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コアを破壊するまでがスタンピード
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スタンピード発生から二日目の朝。
ダンジョンコアが溜め込んだ魔素を吐き出しきったのか、スタンピードはほとんど収束し、後はダンジョンコアを破壊するのみとなっていた。
これは、非常に幸運なことだ。
ダンジョンコアがそこまで大きいものではなく、思ったほど魔素を溜め込んでいなかったためだった。
また、強い魔物をクリソックスとドロンズが昼夜ほとんど休まず、大量に始末したため、他の兵士や冒険者達を大きく損なうことなく、効率的に多くの魔物を討伐することができたのも大きい。
本来、スタンピードが起きた場合、兵士や冒険者は強い魔物によって多くが死に、高ランクの魔物達に手こずって、収束するまでに五日以上はかかるものだ。
さらに魔物の数を減らすことに失敗した場合、町の城壁を突き破って、町の中を魔物に蹂躙された結果、多大な人的被害を出し、町が破棄されてしまった例もある。
つまり、二日目の朝にはスタンピードが収束するなど、異例のことであった。
だが、そこでめでたしめでたしというわけにはいかないのが、スタンピードである。
家に帰るまでが遠足であるように、スタンピードもダンジョンコアを破壊するまでがスタンピードなのだ。
魔素を溜め込み過ぎて歪みの発生したダンジョンコアは、放っておくとまた魔素を溜め込んで、スタンピードを発生させてしまう。
そんなことを繰り返してさらに歪みが大きくなると、魔素を溜め込んでもうまく吐き出せなくなり、最終的にコアは爆発する。
その時のエネルギーは凄まじく、町を巻き込んで半径1キロメートルが吹き飛んだ例もある。
だからこそ、スタンピード収束後は、速やかにダンジョンコアを破壊せしめることがセオリーなのだ。
二日目の朝の城壁の外側には、ルイドートとルイドートに呼ばれた者が集まった。
即ち、神二柱とオーガニック、ラングレイ、ラングレイの他に生き残った王太子の護衛騎士五名、ハビット公爵家の騎士団長タローウとその部下五名、A級冒険者パーティ『ゴールデンボウル』五名、回復役の五名である。
ルイドートは、この二十五名の小隊に言った。
「さて、ここにいるメンバーには、ダンジョンに潜り、ダンジョンコアを破壊してきてもらいたい。必要な武器と食料、馬車は揃えている。他に質問はあるかね?」
全員予想していたのだろう。特に反発はない。
だが、ラングレイが手を上げた。
「それは構わない。ただ、これを小隊とするに、全体の指揮を執る者が必要だ。その指揮官は、誰になる?」
ルイドートは、クリソックス等を見て、ため息を吐いた。
「ふむ。実は危険な任務なので精鋭を揃えたのだが、正直神を指揮する者が思い浮かばなかったのだ。神は偉大で、縛られぬ存在。それを誰が指揮できようか?そこで、現場の君達で決めたらよかろうと思うのだ。どうだ?我こそはと思う者はいないか?」
ラングレイは、昨日の、『ニードルボアに串刺しになったまま楽しそうに走り回るクリソックス』を思い出し、ふるふると首を横に振った。
タローウは、昨日の、『見渡す限りに魔物の入った蠢く靴下が散らばる異常な光景』を思い出し、ふるふると首を横に振った。
A級冒険者パーティのメンバー達は、昨日の、『クリソックスがノリノリで歌う歌のリズムに合わせて、魔物達が靴下と臓物を撒き散らしながら破裂していく様』を思い出し、ふるふると首を横に振った。
「「「どうぞ、どうぞ、どうぞ!!」」」
全員が、指揮官を譲り合う事態となってしまった。
「ええー?仕方ないなあ。指揮官なんて経験ないけど、私がしようかー?」
クリソックスから恐怖の提案がなされた。
