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男達の救い主
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「フッツメーン様から黒い蔦が……」
ラングレイは、あの時確かにフッツメーンの声を聞いた。
『私を逃がす糧となれ、騎士達よ』
『悪魔のエンゲージリングよ、力を示せ』
王太子フッツメーンは、騎士達を犠牲に、自分だけ逃げたのか……。
確かに護衛騎士は、主君に危険が迫れば、身を呈して逃がすのも職務である。
だがそれは、自発的なものだ。
命をかけて主の望むまま、死地に身を投じたというのに、その主君から切り捨てられるような、そんな死に方は騎士としてどれほど無念か。
ラングレイは、沸々と沸き上がる怒りに、体が震えるのを感じていた。
その時、前方から飛んできた茶色の何かが、頬を掠めたかと思うと、背後でドウッと地響きがした。
慌てて振り返ると、縦に真っ二つにされたホオークキングが、こげ茶色の泥まみれで倒れている。
説明しよう。
ホオークとは、オークの突然変異である。
オークはゴブリンと同じく、オスばかりの種族だ。
普段は他種族のメスを拐い、苗床にして数を増やす。
彼らは本能が強く、とにかくメスを見ると見境いがなくなる、文字通りの恐ろしい強姦魔である。
だがオスばかりの種族に、メスではなく同性のオスに性欲を覚える特殊個体が現れる事がある。
この個体を、オークと区別して、いつからか、誰が名付けたか、『ホオーク』と呼ぶようになった。
ホオーク達はメスを襲わない。
だが、オークがメスに向ける情熱と同じ分だけ、ホオークはオスを襲うのである。
オークが性欲を覚え大人になる頃、ホオークもまた同じように大人の階段を上る。
いや、上ろうとして、仲間のオークを襲い、多くは皆に殺されるのである。
それはそうだ。
オークの本能が強いのは、自分達がよく知っている。
その強さが自分達に向けられたなら、……大変怖い。
だが、ホオークは特殊個体なだけに、オークよりも能力が高く、逃げおおせる事もしばしばある。
そんな野良ホオークは、森をうろつき、同種に出会うと集落を作る。
何故かホオーク同士では、性欲を抱かぬらしい。
そして、オークや他種族のオスを襲い、野良ホオークを取り込み、少しずつ数を増やしているのである。
その集落で最高位の強さへと進化した者を『ホオークキング』と呼ぶ。
世界のどこかには、そんないくつかの『ホオークの森』と呼ばれる集落があるらしいが、それは置いておく。
オークはダンジョンにも発生するが、当然ホオークも発生する事がある。
ダンジョンには多くの冒険者が訪れるので、自然、ダンジョン産ホオークの中には、強さを磨き、ホオークキングへと進化する者が多いのである。
さて、そんなホオークが、背後から己れを狙っていたと尻、いや、知り、ラングレイは、フッツメーンに裏切られた時の怒りを一瞬忘れてしまうほど、背筋が凍えた。
「そこの騎士よ。戦場で考え事は危ないのではないか?何やらそのままじゃと、とんでもない光景を見させられそうな予感がした故、後ろのはわしが倒したが……」
「そうそう。めっちゃ18禁の気配が濃厚で、慌てちゃったよ」
ドロンズとクリソックスがラングレイの元に近づいていく。
「か、かたじけない……!真にあなた方は命の……いや、命よりも大切な何かの恩人だ!」
ラングレイは、戦場に神を見た。
二柱の肌のコンディションが整った!
