陛下の溺愛するお嫁様

さらさ

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㉟オリビア女王(クロード)

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意識を取り戻すと、知らない部屋のベッドに寝かされていた。

ここはどこだろう?あれからどれくらい経った?
動こうとしたが、ご丁寧に両手両足をベッド柱に縛られている。
 内装の感じからしてまだエレオルト城内か?

「あら、お目覚めね。」

俺に姿を見せたのはオリビア女王だ。

「俺をどうするつもりだ?」

「そんなに睨まないで、怖いじゃない、目が覚めてしまったなら動けなくしておかないとね。」

オリビア女王はそう言うと、テーブルに置いてあった注射器を手に取って俺の腕に躊躇なく刺す。

「何を打った?!」

「貴方は相当強いみたいだから、動けないように身体をしびれさせてもらうわ。」

そう言われる間もなく、直ぐに痺れが広がっていく。
クソっ、身体が動かない。

「毒にも耐性が強いみたいね、最初に飲ませたワインも、あなたのグラスにはかなりの量を仕込んでいたのに、効き出すまでにしばらくかかったから驚いたわ。今打った痺れ薬も身体の自由は奪うけど、今なら少し話せるはずよ。」

「こんな事して・・・どうする・・・つもり・・・だ。」

口が上手く動かない。

「私ね、貴方が欲しくなっちゃったの。」

そう言って、オリビア女王はベッドに片膝と左手をついて乗って、右手で俺の顎を撫でる。

「本当は、内乱で混乱したルシリア帝国を狙いたかったんだけどね、剣鬼と恐れられる貴方が居るところを狙っても勝ち目がないと思っていたのよ。そうしたら、ここに来るっていうじゃない?この機を逃す手は無いわよね、貴方さえ居なかったらルシリア帝国は恐れるものでは無いわ。だから、しばらく貴方を拘束して大人しくしててもらおうと思っていたんだけど、私、あなたを見て一目惚れしちゃったのよ。」

オリビア女王はしなを作って俺を見つめる。

「剣の腕は本当に凄かったけど、それよりもあなた自身が魅力的すぎて、ドキドキしちゃったわ。」

「俺・・・に・・・こんな事・・・したら・・・無事で・・・すま・・・ないぞ。」

「あら、あなたは人質でもあるのよ?それに、この国であなたが行方不明になったらまず誰が責任を取らされるかしら?」

それはエレオルト王だろうな。

「私は「知らない」で通して、あなたをこっそり国へ連れて帰るの。そこで飼い慣らしてあげるから楽しみにしていなさい。」

オリビア女王は俺の頬をなでながらその手の指で俺の唇をなぞる。

その行動に、触れられた肌に吐き気がする。
俺はオリビア女王を睨みつけた。

「その髪の色、瞳の色、ゾクゾクするわね。」

オリビア女王は嬉しそうに俺を見下ろす。

「あなたと楽しみたいけど、まだ片付けて来ないといけないことがあるからしばらく寝ていなさい。」

そう言ってまた俺に注射器を刺した。
睡眠薬?意識が遠のく・・・



次に目が覚めたら、オリビアは俺のそばで本を読んでいた。
痺れは消えている。

「今、何時だ?」

「あら、目が覚めたのね、薬が切れるの早いわね。」

当たり前だ。俺は小さい頃から命を狙われていたから薬関係、毒関係も、耐性を付けてある。

「まだ夜中よ。今晩は帰らなくてもどこかの女の所に行ったと思われるだけでしょうけど、明日会議に出なかったらあなたが居なくなっていることがバレるわね、エレオルト王はどうするかしら。今から楽しみね。」

そう言ってクスクスと楽しそうに笑うオリビア。

「生憎うちの従者は俺がそんな事すると思ってないから今頃探しているだろうな。」

「あら、探してたとしても、女王の部屋までは探せないわね。」

ここはオリビア女王の部屋か。
オリビア女王は自信満々に笑みを浮かべる。

「まだ夜明けまで時間があるから楽しみましょうか。」

オリビアはそう言うと小瓶を取り出して蓋を開けると、俺の顎を上に上げて口を無理やり開かせると、小瓶の中身を流し込んだ。
俺は飲み込まないように口の中で貯めていたが、オリビアが口にワインを含むと、俺の口に口移しでワインを流し込んでくる。
口を塞がれて流し込まれた液体に、思わずゴクリと飲み込む。

「・・・なにを飲ませた。」

「楽しみましょうって言ったでしょ?」

オリビアはそう言いながら俺の胸に指を這わせ、そこから下へと手を伸ばす。

「媚薬よ。暫くして効いてきたら楽しみましょうね。」

にっこり笑うオリビアに、俺は睨みつけることしか出来ない。
気が付くと、上半身のシャツははだけて肌が見えている。
焦って下半身を見ると、まだちゃんとズボンを履いているのでほっとするが、それも束の間。

しばらくすると身体がうずく。やばい、身体が熱くなってきた・・・






    
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