全員に、千切れるんじゃないかというほど、ぶんぶんと首を横に振られて、クリソックスは「ええー?なんで?!」と、仕方なしに引き下がる。
そこへドロンズが声を上げた。
「お主ら、指揮官経験があるからやってもいいという者がおるのだが、そやつにやらせてみてはどうかの?」
皆の目が輝いた。
「指揮官経験がある?ならば、何の問題もないな!」
「おお、その者は勇者か!?ぜひ、お願いしたい!」
「おっし、指揮官は決まったな!もう嫌だっつっても決まったからな!降りるの無しな!」
満場一致である。
ドロンズは、オーガニックの逞しい腕をペチペチと叩きながら、その顔を見上げて言った。
「これで決まりじゃな!頼むぞ、ニックよ」
「「「オーガニックかーーー!!!!」」」
人間達は、頭を抱えてシャウトした。
結局、誰も指揮官をやりたがらなかったのと、元オーガジェネラルで、経験豊富だということもあり、オーガニックが指揮官に就任した。
いや、クリソックスが副官としてニックの通訳に専念するのが、皆がオーガニックを指揮官に採用することにした最大の理由だったかもしれない。
まあ、そんなこんなで、靴下レオタードのルイドートに見送られながら、オーガニック率いる小隊は遺跡のダンジョンへと向かったのである。
時折襲い来るスタンピードの残党を始末しながらも、馬車を走らせて遺跡のダンジョンに着いた一行は、ダンジョン内に詳しいA級冒険者パーティ『ゴールデンボウル』に先導してもらいながら、一路最下層のダンジョンコアを目指した。
ダンジョンコアは、ほとんど溜め込んでいた魔素を吐き出したとはいえ、それでもダンジョン内には通常より多くの魔物がひしめきあっていた。
「渋谷かな?」
「花火大会かの?」
二柱それぞれの比喩が炸裂する。
「鍛練終わりの騎士団内のサウナだな」
「まさに。騎士団内のサウナよ」
騎士あるあるなのだろう。ラングレイとタローウががっちり握手する。
それにしても、ムキムキの男共がそんなにギッチリなのか、騎士団内のサウナ。
『ゴールデンボウル』の紅一点、妙齢のボインなお姉さん魔法士エリーナの眼がギラリと光ったような気がしたが、気のせいだろう。
「ガッガー!」
「『じゃあ、ドロンズ先生、お願いしまっす!』だって」
「ふむ」
ドロンズが無数の泥カッターで、序盤の雑魚魔物をスパスパしまくる。
あっという間に、死屍累々の凄惨な事件現場と化す一階フロア。
雑魚はできるだけドロンズが倒し、残りメンバーの体力を温存する作戦である。
一行は、どんどん進み、地下二階、三階へと降りていく。
そして、地下十階、最深部に着く頃には……。
「ガアッガッガアッ!」
「『ラングレイ分隊、しゃがめっ!エリーナの魔法が行くぞ!』」
「ガッ、ウガウガアッ!」
「『タローウ分隊は左手から押し込めっ!『ゴールデンボウル』は、押し込まれた魔物を挟撃せよ!』」
「ガアーーッ!!グガガッガアッガッ!」
「『何やっとるかあっ!!このオークの糞がっ!息を合わせねば、お前の命なんぞ、あっという間にオーク糞と化すぞ!』」
「ゴガッ、ガッガッウガアー」
「『よくやった、お前達。この戦いで、一段と成長したな』」
「ニック将軍、ありがとうございます!!」
「ニック将軍、自分、ニック将軍と戦えたことを誇りに思いますっ!」
「ニック将軍の教え、決して忘れません!」
「「「「「ニック将軍!!」」」」」
オーガニックは、将軍として有能すぎたようだ。
人間達は、ニックをリーダーとして認め、完全に忠誠を捧げてしまっている。
「ドロンズ……、私、なんだかニック将軍の副官としてここに立てることを誇りに思うよ……」
「お主まで、感化され過ぎじゃ」
ドロンズはクリソックスの頭に、スパンとツッコミを入れた。
さて、最深部のボス部屋でコアを守るミスリルゴーレムをなんとか倒したオーガニック小隊は、無事コアの部屋の入口と鍵をみつけ、中に入った。
そんなに大きな部屋ではない。
