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43話 それぞれの思い (クリス/ギルバート)
しおりを挟む「先に風呂入るぞ。」
ギルはそう言いながらバスルームに入って行った。
え? 気付け? どういう事??
僕の知ってる人?
てか、ギルが耳元で囁いた声がまだ耳に残ってて顔が火照る!
何? さっきの行動?
心臓がドキドキしてる。
今まで僕からギルに近づく事はあっても、ギルからこんなに顔を近ずけられたことは無かったかもしれない。
自分ではなんとも思ってなかったのに、ギルからされると、なんだか恥ずかしい。
僕は横に寝返りを打つと、火照る顔を両手で覆った。
落ち着こう、ギルは友達だ。
相手は僕の事は男だと思ってる。
今のはじゃれて来ただけだよ。
きっと深い意味は無い。
ギルが急にあんな行動するから変に意識しちゃうじゃないか!
僕が変に意識しちゃうとおかしく思われる。
ギルが戻ってくるまでに平常心に戻らないと。
そうだ、明日の準備の確認をしよう!
僕はゴソゴソとまとめた荷物をもう一度広げて確認をする。
確認作業が終わりかけた頃、ギルがバスルームから出てきた。
「クリス、お前も入れよ。」
「うん、分かった。」
声をかけられて返事をしながらギルを見ると、上半身裸で濡れた髪をガシガシと乾かしながら立っていた。
その姿に思わず赤面してしまう。
「ギル! 何で裸なの? 」
僕は顔を荷物に戻しながら問いかける。
「慌てて入ったらシャツ持って入るの忘れてさ」
ギルはそう言いながらシャツを出して羽織っている。
僕、どうしちゃったんだろう?
ギルの裸なんて見慣れてるのに、何でこんなにドキドキしてるの?
せっかく落ち着いたのに、これじゃ、ギルをまともに見れない。
「僕、お風呂入ってくるね。」
僕はギルをまともに見れないまま、逃げるようにバスルームに向かった。
ーーーー ギル side ーーーー
クリスの奴、俺がクラウス様を好きなのか聞いた所まではよかった。
どうやら、クラウス様の事をそこまで意識していなさそうだとわかったし、俺と同じように好きだと言ってくれた。
それは嬉しかったけど、その後あいつは俺に好きな人はいないのかと聞いてきた。
どう答えようか悩んだけど、居ると答えた。
クリスはまさか俺に好きな奴がいるとは思っていなかったのか、驚いた顔をしていた。
誰なのか知りたいクリスは見当違いなことばかり言って、仕舞いには田舎に帰らなくていいのかと、また言い出した。
何をどう考えたらその思考にたどり着くのか、聞くと、俺の好きな奴は故郷に居るのではないかと言い出した。
だけど、クリスがその言葉を言い終わる前に、俺はベッドに座るクリスを押し倒してしまっていた。
俺の事を全然なんとも思っていなさそうなクリスに腹がたった。
少しは俺を意識しろ!
「田舎に好きな奴なんて居ない。俺はお前と一緒に居たいんだ。」
俺はクリスが好きなんだと匂わせるように言ったのに、あいつはきょとんとした顔で「じゃあ、誰?」と聞いてきた。
この状況でまだ分からないとか、自分の事には本当に鈍感なやつめ・・・
思わずこのままクリスを自分のものにして、分からせてやりたいと思ってしまう衝動を抑えながらクリスを見つめると、クリスは俺を心配そうに見つめてきた。
「・・・教えてやらない」
俺は押し倒された状態でも顔色一つ変えないクリスにムカついてそう言ったあと、クリスの肩に顔を埋めるように近ずけて、耳元に「気付け、バカ。」と囁いた。
俺はそのままクリスの肩に顔を埋めて、しばらく抱きしめていたい気持ちをぐっと飲み込んで顔を上げると、照れた顔を隠すように、クリスを見ることなくバスルームに入った。
シャワーを浴びて冷静になると、とんでもないことをしてしまったと思った。
友達としてそばに居るつもりだったのに、クリスのあまりにも無自覚な表情に、俺の事で表情を変えさせてやりたいという衝動にかられてしまった。
だけど、結果は変わりなし、クリスは照れた顔一つしなかった。
それだけ俺を信頼しているのか、なんとも思っていないのか・・・
何であんな事をしてしまったんだ・・・
今更謝るのもおかしいよな、何事も無かったようにするのが一番かな。
逆に蒸し返すと、俺が意識してダメだ。
風呂から出たらいつも通り、クリスの相棒を演じよう、あいつは俺の事を何とも思ってないんだからそれでいい。
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