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最終章

第六話 鎮圧部隊

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 意見の対立を巡って車輪と群衆は睨み合った。「車輪サンよ、アンタ

そうやって銃を出してるが見ろよ、この辺りだけでも数万の人で溢れて

るんだ、アンタ1人がどうにも出来るもんじゃねェ」、、「それでも

やる。俺は信念は変えない」、、車輪の闘気にその周辺に居る数十人は

たじろいだ。その時、「鎮圧部隊が来たぞーっ」、、と誰かが叫んだ。


 空を見ると数機のヘリが地上へライトを照らし、特殊警察の装甲車や

自衛隊のトラックも数台やってきた。だが明らかに少ない。この日本の

中心となる元23区のスーパーシティには関東一円から少なくとも数百万

の群衆が押し寄せ、更に益々増え続けていると言うのに、この程度の

部隊が出動してどうなるものでは無いはずだ。

 
 だが大きな地震の後の超大型台風の直撃で、停電やネットの遮断が

相次ぎ機能を失ったのは、スーパーシティだけでなく自衛隊や警察機関

も全く同じだった。その上、自衛隊内部でも被災したスーパーシティか、

同じく被災したスラムのどちらを救助すべきかで意見が割れ、そうこう

してる間に今回の暴動となり、一部が群衆の鎮圧に乗り出したのだった。


 トラックや装甲車から隊員が次々降りて来ては機関銃を構える。しかし

群衆の勢いは全く止まらないのは過去何十年、税金製造機にされてきた

怒りの大きさと言える。日本人は基本的に大人しくお上には従う性質だが、

我慢に我慢を重ねて一度爆発すればどの民族よりも怖いのは、昭和48年に

起きた国鉄職員のストライキに端を発する、ラッシュ時のサラリーマン


 等の乗客が怒りを爆発させた上尾事件や首都圏国電暴動で明らかだ。

暴徒と化した国民に自衛隊は銃を向けるか否か、こうなると車輪は群衆

の側に付き、元同僚の自衛隊と対決するしか無い。すると空からキーン

という音がしたと思ったら、何かが複数飛んでいる。良く見るとミサイル

の様で、気が付けば空一面を数十本ものミサイルが飛んで来るのだった。
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