侯爵令嬢は弟の代わりに男として生きることを決めました。

さらさ

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21話 気になる存在(クラウス)

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私はクラウス・フォン・ベルフォード、ベルフォード王国の第三王子として生まれた。

幸い才能に恵まれ、第二騎士団の団長を努めさせてもらっている。

そんな私の元に、今年は2人の新人が入った。
例年10人程の入団があるのに今年は2人しか居ない。
2人の実力は確かなので、私としてはなんの不服もない。

彼らが入団して二週間、そろそろ慣れてきた頃かと思っていた時に、彼らの部屋から悲鳴のようなものが聞こえたと報告があった。
何かあったのか?
報告があった時副団長のリオも一緒だったので、私たちは2人で部屋に向かった。

「失礼するよ。」

私はドアをノックするとすぐに部屋に入った。
もし異変があった場合、ノックして返事を待っている間に中でどんな状況になるか分からないからだ。

だが、中に入ると、新人2人が抱き合っていた。

背の高いギルバートは全身濡れた状態で腰にはタオル一枚巻いただけ。
対して、ギルに抱きついて胸に顔を埋めるクリストファーは服はきちんと着たまま。
だが、よく見ると青ざめて震えている。

やはり何かあったのか?
だけど、この状況・・・面白い。

「・・・ふむ、無理やりって訳ではなさそうだな、邪魔して悪かった。失礼する。」

そう言って部屋を出ていくフリをしたらギルバートが、慌てて私を呼び止めた。

「ち、ちょっと待ってください! 誤解です!」

ギルバートの慌てふためいた顔、面白い。

「何が誤解かな?この部屋から悲鳴が聞こえたって知らせが入ったから見に来たんだけど、そういう事ならもう少し声を抑えてくれないかな。」

私はわざとギルバートをからかってしまう。
クスクスと笑っていると、どうやらギルバートは私がからかっている事に気付いたようだ。

「クラウス様、これは僕が悪いんです! 僕が幽霊に驚いてギルに抱きついちゃっただけで、何もやましいことはありません!」

クリスが自分の置かれた状況を理解したのか、真っ赤になりながら説明する。
クリスは可愛い顔をしているので、照れていると女の子みたいだ。

どうやらクリスは幽霊が苦手のようだ。窓の外に誰かがいるような気がして驚いたらしい。

ギルが服を着る為にパウダールームに行っている間に、リオが外を確認しようとカーテンと窓を開けると、クリスが私の近くに寄ってきた。

よく見ると、びくびくしながら窓を見ている。
本当に怖いみたいだな・・・
私はクリスの姿に、思わずイタズラ心が芽生える。

「あっ、」

私が窓の外を指して呟いた瞬間、クリスが小さく「ひゃっ」と叫んで私にしがみついてきた。

うん、可愛い。
思わず抱きしめていると、ギルが出てきて私とクリスの姿を見て焦っている。

ギルは分かりやすいな。
安心しろ、クリスは可愛いと思うけど男だ。私にそんな趣味はない。

だけど、ギルをからかうのは面白くて、つい、クリスの顎を持ち上げて見つめながら微笑む。

目の端にギルの焦る顔が見えてくくっと笑ってしまう。

クリスは尚も怯えていて、私にしっかりとしがみつきながら、本当に居ないのかと問いかけ、キョロキョロと辺りを確認している。
この姿は可愛いな。なんか小動物のようだ。
そう思ってると、リオも同じことを思ったのか、声に出して「何この可愛い子」と呟いている。

その言葉に反応したのはギルだ。
これ以上クリスの可愛い姿を見せなくないのか、私からクリスを奪い取ると、自分の腕に抱え込む。
ギルはどうも無意識にやってそうだし、クリスは全然気付いてなさそうだけど、どう見ても恋人同士のようにしか見えない。

まぁ、別に邪魔するつもりは無いので、好きにしてくれ。
そう思って二人の部屋を後にした。

だけど、クリスが見たものが気になるな・・・
幽霊なんて居るはずないし、三階の部屋を覗くなんて普通に考えたらありえない。

「リオ、クリスが見たものはなんだと思う?」

「なんだろうね、誰かが二人を興味本位で覗いてた?」

「うん・・・しばらく気をつけておいた方が良さそうだな。」

「それより、クリスちゃん可愛かったね、俺思わずあの子が男だって忘れそうになったよ。」

カラカラと笑いながら言うリオの言葉に「そうだね」と淡白に答える。

「あ、何その興味無さそうな答え。」

「別に・・・私は男が好きじゃないだけだ。」

「そうだね、クラウス様はお花畑で出会った女の子が気になって仕方ないんだよね。」

リオがからかうようにクスクス笑いながら私を見る。

確かに、私は半年ほど前に出会った少女の事が気になって仕方がない。
とても綺麗な子で、出会った時は泣いていた。
その涙さえも美しいと、思わず見とれてしまった。

それ以来その子には会えず、何処の誰かも分からない。

あれは幻だったのかと思っていたある日、クリスに出会った。
クリスはあの少女に瓜二つだった。
あれはクリスだったのかと思ったけど、少女の綺麗な髪は腰まであった。
あの綺麗な髪をバッサリと切ってしまえるものだろうか?
しかも、クリスは私も目を見張るほど強い。
・・・幽霊は苦手のようだけど。
それに、少女が男だと偽るには無理がある。なのであれはクリスでは無い。
だとしたら、クリスによく似たあの子は誰なのか・・・
そこで、もうひとつの仮説が生まれる。

クリスは双子だった。双子の姉が居たはずだ。
8年前に魔物に連れ去られ、死んだと言われているけど、その子が生きていたとしたら?
だが、それも無理がある。
生きているなら、何故出てこない?
ルイズウェル家の女の子が生きていたという話など聞かない。

私が見た子は誰なのか・・・クリスの双子の姉の幽霊なんだろうか?
まさかな・・・



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