人が二十五人も入ると、少し窮屈になってしまうような部屋だ。
そして、中央に、ひと抱えほどある漆黒の球体が浮いている。
騎士達が、思わず声を洩らす。
「これが、ダンジョンコア……」
「初めて見たな……」
クリソックスがタローウに確認した。
「これを破壊するの?」
「そうです、神よ。ほら、ここ。少し亀裂が入っています。放置すれば、この亀裂が広がり、最後には……」
「爆発するんだったね」
クリソックスがタローウに答える。
『ゴールデンボウル』の一人が言った。
「それにしても、この遺跡ダンジョンが無くなるのは痛いなあ。ここ、難易度もそこそこで、鉱石資源や魔物資源、貴重なハーブなんかがけっこう豊富な、美味しいダンジョンだったんだよ」
ドロンズは聞いた。
「ならば修理すればよかろう?」
その言葉にエリーナが首を振った。
「ダメなのよ。ダンジョンコアは直せないの。直し方もわからないの」
「わかれば、修理するのか?」
「それは、もちろんよお!」
「ならば、できるか試してみよう」
そう言うと、ドロンズはおもむろに、コアに手を突っ込んだ。
「ドロンズ様、離れてっ!命ある者がコアに触れると、取り込まれてしまいます!!」
ラングレイが慌ててドロンズをコアから引き離そうとする。だが、そんなラングレイを、クリソックスは制止した。
「大丈夫だよ。命ないし」
ドロンズに突っ込まれたダンジョンコアは、一瞬激しく表面を波立たせた。
そうして、うねうねと形を変えていく。
段々と、形が丸くなってきた。表面は輝くばかりに磨かれ、ドロンズの姿が映るほどにピカピカの球になった。
まるで、真っ黒な泥団子だ。
ドロンズが、コアから手を抜き取り、振り返って言い放った。
「直ったぞ?」
「「「「「え、ええーーーー!!!?」」」」」
こうして、スタンピードは完全に終息したのである。
ダンジョンコアが溜め込んだ魔素を吐き出しきったのか、スタンピードはほとんど収束し、後はダンジョンコアを破壊するのみとなっていた。
これは、非常に幸運なことだ。
ダンジョンコアがそこまで大きいものではなく、思ったほど魔素を溜め込んでいなかったためだった。
また、強い魔物をクリソックスとドロンズが昼夜ほとんど休まず、大量に始末したため、他の兵士や冒険者達を大きく損なうことなく、効率的に多くの魔物を討伐することができたのも大きい。
本来、スタンピードが起きた場合、兵士や冒険者は強い魔物によって多くが死に、高ランクの魔物達に手こずって、収束するまでに五日以上はかかるものだ。
さらに魔物の数を減らすことに失敗した場合、町の城壁を突き破って、町の中を魔物に蹂躙された結果、多大な人的被害を出し、町が破棄されてしまった例もある。
つまり、二日目の朝にはスタンピードが収束するなど、異例のことであった。
だが、そこでめでたしめでたしというわけにはいかないのが、スタンピードである。
家に帰るまでが遠足であるように、スタンピードもダンジョンコアを破壊するまでがスタンピードなのだ。
魔素を溜め込み過ぎて歪みの発生したダンジョンコアは、放っておくとまた魔素を溜め込んで、スタンピードを発生させてしまう。
そんなことを繰り返してさらに歪みが大きくなると、魔素を溜め込んでもうまく吐き出せなくなり、最終的にコアは爆発する。
その時のエネルギーは凄まじく、町を巻き込んで半径1キロメートルが吹き飛んだ例もある。
だからこそ、スタンピード収束後は、速やかにダンジョンコアを破壊せしめることがセオリーなのだ。
二日目の朝の城壁の外側には、ルイドートとルイドートに呼ばれた者が集まった。
即ち、神二柱とオーガニック、ラングレイ、ラングレイの他に生き残った王太子の護衛騎士五名、ハビット公爵家の騎士団長タローウとその部下五名、A級冒険者パーティ『ゴールデンボウル』五名、回復役の五名である。
ルイドートは、この二十五名の小隊に言った。
「さて、ここにいるメンバーには、ダンジョンに潜り、ダンジョンコアを破壊してきてもらいたい。必要な武器と食料、馬車は揃えている。他に質問はあるかね?」
全員予想していたのだろう。特に反発はない。
だが、ラングレイが手を上げた。
「それは構わない。ただ、これを小隊とするに、全体の指揮を執る者が必要だ。その指揮官は、誰になる?」
ルイドートは、クリソックス等を見て、ため息を吐いた。
「ふむ。実は危険な任務なので精鋭を揃えたのだが、正直神を指揮する者が思い浮かばなかったのだ。神は偉大で、縛られぬ存在。それを誰が指揮できようか?そこで、現場の君達で決めたらよかろうと思うのだ。どうだ?我こそはと思う者はいないか?」
ラングレイは、昨日の、『ニードルボアに串刺しになったまま楽しそうに走り回るクリソックス』を思い出し、ふるふると首を横に振った。
タローウは、昨日の、『見渡す限りに魔物の入った蠢く靴下が散らばる異常な光景』を思い出し、ふるふると首を横に振った。
A級冒険者パーティのメンバー達は、昨日の、『クリソックスがノリノリで歌う歌のリズムに合わせて、魔物達が靴下と臓物を撒き散らしながら破裂していく様』を思い出し、ふるふると首を横に振った。
「「「どうぞ、どうぞ、どうぞ!!」」」
全員が、指揮官を譲り合う事態となってしまった。
「ええー?仕方ないなあ。指揮官なんて経験ないけど、私がしようかー?」
クリソックスから恐怖の提案がなされた。
全員に、千切れるんじゃないかというほど、ぶんぶんと首を横に振られて、クリソックスは「ええー?なんで?!」と、仕方なしに引き下がる。
そこへドロンズが声を上げた。
「お主ら、指揮官経験があるからやってもいいという者がおるのだが、そやつにやらせてみてはどうかの?」
皆の目が輝いた。
「指揮官経験がある?ならば、何の問題もないな!」
「おお、その者は勇者か!?ぜひ、お願いしたい!」
「おっし、指揮官は決まったな!もう嫌だっつっても決まったからな!降りるの無しな!」
満場一致である。
ドロンズは、オーガニックの逞しい腕をペチペチと叩きながら、その顔を見上げて言った。
「これで決まりじゃな!頼むぞ、ニックよ」
「「「オーガニックかーーー!!!!」」」
人間達は、頭を抱えてシャウトした。
結局、誰も指揮官をやりたがらなかったのと、元オーガジェネラルで、経験豊富だということもあり、オーガニックが指揮官に就任した。
いや、クリソックスが副官としてニックの通訳に専念するのが、皆がオーガニックを指揮官に採用することにした最大の理由だったかもしれない。
まあ、そんなこんなで、靴下レオタードのルイドートに見送られながら、オーガニック率いる小隊は遺跡のダンジョンへと向かったのである。
時折襲い来るスタンピードの残党を始末しながらも、馬車を走らせて遺跡のダンジョンに着いた一行は、ダンジョン内に詳しいA級冒険者パーティ『ゴールデンボウル』に先導してもらいながら、一路最下層のダンジョンコアを目指した。
ダンジョンコアは、ほとんど溜め込んでいた魔素を吐き出したとはいえ、それでもダンジョン内には通常より多くの魔物がひしめきあっていた。
「渋谷かな?」
「花火大会かの?」
二柱それぞれの比喩が炸裂する。
「鍛練終わりの騎士団内のサウナだな」
「まさに。騎士団内のサウナよ」
騎士あるあるなのだろう。ラングレイとタローウががっちり握手する。
それにしても、ムキムキの男共がそんなにギッチリなのか、騎士団内のサウナ。
『ゴールデンボウル』の紅一点、妙齢のボインなお姉さん魔法士エリーナの眼がギラリと光ったような気がしたが、気のせいだろう。
「ガッガー!」
「『じゃあ、ドロンズ先生、お願いしまっす!』だって」
「ふむ」
ドロンズが無数の泥カッターで、序盤の雑魚魔物をスパスパしまくる。
あっという間に、死屍累々の凄惨な事件現場と化す一階フロア。
雑魚はできるだけドロンズが倒し、残りメンバーの体力を温存する作戦である。
一行は、どんどん進み、地下二階、三階へと降りていく。
そして、地下十階、最深部に着く頃には……。
「ガアッガッガアッ!」
「『ラングレイ分隊、しゃがめっ!エリーナの魔法が行くぞ!』」
「ガッ、ウガウガアッ!」
「『タローウ分隊は左手から押し込めっ!『ゴールデンボウル』は、押し込まれた魔物を挟撃せよ!』」
「ガアーーッ!!グガガッガアッガッ!」
「『何やっとるかあっ!!このオークの糞がっ!息を合わせねば、お前の命なんぞ、あっという間にオーク糞と化すぞ!』」
「ゴガッ、ガッガッウガアー」
「『よくやった、お前達。この戦いで、一段と成長したな』」
「ニック将軍、ありがとうございます!!」
「ニック将軍、自分、ニック将軍と戦えたことを誇りに思いますっ!」
「ニック将軍の教え、決して忘れません!」
「「「「「ニック将軍!!」」」」」
オーガニックは、将軍として有能すぎたようだ。
人間達は、ニックをリーダーとして認め、完全に忠誠を捧げてしまっている。
「ドロンズ……、私、なんだかニック将軍の副官としてここに立てることを誇りに思うよ……」
「お主まで、感化され過ぎじゃ」
ドロンズはクリソックスの頭に、スパンとツッコミを入れた。
さて、最深部のボス部屋でコアを守るミスリルゴーレムをなんとか倒したオーガニック小隊は、無事コアの部屋の入口と鍵をみつけ、中に入った。
そんなに大きな部屋ではない。
人が二十五人も入ると、少し窮屈になってしまうような部屋だ。
そして、中央に、ひと抱えほどある漆黒の球体が浮いている。
騎士達が、思わず声を洩らす。
「これが、ダンジョンコア……」
「初めて見たな……」
クリソックスがタローウに確認した。
「これを破壊するの?」
「そうです、神よ。ほら、ここ。少し亀裂が入っています。放置すれば、この亀裂が広がり、最後には……」
「爆発するんだったね」
クリソックスがタローウに答える。
『ゴールデンボウル』の一人が言った。
「それにしても、この遺跡ダンジョンが無くなるのは痛いなあ。ここ、難易度もそこそこで、鉱石資源や魔物資源、貴重なハーブなんかがけっこう豊富な、美味しいダンジョンだったんだよ」
ドロンズは聞いた。
「ならば修理すればよかろう?」
その言葉にエリーナが首を振った。
「ダメなのよ。ダンジョンコアは直せないの。直し方もわからないの」
「わかれば、修理するのか?」
「それは、もちろんよお!」
「ならば、できるか試してみよう」
そう言うと、ドロンズはおもむろに、コアに手を突っ込んだ。
「ドロンズ様、離れてっ!命ある者がコアに触れると、取り込まれてしまいます!!」
ラングレイが慌ててドロンズをコアから引き離そうとする。だが、そんなラングレイを、クリソックスは制止した。
「大丈夫だよ。命ないし」
ドロンズに突っ込まれたダンジョンコアは、一瞬激しく表面を波立たせた。
そうして、うねうねと形を変えていく。
段々と、形が丸くなってきた。表面は輝くばかりに磨かれ、ドロンズの姿が映るほどにピカピカの球になった。
まるで、真っ黒な泥団子だ。
ドロンズが、コアから手を抜き取り、振り返って言い放った。
「直ったぞ?」
「「「「「え、ええーーーー!!!?」」」」」
こうして、スタンピードは完全に終息したのである。
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本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
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---------------
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