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女中見習い 第1話

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数日後、私は、ここでの生活に少し慣れてきたので、女中の見習いとしての仕事を少し教えて貰うことにした。私は、頂いていた女中用の着物に袖を通した。

最初のうちは、桜谷さんや神楽さんが着付けを教えてくれたり、直してくれたりしていたが、毎日着ていることもあり、今ではかなりうまく着付けることができるようになった。

「じゃあ、まずは炊事場のお手伝いから始めて貰おうかな。やっぱり一番人手が必要なのよね。」

「うん!お願いします!」

私は炊事場に向かう花ちゃんの後ろを追った。



炊事場に近づくといつも女中さんのにぎやかな声が聞こえるはずだが、それがなく、なんとなく違和感を覚える。まさかまた桜谷さんあたりが隊士を叱ってたりして……。



しかし、その予想は見事に外れた。


「あ!キミ!桃子ちゃんでしょ!初めましてー。桜谷さんから、噂は聞いてたよ。」

スラっと背が高い男性が何故か炊事場の中で立っており、その上私に突然声をかけてきた。あきらかに炊事係でなく、服装からして……隊長さんだろうか……。

「つ、対馬隊長!またいらしてたんですね……この方は、四番隊の隊長の対馬小太郎さん。たまに炊事場に来て、お料理の手伝いをしてくださってるの。」

「やっぱり隊長さんなんですね、よろしくお願いします。」

隊長さんなのにわざわざ炊事場に?いい人なのか?なんか少し変わっているのかも。隊長さんの隊服を着ているが、耳と指には大量のアクセサリーをつけており、現代でいうサブカル系な見た目だ。

顔は正統派の俳優のように整っているため、一見アンバランスな格好もなんとなく様になってしまっている。話し方もかなり飄々としており、正直変わっている人というのが第一印象であった。

その上なんとなく、この炊事場にも緊張感がある気がする。そりゃあ、隊長さんがいるとやり辛さはあるか……。

「そ!……なんかアンタさぁ……あの桜谷さんに相当気に入られてるってカンジだよね?……どんな手使ったの?」

対馬隊長は大きな身体を折り曲げ、私の顔を覗き込んでくる。

「そ、そんな、私は何もしてないです!」

なんだ、この人!初対面で失礼な人だな。私が不貞行為で気に入られてるとでも思ってるのか、言い方にかなり棘を感じた。よく知らない私はともかくとして、桜谷さんのことも侮辱するつもりなのだろうか。たしかに顔はカッコいいけど、桜谷さんや神楽さんの方が、私はタイプだな。

「それに、桜谷さんは私程度が何をしたって、上手く丸め込まれるような人じゃないです!」

はっきり言ってやったぞ。隊長相手だけど……。もうどうにでもなれ!
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