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最終章

第五話 暴徒

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 車輪はついに竹内平助を地獄に葬った。いや、あまりにも悲惨過ぎ

るが故に、途中で助けてやろうと言う心が一瞬よぎったのも事実だ。

しかしそもそも脳や身体を頑丈なカプセルに保存し、アッチの世界へ

戦争や災害から避難出来るシステムに、スラム出身の一個人がどう

抗っても元の世界へ戻す事など到底不可能だ。


 竹内の屍を後に外に出ると、もう群衆がこんな所まで到達していた。

「アンタ、もしかして車輪サンか?」、、群衆の1人が車輪に声を掛け、

その周りの群衆も数十人程立ち止まる。「ああそうだ、たった今この

ピラミッドの中で竹内平助を討ち取って来た。いや、討ったと言うより

地獄に葬ってきた」、、「何だと!?竹内を??」、、


 「やった!やったぞーっ!!」、、車輪の報せに群衆は歓喜した。

「よし、この辺りのピラミッドはスーパーシティの中でも権力者共の

居住エリアだ、片っ端からぶち壊して全員叩っ殺せ!」、、「やめろっ

それをしたらフランス革命と同じだ!」、、群衆を否定する車輪に

周囲は驚いた。「な、何故だ?フランス革命と言えば横暴な権力から


 民衆が権利を勝ち取った象徴じゃないか!?」、、「そうだそうだ、

俺達だって全員高校までは出てるんだ、それ位は知ってるぞ!」、、

「車輪サンよ、アンタこそバカ強いかもしれねェが歴史なんぞ知らねェ

だろう?」、、責め立てる群衆に車輪は返す。「俺は自慢じゃないが

ムダキッズだった。その辺の大卒にも負けない学力保持者だ」、、


 「ム、ムダキッズか、そりゃ確かに学はあるかもな」、、「その通り、

教科書丸暗記しか知らない者には分からんだろうが、フランス革命は

その裏では王族に対しての妬みやっかみで子どもにまで酷い虐待、拷問

の末死なせている。そんなものは民衆の勝ちでは無く単に嫉妬に狂った

醜い暴徒だ。俺は絶対に認めない」、、車輪は銃の安全装置を外した。
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