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22話 猫かぶり王子
しおりを挟む晩餐会では、言われていたように、隣国の代表の方も沢山来ていて、レオンハルト様はそんな方達とほとんど顔見知りのようで、楽しそうに会話を楽しんでいた。
「いや、レオンハルト殿下にこんな美しい婚約者がいらっしゃったとは、流石は殿下、羨ましいですね 」
ニヤニヤといやらしい笑顔で私を舐め回すように見つめるのはカサエル王国の第一王子、ギルカザフ様だ。
彼の隣に座っているアーニャ妃もとても素敵なのに、そんな目で私を見ないで欲しい。
はっきり言って気持ち悪い。だけど相手は王族、笑顔で耐える。私えらい!
「ギルカザフ殿、私の大事な婚約者をそのような目で見ないで頂けますか? 」
私の隣に居る猫かぶり王子はやんわり笑顔で注意してくれてるけど、迫力がない。ギルカザフ様は聞いていない様子。
それを見て、レオンハルト様は私の肩に手を回して引き寄せると、頬にキスをした。
突然の事にびっくりして声を上げそうになったけれど、それはぐっと耐える。
「レオンハルト様! 皆様の前ですわ 」
肩を抱かれたままレオンハルト様を見ると、熱い眼差しで私を見つめる。
「他の男にエリシアが見られてると思うと、ヤキモチを妬いてしまうよ、エリシアは私のものだからね 」
「ええ、もちろんですわ 」
「エリシア・・・愛してるよ 」
「レオンハルト様・・・私もです 」
そう言って見つめあっていると、「コホン」と咳払いが聞こえる。
咳払いのした方を見ると、シュナイダー王がこちらを見ていた。
「とても仲がよろしいのはいい事だが、皆の前だ、睦み合うのは程々にしてくれ 」
「そうですよ、こんなに仲の良い女性がいらっしゃるとは・・・私の娘を・・・と思っておりましたが、残念です 」
シュナイダー王の後に続けたのはイルダーン国の国王だ。
それに従うように、他の国の方々も「同じく」と口々に話し合う。
レオンハルト様が言っていたように、レオンハルト様を婿に望む国が多いんだと改めて分かった瞬間だった。
確かに我国は大国で、豊かな国だし軍事力もそれなりに持っている。
そんな国の第二王子、しかも超イケメンとか、かなりの優良物件だわね、そんな事を知ってか知らずか、うちの国王様はレオンハルト様を王族の外交担当に置いている。
もしかしたらわざとかもね、婚約者のいないレオンハルト様なら外交相手に下心を抱かせ、こちらの優位に立つ事が出来るもの。
そうなると国王様もしたたかよね・・・なんて事を考えていると、レオンハルト様が私の肩に置いていた手を下ろす。
「これはお恥ずかしい、エリシアを取られてしまうような気がしてつい 」
レオンハルト様は私から離れると照れ笑いをしながら答える。
つい考え事をしてしまったわ。
「いや、レオンハルト殿とエリシア嬢は美男美女でとてもお似合いだ、皆羨ましいのだよ 」
「嬉しいお言葉ありがとうございます 」
シュナイダー王の言葉にレオンハルト様は王子スマイルで答える。
その笑顔に魅入られるように顔を赤らめているご婦人が何人もいた事は内緒にしておいた方が平和よね。
暫く歓談は続き、終わったのは10時を過ぎた頃だった。
レオンハルト様は他の国の方々から沢山お酒を勧められていたので、結構酔っていらっしゃるのか、さっきから少し足取りが不確かだ。そんなレオンハルト様を支えるように寄り添って歩き、レオンハルト様の部屋の前まで戻ってきたのを見て、やっと開放されるとほっとする。
「レオンハルト様、お疲れ様でした。おやすみなさいませ 」
かなり酔ってるみたいだけど、後の事は近侍のライル様に任せておこう。
そう思ってレオンハルト様に挨拶をして自分の部屋へ向かおうとすると、突然手を掴まれてレオンハルト様の腕の中に引き寄せられてしまった。
「ちょっ、レオンハルト様? 」
慌てる私をレオンハルト様は甘い瞳で見つめる。
「離れ離れなんて嫌だよ、今夜はずっと一緒だよ 」
甘い声で囁いた後、私はレオンハルト様の部屋に引きずり込まれてしまった。
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