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啓のお弁当作り
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祥と付き合って2週間。今日は祥の大事な仕事の日。俺は横で寝ている祥を起こさないようにベッドから抜け出す。洗面と着替えを済ませ、エプロンを身に着ける。
「さて、作ってやるか。」
俺は弁当箱を取り出し、料理を始めた。
第15話 啓のお弁当作り
祥の今日の仕事は午前から昼をまたいでの撮影になる。そのための弁当を俺が作る事になった。
「兄ちゃん、お弁当でオムライス作って!」
以前学食の定食でオムライスを食べた際、祥のオムライス欲に火が付いたらしい。俺はリクエストのオムライスを作るべく、冷蔵庫からタマゴと牛乳、バターを取り出す。しっかりタマゴと牛乳を混ぜておく。その後鶏肉を細かく切り、下味をつけておく。フライパンで炊いておいたご飯にミックスベジタブルを入れて混ぜ、鶏肉を入れしっかり炒める。軽く味付けして味見をする。
「ふむ……。」
下味は良さそうだ。胡椒と塩が良い感じだ。最後にケチャップを入れ、味を調える。一度フライパンを避け、もう1つのフライパンを温める。バターを入れ、いい具合に溶けたところで溶いたタマゴを入れる。ふわりとバターが香る。タマゴがふわふわになったところでチキンライスを乗せ、弁当箱に綺麗に入れた。そこで時計を見る。
「時間まだあるな。」
祥の出勤までかなり時間がある。そこで俺は一度フライパンを綺麗にした後、冷蔵庫から追加でタマゴを取り出す。いくつか薄焼きタマゴを作り、折りたたんでずらしながらオムライスに乗せていく。さらに冷蔵庫から焼きそばの麺を取り出す。フライパンで具なしの焼きそばを作り、オムライスの傍に乗せる。面の向きは統一させる。最後にミニトマトを半分に切り、オムライスに乗せる。
「これで良し。」
出来上がったのは、とある映画で出て来た虫キャラ『オーム』をモチーフにした『オームライス』だ。せっかくの仕事だ。祥には少しでも元気になって欲しい。オームライスの周りをブロッコリーとアスパラで飾る。出来上がった弁当に蓋をして、箸と一緒に袋に入れる。そんな時、祥が部屋から出てくる。
「兄ちゃん、おはよ! いい匂いするー!」
「祥、おはよう。リクエストのオムライス、弁当で作っておいたぞ。」
「ありがと!」
祥が抱き着いてくる。俺は祥を撫でてやる。
「弁当出来たから、祥も支度しろ。朝ごはん、焼きそばでいいか?」
「うん!」
祥は俺から離れ、洗面所に行く。その隙に残った焼きそばに具材を加えて炒める。出来上がった焼きそばを皿に盛りテーブルに出す。直ぐ後に祥が洗面所から出てくる。前髪か少し濡れている。
「お、美味しそう! 朝から焼きそばだなんて、元気出るね!」
「今日は大きい仕事だろう? エネルギーつけなきゃな。」
「そうだね! いただきまーす!」
「頂きます。」
二人で焼きそばを分け合って食べる。焼く時に野菜の水分で麺をほぐしているから、べたつきがない。
「兄ちゃん、ホント料理凄いよね!」
「実家に居た頃、母さんの手伝い良くしてたからな。」
「母さんも料理上手いよね! はー、久しぶりに肉じゃが食べたくなってきたぁ。」
「じゃあ今日の夜作ってやるよ。」
「やったぁ! 楽しみ!」
そう言っている間に食事が終わり、二人で歯を磨きに行く。歯磨きが終わった後、祥は荷物を持って出かける。
「兄ちゃん、行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい。無理するなよ。」
祥が出かけた後、食器を片づける。片づけついでに夕飯のリクエストの下準備をする。じゃがいもと人参の皮をむき、ジャガイモは少し大きめに切る。煮崩れするからだ。糸こんにゃくも取り出し適度な長さに切り、一緒に鍋で煮込む。
「さて、こんな所だな。」
片づけをすると、テーブルにあるものを見つける。
祥の弁当箱だ。
「あいつ、忘れていったな……!」
『せっかく作ったのに』と思うより、祥の落ち込む姿が目に見える。それが正直可哀想だ。俺は慌てて祥の仕事現場へ向かう事にする。部屋着から外着に着替え、ショッピングモール行の地下鉄に向かって走っていった。
______
ショッピングモールにたどり着く。急ぎ祥の姿を探す。スタッフらしき人に声を掛ける。
「すみません、ファッション誌『ケルビン』の撮影場ってどこですか?」
「近くの階段裏です。」
「ありがとうございます。」
階段裏に急いで向かう。そこには撮影機材を弄っている人がいた。他のスタッフは慌ててスマホで電話をしている。暇そうにしているスタッフに声を掛ける。
「すみません、ここにモデルの颯水 祥はいますか?」