だが、クリソックスはのほほんと不穏な言葉を発した。
「まだ安心するのは早いよ?だって、18禁の気配は、まだ消えてない」
「なっ……!」
ラングレイは、改めて周囲を見回した。
B級の魔物の向こうから、ホオークキングが続々とやって来るのが見えた。
「ホオークキングが、十体以上……!」
ラングレイは戦慄した。
オークはD級の魔物である。だがホオークはただでさえ強くC級なのだ。ホオークキングともなれば、B~A級の実力がある。
一体であれば、王宮騎士団副団長である己れの実力ならなんとか倒せるかもしれない。
ただ、それが群れとなると……。
「ホオークキングに輪になって囲まれたなら、私は躊躇わず自死を選ぶ!」
そんな悲痛な呟きを聞いたドロンズは、ラングレイに聞いた。
「お主、泥団子を始めてみる気はあるか?」
「は?泥?」
ラングレイは耳を疑った。
ドロンズは、重ねてラングレイに聞いた。
「お主も聞いておろう?わしは泥団子の神じゃ。お主が泥団子を作ってわしに捧げるというなら、お主が嫌うあの魔物を、最優先で殺してやろう」
クリソックスも、ドロンズの尻馬に乗った。
「あ、私もクリスマスプレゼントの靴下の神だから、プレゼントのラッピングに靴下を使ってくれるなら、18禁を15禁に戻すのを手伝うよ!」
ラングレイは叫んだ。
「泥団子でも靴下でも何でもやるっ!信仰も捧げる!だから、あの悪魔達を滅ぼしてくれえっ!!」
「「その願い、聞き届けた!!」」
ドロンズとクリソックスは、ホオークキングの群れに突っ込んでいった。
泥カッターで細切れになるホオークキング達。こちらのホオークキング達は、靴下を撒き散らしながら爆散している。
あっという間に、ホオークキング達は全て討伐されてしまった。
「か、神だ……」
ラングレイは、二柱のあまりの無双ぶりに、知らず膝をついて祈っていた。
そして、最後のホオークキングが倒された瞬間、心の底から安堵した。
心なしか、周囲の魔物達(オス)も、ホッとした様子である。
そういえば、ホオークキング達と他の魔物達の間には距離があった。
もしかしたら、魔物達が必死こいてこちらにやって来たのは、ホオークキングに追われていたのもあったのかもしれない。
信仰を新たにし、かつてない危機を乗り越えたラングレイは、周囲の魔物を屠り始めた。
そこに、ドロンズとクリソックスが加勢する。
かつてこれほどの心強さと忠誠心で、戦場に立ったことがあっただろうか。
ラングレイは、心の中から完全にフッツメーンを切り捨て、かつてフッツメーンがいた場所に、ドロンズとクリソックスを据え置いた。
ドロンズ、クリソックス、ラングレイは、最前戦で、ホオークキングを始めとしたほとんどのB級魔物を仕留め、結果的に物語と男達を18禁の運命から救ったのであった。
ラングレイは、あの時確かにフッツメーンの声を聞いた。
『私を逃がす糧となれ、騎士達よ』
『悪魔のエンゲージリングよ、力を示せ』
王太子フッツメーンは、騎士達を犠牲に、自分だけ逃げたのか……。
確かに護衛騎士は、主君に危険が迫れば、身を呈して逃がすのも職務である。
だがそれは、自発的なものだ。
命をかけて主の望むまま、死地に身を投じたというのに、その主君から切り捨てられるような、そんな死に方は騎士としてどれほど無念か。
ラングレイは、沸々と沸き上がる怒りに、体が震えるのを感じていた。
その時、前方から飛んできた茶色の何かが、頬を掠めたかと思うと、背後でドウッと地響きがした。
慌てて振り返ると、縦に真っ二つにされたホオークキングが、こげ茶色の泥まみれで倒れている。
説明しよう。
ホオークとは、オークの突然変異である。
オークはゴブリンと同じく、オスばかりの種族だ。
普段は他種族のメスを拐い、苗床にして数を増やす。
彼らは本能が強く、とにかくメスを見ると見境いがなくなる、文字通りの恐ろしい強姦魔である。
だがオスばかりの種族に、メスではなく同性のオスに性欲を覚える特殊個体が現れる事がある。
この個体を、オークと区別して、いつからか、誰が名付けたか、『ホオーク』と呼ぶようになった。
ホオーク達はメスを襲わない。
だが、オークがメスに向ける情熱と同じ分だけ、ホオークはオスを襲うのである。
オークが性欲を覚え大人になる頃、ホオークもまた同じように大人の階段を上る。
いや、上ろうとして、仲間のオークを襲い、多くは皆に殺されるのである。
