寡黙なお兄ちゃんは小悪魔な弟が気になります。

※ 香りに誘われて

　夕食と風呂を済ませ、俺は脱衣所で貰った香水を首やうなじにかける。先ほどの甘く濃い香りがふわりと広がる。

「さて、これでいいか……。」

　脱衣所から出て、祥の部屋に入る。祥も香水をつけたのか、爽やかな、でも甘い香りがする。

「兄ちゃん……！」

「待たせたな。……いいか？」

　祥は真っ赤になりながら、頷く。その頬は、紅葉みたいに真っ赤になっている。俺は祥の頭を支えつつ、ゆっくりベッドに押し倒した。



　第26話　香りに誘われて



　触れるだけのキスを何度もする。祥の唇は柔らかく温く、どこか甘い。

「んふ……、ふぁ……、……んっ！」

　祥から漏れる吐息が耳に届く。それだけでも理性が焼ききれそうだ。思わず舌で祥の唇を割り、口内に入り込む。怯えたように引っ込んでいる祥の舌を絡めとると、そのぬるりとした舌を可愛がる。

「んむ……ッ、ふっ……、ぁ……ッ！」

　少しずつ祥の緊張も解けて、俺の舌に自身のを絡めてくる。お互いを確かめ合って、貪る。どれくらい経ったか分からなくなった頃、ようやくお互い絡め合うのを止めた。銀の糸がぷつりと途切れる。

「にい、ちゃ……ッ！」
「祥……。」

　祥が俺を呼ぶ。その声に誘われ、祥の耳下あたりの首に齧りつく。甘い香水と祥の匂いが合わさって、魅惑される。噛み痕に吸いつき痕を濃くすると、そこからゆっくり胸にかけて舌を這わせる。

「ふぁ……ッ！　それ、だめぇ……ッ！」
「でも、ビクビクしてて可愛いぞ。」
「やぁッ！　んぁ！」

　胸の飾りにたどり着くと、その周りを舌でなぞる。反対側は空いた手で触れるだけに留めておく。飾りが少しずつ主張を始める。それを無視して周りだけを可愛がっていると、祥が耐えかねてねだり始める。

「にいちゃ、むね……ッ！」
「胸がどうかしたか？」
「むね、ちゃんとさわって……？」
「……いい子だ。」

　可愛いおねだりに俺は答えてやることにした。祥の胸を、優しく吸ってやる。その刺激で祥が体を跳ねさせる。

「んぁあ！　ふぁッ！」

　俺に反応して跳ねる体。それに、漂う甘い匂いが、どうしようもなく俺を誘う。祥の胸を舌で弄りつつ、祥の前を触る。すっかり勃っているソレの先端を優しく触る。ぬちゃり、と先走りの音がする。

「あああぁ！　にい、ちゃ、だめぇ！」
「ダメじゃないだろ？　嘘は良くないぞ。」
「うぅ……。き、きもち、いいッ……ッ！」
「そうそう、その調子だ。」
　
　恥ずかし気に『気持ちいい』と言う祥に、さらに自身に熱が集まるのを感じる。そのまま祥の体液をローション代わりに、祥の前を扱いてやる。

「んぁあ！　きも、ち、いいの！　もうっ、だめぇ……ッ！」

　祥が俺の背中を掻き抱く。爪が食い込むが、そんなのどうだっていい。祥をイかせてやりたい。可愛い姿をもっと見たい。その一心で祥の胸を、祥自身を刺激する。いよいよ限界が近くなってきたのか、祥は体を大きくそらし始める。

「もうっ、むりッ！　だめなのッ！　にいちゃ、らめ……ッ！」

　その反応を見聞きして、俺はさらに刺激を与えてやる。祥の体が大きく跳ねる。

「やああああぁあぁぁ！！」

　びゅるる、と祥のモノから白濁があふれ出てくる。それが堪らなく愛しい。辛うじて残っている理性を動員してローションを取る。それを祥の後孔を優しく塗り、傷つけないように指を入れる。祥の匂い、香水の匂い、性の匂い。それぞれが混ざって理性を攻め落とそうとしてくる。俺自身も限界が近い。

「にいちゃ、いま、イったばっかなの……ッ！　まって……！」
「悪い、無理だ。」

　祥には悪いが、一気に祥の弱いところを攻める。

「んああぁ！　やぁ……ッ！　しょこ、らめッ！」

　跳ねて閉じようとする脚を押さえつけ、ひたすら後ろを攻める。だが、俺自身の我慢の限界が来る。指がある程度入るようになった所で、指を引き抜き自身を宛がう。

「にいちゃん、いま、だめ……ッ！」

　首を横に振る祥にキスを落とし、そのまま祥の中へ入った。普段より締め付けが強く、理性が音を立てて切れていく。

「ふ……ッ、せま、い……っ！」
「んぁ、やぁん……ッ！」

　祥の中にゆっくりと全部を入れ、そのままゆっくりと引き抜く。そして、本能のままに勢いよく祥を突き立てた。

「あああぁぁぁあ！」
「は……ッ、ふっ、く……ッ！」

　律動を緩められない。いつもと違う祥の匂いに、本能が突き動かされる。このまま食らいつきたい、そう本能が叫ぶ。その言葉に流されるまま、俺は祥の唇に食らいつきながら律動する。

「っふ、ん、しょ、う……ッ！」
「にい、ちゃ……ッ！　ふあぁ！」

　祥の目から涙が零れる。それすらも甘そうで。でも甘美な唇から離れられない。その涙を片手ですくう。

「にいち、ゃ、もう、むり……ッ！」
「おれも、もう……ッ！　くぁ……ッ！」

　祥の締め付けがきつくなる。それに俺も律動を激しくしてしまう。互いの限界は、目の前だった。手を握り合う。そして、そのまま俺は祥の中で、祥は俺の一押しで達した。辺りには互いの匂いと性の匂い、それと普段はしない酷く甘い金木犀の香りがした。