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第十二章

第九話 居場所

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 闇医者と乗り込んできたチンピラ軍団を一掃した車輪は表に出た。

オヤジの乗る軽トラに戻ろうとするとオヤジが叫ぶ。「コイツが兇児

だっ!」、、見るとオヤジから少し離れた場所で、ガッシリ体系の

金髪モヒカンが銃をオヤジに突きつけていた。「米穀相手にオメェら

自分が何してんのか解ってんのかっ!」、、


 車輪も返す。「何してるって、弱い者を救うと見せかけて搾り取る

自称更生した暴力集団達を葬ってる所だろうが」、、兇児はニヤリと

して、「オメェらなんか勘違いしてんな、正義のヒーロー気取りか」、、

車輪も銃を突きつけながら兇児に近付く。「手下も全滅したのに何

1人で粋がってるんだ?お前達の脅威は所詮集団で個人では無い」、、


 パアンッ、、車輪はいきなり兇児の胸を撃った。「悪いが一々クズ

とおしゃべりしてる時間は無ェし意義も無ェ、まあ一人になっても

逃げなかったのは感心してやる」、、兇児も虫の息で答えた。「逃げ

るだと?俺らは逃げたって行き場なんて無ェよ」、、「そうだったな、

あばよ」、、車輪は躊躇なくもう一発撃った。


 「一先ずは終わったな、あとはボスだ」、、そう言いながらオヤジは

軽トラを降りた。周囲は乗っ取られた自警団員の他に、仕事から戻った

搾取されていた生活困窮者や、これから出勤する風俗嬢などで数十人程

溢れていた。「取り敢えずクズ共は殲滅した。このまま米穀も片付ける。

アンタらはもう自由だ」、、車輪が言うと、思わぬ答えが返ってきた。


 「俺達に元々自由なんて無ェよっ!毒山が居なくなったら誰が俺達に

飯や寝床を用意してくれんだ!?」、、「そうだそうだ!最初から俺ら

はココしか居場所が無かったんだ!」、、口々に非難される車輪は「そう

かもしれないが、結局は自分で這い上がれるか落ちるかだ、居場所が無い

なら自分で作るのが人間だ」、、そう言ってオヤジと軽トラで去った。





 
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