スーパーシティ ～放置国家～

第十二章

第一話 貧困ビジネス

　米穀連合会の生き残りが阿呆教に資金提供してそれを利用し、

イケシャアシャアと自警団を標榜、挙句の果てにはスラムの更に

行き詰った弱者を救うと綺麗事をほざきながらも、彼らに食料

や宿泊施設を提供する反面、高利貸しや強制労働の派遣に従事

させる貧困ビジネスを展開している事が分かった。


　「先ずはそういう人間のクズ共を何とかしなければ、世直し

なんぞ成し得無ェ」、、オヤジは憤った。「ああ、それに米穀は

元々政府とズブズブだ、阿呆教を通じて各地の自警団の動きを

探るスパイの役割も果たしてるだろう」、、そう言いながら車輪

も銃にガチャリと弾倉を入れた。


　翌日、車輪とオヤジは米穀連合会の残党が乗っ取った自警団の

町に変装して出掛けた。自警団の詰所は元々地元青年団の倉庫

だったものだが、その向かいのビルには汚いネットカフェや派遣

会社、消費者金融が入っており実に分かりやすい。少し離れた所

の裏通りのビルには風俗店や闇医者らしきものもあった。


　車輪が言う。「俺は散々人が殺し合う戦場を渡り歩いたが、街中

のこういう闇の方がよっぽど空気が澱んで見えるぜ、禍々しいとは

こんな場所の事を言うんだな」、、「生活困窮者は散々搾り取られ

最後はヤク漬けになったり売り飛ばされたり臓器を持ってかれるん

だ、そういう負の空気が漂ってるな」、、オヤジも溜息を吐いた。


　軽トラでウロつきながら探りを入れる2人。すると５０m程先の

古びたマンションからガラの悪い男が数人出て来るのが見えた。

顔中に入れ墨を入れたモヒカンを中心にチンピラ3人。「あれが

毒山ファミリーの狂助か」、、真阿呆教によると、米穀の中核組織

である毒山ファミリーがこの貧困ビジネスを仕切っているという。