「いるけれど、関係者か何か?」
「祥の双子の兄です。弟が忘れ物をしたので、届けに来ました。」
「そうか、それならあそこにいるから届けてくれ。何か落ち込んでるから。」
「ありがとうございます。」
俺は言われた場所で祥を見つけ、駆け寄っていった。
「さて、作ってやるか。」
俺は弁当箱を取り出し、料理を始めた。
第15話 啓のお弁当作り
祥の今日の仕事は午前から昼をまたいでの撮影になる。そのための弁当を俺が作る事になった。
「兄ちゃん、お弁当でオムライス作って!」
以前学食の定食でオムライスを食べた際、祥のオムライス欲に火が付いたらしい。俺はリクエストのオムライスを作るべく、冷蔵庫からタマゴと牛乳、バターを取り出す。しっかりタマゴと牛乳を混ぜておく。その後鶏肉を細かく切り、下味をつけておく。フライパンで炊いておいたご飯にミックスベジタブルを入れて混ぜ、鶏肉を入れしっかり炒める。軽く味付けして味見をする。
「ふむ……。」
下味は良さそうだ。胡椒と塩が良い感じだ。最後にケチャップを入れ、味を調える。一度フライパンを避け、もう1つのフライパンを温める。バターを入れ、いい具合に溶けたところで溶いたタマゴを入れる。ふわりとバターが香る。タマゴがふわふわになったところでチキンライスを乗せ、弁当箱に綺麗に入れた。そこで時計を見る。
「時間まだあるな。」
祥の出勤までかなり時間がある。そこで俺は一度フライパンを綺麗にした後、冷蔵庫から追加でタマゴを取り出す。いくつか薄焼きタマゴを作り、折りたたんでずらしながらオムライスに乗せていく。さらに冷蔵庫から焼きそばの麺を取り出す。フライパンで具なしの焼きそばを作り、オムライスの傍に乗せる。面の向きは統一させる。最後にミニトマトを半分に切り、オムライスに乗せる。
「これで良し。」
出来上がったのは、とある映画で出て来た虫キャラ『オーム』をモチーフにした『オームライス』だ。せっかくの仕事だ。祥には少しでも元気になって欲しい。オームライスの周りをブロッコリーとアスパラで飾る。出来上がった弁当に蓋をして、箸と一緒に袋に入れる。そんな時、祥が部屋から出てくる。
「兄ちゃん、おはよ! いい匂いするー!」
「祥、おはよう。リクエストのオムライス、弁当で作っておいたぞ。」
「ありがと!」
祥が抱き着いてくる。俺は祥を撫でてやる。
「弁当出来たから、祥も支度しろ。朝ごはん、焼きそばでいいか?」
「うん!」
祥は俺から離れ、洗面所に行く。その隙に残った焼きそばに具材を加えて炒める。出来上がった焼きそばを皿に盛りテーブルに出す。直ぐ後に祥が洗面所から出てくる。前髪か少し濡れている。
「お、美味しそう! 朝から焼きそばだなんて、元気出るね!」
「今日は大きい仕事だろう? エネルギーつけなきゃな。」
「そうだね! いただきまーす!」
「頂きます。」
二人で焼きそばを分け合って食べる。焼く時に野菜の水分で麺をほぐしているから、べたつきがない。
「兄ちゃん、ホント料理凄いよね!」
「実家に居た頃、母さんの手伝い良くしてたからな。」
「母さんも料理上手いよね! はー、久しぶりに肉じゃが食べたくなってきたぁ。」
「じゃあ今日の夜作ってやるよ。」
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そう言っている間に食事が終わり、二人で歯を磨きに行く。歯磨きが終わった後、祥は荷物を持って出かける。
「兄ちゃん、行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい。無理するなよ。」
祥が出かけた後、食器を片づける。片づけついでに夕飯のリクエストの下準備をする。じゃがいもと人参の皮をむき、ジャガイモは少し大きめに切る。煮崩れするからだ。糸こんにゃくも取り出し適度な長さに切り、一緒に鍋で煮込む。
「さて、こんな所だな。」
片づけをすると、テーブルにあるものを見つける。
祥の弁当箱だ。
「あいつ、忘れていったな……!」
『せっかく作ったのに』と思うより、祥の落ち込む姿が目に見える。それが正直可哀想だ。俺は慌てて祥の仕事現場へ向かう事にする。部屋着から外着に着替え、ショッピングモール行の地下鉄に向かって走っていった。
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「ありがとうございます。」
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「すみません、ここにモデルの颯水 祥はいますか?」
「いるけれど、関係者か何か?」
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