それはそうだ。
オークの本能が強いのは、自分達がよく知っている。
その強さが自分達に向けられたなら、……大変怖い。
だが、ホオークは特殊個体なだけに、オークよりも能力が高く、逃げおおせる事もしばしばある。
そんな野良ホオークは、森をうろつき、同種に出会うと集落を作る。
何故かホオーク同士では、性欲を抱かぬらしい。
そして、オークや他種族のオスを襲い、野良ホオークを取り込み、少しずつ数を増やしているのである。
その集落で最高位の強さへと進化した者を『ホオークキング』と呼ぶ。
世界のどこかには、そんないくつかの『ホオークの森』と呼ばれる集落があるらしいが、それは置いておく。
オークはダンジョンにも発生するが、当然ホオークも発生する事がある。
ダンジョンには多くの冒険者が訪れるので、自然、ダンジョン産ホオークの中には、強さを磨き、ホオークキングへと進化する者が多いのである。
さて、そんなホオークが、背後から己れを狙っていたと尻、いや、知り、ラングレイは、フッツメーンに裏切られた時の怒りを一瞬忘れてしまうほど、背筋が凍えた。
「そこの騎士よ。戦場で考え事は危ないのではないか?何やらそのままじゃと、とんでもない光景を見させられそうな予感がした故、後ろのはわしが倒したが……」
「そうそう。めっちゃ18禁の気配が濃厚で、慌てちゃったよ」
ドロンズとクリソックスがラングレイの元に近づいていく。
「か、かたじけない……!真にあなた方は命の……いや、命よりも大切な何かの恩人だ!」
ラングレイは、戦場に神を見た。
二柱の肌のコンディションが整った!
だが、クリソックスはのほほんと不穏な言葉を発した。
「まだ安心するのは早いよ?だって、18禁の気配は、まだ消えてない」
「なっ……!」
ラングレイは、改めて周囲を見回した。
B級の魔物の向こうから、ホオークキングが続々とやって来るのが見えた。
「ホオークキングが、十体以上……!」
ラングレイは戦慄した。
オークはD級の魔物である。だがホオークはただでさえ強くC級なのだ。ホオークキングともなれば、B~A級の実力がある。
一体であれば、王宮騎士団副団長である己れの実力ならなんとか倒せるかもしれない。
ただ、それが群れとなると……。
「ホオークキングに輪になって囲まれたなら、私は躊躇わず自死を選ぶ!」
そんな悲痛な呟きを聞いたドロンズは、ラングレイに聞いた。
「お主、泥団子を始めてみる気はあるか?」
「は?泥?」
ラングレイは耳を疑った。
ドロンズは、重ねてラングレイに聞いた。
「お主も聞いておろう?わしは泥団子の神じゃ。お主が泥団子を作ってわしに捧げるというなら、お主が嫌うあの魔物を、最優先で殺してやろう」
クリソックスも、ドロンズの尻馬に乗った。
「あ、私もクリスマスプレゼントの靴下の神だから、プレゼントのラッピングに靴下を使ってくれるなら、18禁を15禁に戻すのを手伝うよ!」
ラングレイは叫んだ。
「泥団子でも靴下でも何でもやるっ!信仰も捧げる!だから、あの悪魔達を滅ぼしてくれえっ!!」
「「その願い、聞き届けた!!」」
ドロンズとクリソックスは、ホオークキングの群れに突っ込んでいった。
泥カッターで細切れになるホオークキング達。こちらのホオークキング達は、靴下を撒き散らしながら爆散している。
あっという間に、ホオークキング達は全て討伐されてしまった。
「か、神だ……」
ラングレイは、二柱のあまりの無双ぶりに、知らず膝をついて祈っていた。
そして、最後のホオークキングが倒された瞬間、心の底から安堵した。
心なしか、周囲の魔物達(オス)も、ホッとした様子である。
そういえば、ホオークキング達と他の魔物達の間には距離があった。
もしかしたら、魔物達が必死こいてこちらにやって来たのは、ホオークキングに追われていたのもあったのかもしれない。
信仰を新たにし、かつてない危機を乗り越えたラングレイは、周囲の魔物を屠り始めた。
そこに、ドロンズとクリソックスが加勢する。
かつてこれほどの心強さと忠誠心で、戦場に立ったことがあっただろうか。
ラングレイは、心の中から完全にフッツメーンを切り捨て、かつてフッツメーンがいた場所に、ドロンズとクリソックスを据え置いた。
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