こんなスパダリが義弟のワケない

筒井

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28.心配させて

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 担任に欠席の連絡を入れると、家庭の事情を知っているため「環境が変わって疲れが出たんだろう、ゆっくり休みなさい」とありがたい言葉を添えられた。
 通話を切ると、タイミング良く一人分の小鍋を持った秀一が部屋に入ってくる。

「わざわざ持って来てくれたのか? 大丈夫だよ、起きられる」
「いいからいいから。オレがこうしたいんです」

(……っ、だから、そういうのは……!)

 相変わらず恥ずかしい発言をさらっと言ってみせる秀一に根負けして、ベッド脇のローテーブルに置かれた土鍋に手を伸ばそうとした時。

「たぶん熱くないと思うんですけど……はい、あーん」
「……!」

 ひと口分のお粥を掬った秀一は、そのままスプーンをこちらへ向けてくる。

「だ、だからそういう恥ずかしいのはやめろってば……!」
「恥ずかしい? ……ふふ、誠二さん照れ屋なとこありますよね」
「この齢で『あーん』されて恥ずかしくないわけねーだろ! もう、そういうポイント稼ぎとかいいから……」

 自分で食べる、と手を伸ばそうとして、その手をぎゅっと握られる。

「……ポイント稼ぎじゃないです。本当に心配してるんですよ。俺が出来ることなんて、こんなことしかないから……せめて弱ってる時くらい、甘えてください」
「……っ」

(くそ、こういうの反則だろ……っ)

 クソイケメン――しかも俺はそいつに惚れている――が思いやりを持って自分に接しているという状況で、羞恥と歓喜がない混ぜになって俺は、ついに口を開けた。

「……ぁむ、むぐむぐ……」
「熱くないですか?」
「……平気、上手い」
「よかった」

(ああもう、スパダリもここまでくると怖い……)

 お粥を最後まで食べさせてもらうと、秀一は支度をして玄関へと向かう。

「途中で本当に具合悪くなったら、病院行ってくださいね」
「わかった」
「じゃあ、いってきます」
「いってらっしゃい」

 バタン、と扉が閉まるなり、俺はばったりと布団に突っ伏した。

(あー……、これからどうしよう……)

 恋心を自覚したものの、大切な受験期である。秀一の想いに応えるわけにはいかないが、こんな生活が続いたら俺の心臓が持たない。ていうか勉強に集中できない。
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