に指示をする。さすが副団長。決めたら行動が早い。
「逃げる気じゃないだろうな?」
チャラ男がまだ疑うように見る。
「シンラが行くと決めたのだから、私も逃げない。疑うなら魔族領に入るまで付いてくればいい。」
ユリアンさん、なんか男らしい。カッコイイ。
「分かった、伝えておく。また明日の朝来るよ。シンラちゃん、おやすみ。じゃあね。」
チャラ男は了承すると、最後に俺に向かってにっこり笑ってウインクをして兄と一緒に出て行った。
やっぱりあいつチャラい。
残ったのは俺とユリアンさんだけ。
ユリアンさんはまだ俺を抱きしめたままだ。
「ユリアンさん、もう誰も俺の事連れてかないよ?」
「あ、すみませんっ!」
ユリアンさんは俺を抱きしめたままだと言うことに気がついてなかったのか、俺が言うと慌てて離してくれた。
「・・・シンラ、今まで黙っていて本当に申し訳ない。私は貴方を探して連れてくるよう神官から指示を受けていたのです。」
その言葉を聞いて納得した。
初日、俺を拾ってくれたのは偶然なんかじゃなかったんだ。
俺を探してたんだから、優しくして連れて帰るのは当たり前だよな。
・・・なんかちょっと胸が痛い。
「大丈夫だよ、ユリアンさんは気にしないで。」
俺は無理に笑顔を作ってユリアンさんを見上げた。
すると、ユリアンさんは悲しそうな顔で俺の頭を撫でた。
「シンラは優しいですね、でも無理しなくていいです。シンラの信頼を裏切っていたのは私です。罵ってくれても構いません。」
そんなこと言われると、余計言えないじゃん。俺はユリアンさんが居たからこの世界でも寂しくなかったし、安心することが出来たんだから。
「俺はそんな事思ってないよ、拾ってくれたのがユリアンさんでホントに良かったと思ってる。」
「シンラ・・・」
「それにほら、俺を拾ったのがさっきのジョシュアって人だったらどうなってたと思う?俺、あの人にヤられちゃってたかも知んないんだよ?そんなの俺ヤダ。」
「ふっ、ジョシュア、ひどい言われようですね、まぁ、確かにあいつならやりかねません。」
ユリアンさんがフフっと笑う。
「やっと笑ってくれた。」
俺もユリアンさんの笑顔につられて笑う。
0
あなたにおすすめの小説
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る
水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。
婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。
だが――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。
しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。
『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』
さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。
かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。
そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。
そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。
そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。
アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる