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お兄ちゃん 第2話
しおりを挟む早く寝たからか、朝日が差し込んでくると自然と目が覚めた。ウトウトと横を見てみると、桜谷さんと藤堂さんも静かに横になっている。
二人のおかげで、安心して寝ることができた……二人が起きられたら、お礼をしなきゃな……と考えていると、また瞼が落ちてきて私は二度目の眠りについた。
次に目覚めたときには、すでに桜谷さんと藤堂さんは起きていた。二人とも着替え終わっており、長い髪の毛もしっかり整え、後頭部で結ばれている。
「お、おはようございます!」
私は、寝過ごしてしまったのかと、急いで起き、挨拶をする。
「お、桃子ちゃん。おはようさん。よう寝とったで。」
「す、すみません……寝坊しちゃいましたか?」
「いいや、俺たちが早起き過ぎるだけだ。仕事柄、睡眠は浅い方でな。」
そうなのか、気が休まらない仕事なのだろう、大変だなぁ。
「あの、お二人とも、本当にありがとうございました。おかげで安心して寝ることが出来ました。」
「気にするな、よく寝られたなら良かった。」
「むしろ、俺は毎日でもええくらいや!桃子ちゃんの可愛い寝顔が拝めるからのぅ。」
そんなに優しくされると、また甘えたくなっちゃいます。こんな優しくてかっこいいお兄様が一気に二人もできてなんて幸せな気分。
朝食前に、着替えを済ませたかったので、私は一度自室へ戻り、身だしなみを整えた。
準備を終え、食堂へ向かうと母屋の中は慌ただしかった。
「おいっ!堺で辻斬りが出たぞ!他の隊士たちにも伝えろ!」
隊士さんがドタバタと廊下を駆け抜けていく。
どうやら町で辻斬りが出たようで、隊士が緊急招集されているらしい。
辻斬りなんて、やっぱり現代より物騒な世界なんだな……隊士の人が怪我とかしちゃったらどうしよう。そんなことが頭を過ぎりどんどん不安になってくる。
「桜谷隊長が先陣を切って行っているらしい!九番隊隊士は後に続け!」
さ、桜谷さんが?強そうな桜谷さんに限ってないと思うけど……、万が一のことを考えてしまう。
私は、食堂につき、食事を目の前にしたが、心の中は不安でいっぱいで、美味しいはずのご飯は、あまり喉を通らなかった。
私は、食事を続ける気分にはなれなかったので、足早に自室へ戻った。しかし、何も手につかず、ソワソワしたまま部屋の中を歩き回っていた。
そんな時、ある人が私の部屋の前で止まった。
「桃子、いるか?」
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