脇役のオッサンが異世界無双

伊藤柳星張

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一章

こうして彼は彼女となった パート4

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  ソウザはウェイブの右手にある印章と自身の右手の印章が違うものだということは理解していた。

ソウザは登記簿とソウザの印章の控えを見比べながらせわしなく動くウェイブの右手の印章に注視する。

ウェイブの印章には一瞥しただけでとてつもない力が込められてるのがわかった。
ソウザは更に目を細める。
ソウザはその印章の力の源、流れ込んでいる経路の先を心眼によって探る。

ソウザの意識は肉体を離れ、その奥へ。
真鍮色の闇のなかを泳ぐこと数分。
体感としては数時間。
おぼろ気ながらの存在が見えてきた。

光輝く人の形をしたなにか。
形容するのであればそれはまさに――

(真言を捧げ天人を遣い手は知ってるが……こいつは、ガチなやつか?)


ソウザは自身の解釈との答え合わせのために、その存在に更に近づこうとした瞬間、



――■■■■■■■■■■■



は語りかけてきた。

「……ッ!」
言葉など何一つ理解できない。
が、形容できないほどの莫大なエネルギーが頭に直接流れ込んでくるのがわかる。
ソウザはすぐに意識を現実に引き戻す。

意識を戻すのが少し遅れれば廃人になっていた。

ソウザは冷や汗をかく。
やはり根本的に違うものだ、オレのやつとは。
ソウザは自分の印章を見つめる。
歪な渦巻きを描いたような印章。

ウェイブの印章とは違い、これは何処とも繋がっていない。
神の力など感じない。

つまりはこれはただの模様でただの刺青ブランク
なら何故これは急にソウザの右手に現れ、そして記憶が戻ったのか。

もちろんなにもわからない。

堂々巡りな考えにソウザはうんざりしてくる。
いっそなにもかも投げ捨てて野に出てやろうか。

昔の自分なら迷うことなくそうしていたろうが、
それをしないのはソウザ自体が深刻に物事を考えている証だった。
なにせなにを判断するにも情報が少なすぎる。
自身のおかれてる状況は昔のように自身の腕っぷし一本だけでどうにかなる問題ではない。

しかも先ほどの口調の件で少なからず両親や使用人たちに不信感を与えてるはずだ。

この状況でもし自身の娘が別人だとわかってしまったなら、彼らが善人だとわかっていても、
どうなってしまうかはわからない。

ソウザは自分の手のひらを見つめる。
見れば見るほど小さな手だ。
年齢よりかは恵まれた体格なのだろうが、所詮は5歳児。
20年鍛え続けた屈強な肉体はここにはなく、
法治国家の日本で暴力を認めさせてきた愛槍『鉄塊』ももうない。


考えれば考えるほど最悪の状況。
今すぐにでも白旗をあげたい気分だ。

「ソウザ……あなた顔が真っ青よ。
まだ寝てた方がいいんじゃない?」
ヴィクトリアはソウザの顔を覗きこみながら心配そうに尋ねる。

「いや騒がしてるのはオレ……わ、ワタシだから寝てるわけには……」
ソウザは口調に気を付けながらこの部屋から追い出されないようにつとめる。
そう?とヴィクトリアは納得はしてない様子だ。

彼女には悪いがこんな状況で寝ていられるわけがない。
一つでも情報がほしい。
ソウザは必死だった。

しかしいくらウェイブ達を眺めてようが、この状況を考察しようが何一つとしてわかるものはない。

下手の考え休むににたりとはまさにこの事だ、とソウザは自嘲しながらうなだれた。
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