臆病なピアニストに捧げる愛のうた

野中にんぎょ

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ことりのラブソング(上)

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『ご存じの方も多いと思いますが、紹介します。僕の元相棒、藤巻譲二です』
 会場が波打つように沸き立つ。
 きちりとしたスーツ姿の漣とは対照的に、ステージ上の譲司は、軽く腕を捲った白シャツに黒のジレ、スラックス、革靴というリラックス感のある出で立ちだった。
 世良は全身を緊張させ、食い入るように譲司を見つめた。じわじわと頬が熱くなっていく。彼の姿を見止めただけで、心臓が張り裂けそうに高鳴った。
 ああ、僕、とんでもないことをしてしまった。
 あなたに捧げられるものなんて、見合うものなんて、僕は持っていないのに、あなたを一目見られるんじゃないかと浅ましい期待を抱いて、こんなところまで……。
 胸の内で尻込みしているうちに、マイクを握った譲司が面を上げた。
「……っつ!」
 バチリ、と、目と目が合った瞬間に、あの夜の雷が脳裏で弾けて、思考を奪われた。
 ドッドッドッドッ……。心臓が深く脈打つほどに息苦しくなっていく。
 僕の勘違いだ、目なんて合ってない、譲司さんは二階席を見上げただけで……。分かっているのに、あの猛禽類の瞳がこちらを射抜いている気がして、世良は唇を喰い締めた。
『本日は、お足元の悪い中、神野漣のコンサートに足を運んでいただき、ありがとうございます。……どうぞ、寛いでお楽しみください』
 愛嬌たっぷりの漣とは真逆のかたい挨拶に、聴衆はひと時和んだ。が、漣が袖に入り譲司がピアノの前に座ると、会場の空気がキュッと束ねられた。
 静寂を楽しむように、譲司はゆったりと構えた。
 あ、同じ……。
 真っ直ぐな背筋に、リラックスした手足。
 すぅちゃんと僕の前にいた、譲司さんと同じ……。
「は……、」
 世良は譲司の作る世界に塵一つ入れまいと、注意深く息を吐いた。
 ふっ、と、譲司の息が聞こえた気がした。
 その指先から編まれたのは、初夏の小雨の庭で、直が「ことりのおしゃべり」と表した、全てのはじまりの……。
『モーツァルト‐ピアノソナタk.545 ハ長調』
 小鳥のおしゃべりと、軽やかなじゃれ合い。右手と左手が会話するように音を紡ぐ。
 シンプルだけれど、音のきらめき、その一つ一つが眩い。
 世良の足元にエゴノキの木陰が揺れる。あの日、アイビーとシダに覆われた洋館は小雨に濡れ、チラチラと輝いていた。
 胸の奥から熱いものがこみ上げる。けれどその激情は曲を聴くうちに収まり、余韻だけが温かく心に残った。
「とうめいな音」
 直の呟いた通りだ。
 この人のピアノは、雨のしずく。無色透明で形のよい、粒のそろった、天からの恵み。そのしずくははるか昔に編まれた型の中へ行儀よく収まり、過去のきらめきを現代へ送る。
 休むことなく、譲司のピアノは続く。
『ショパン‐エチュード 木枯らし』
 一曲目とは対照的に、ドラマチックで冴え冴えとした音が響き渡る。
 木の葉が北風に舞う、その情景が、精緻かつダイナミックな表現によってはっきりと頭に浮かぶ。
 雷の夜、世良の濡れた肌に譲司のシャツが張り付いた。もうずっと、鳴っていて。世良が雷にそんな願いを抱くのは、あれが最初で最後だろう。
『モーツァルト‐きらきら星変奏曲』
『リスト‐超絶技巧練習曲より第四曲 マゼッパ』
『ショパン‐子犬のワルツ』
 取り留めもないセットリストを不安に思っている者は誰一人としていない。きっと一人残らず思っている。どうか終わらないで。いつまでも、この音に抱かれていたい。
『ベートーヴェン‐エリーゼのために』
 曲が始まった瞬間にそれだと分かったのだろう、直は背筋をピンと伸ばし、椅子に浅く座り直した。
「『エリーゼのために』って、こんな曲だったんだね」
 曲が終わると、直は「レン君が怒るわけだ」と言って苦く笑い、遠い目をした。あなたの旅路はまだはじまったばかりなんだよ。その言葉を飲み込み、世良は「すぅちゃんにもできるよ。だって半分はできてるもの」と言って直の右手を人差し指でつついた。
『リスト‐愛の夢 第三番』
 あなたがいなくなってから、ずいぶんとこの曲を探した。「愛」と題された曲をあなたが弾くはずない、なんて思っていたから、余計に時間がかかった。面はポーカーフェイスなのに、指先はやけに情熱的だから、僕はその差に眩暈がしそうになる。
 この曲を見つけて、他のピアニストのものをいくつも聴いたけど、どれも別の曲に聴こえた。僕は、あなたにグルメにされてしまって、他の音ではだめみたい。
 わがままな僕を知っているなら、どうか叱らないで。
 一生愛し合うなら、あなたがいい。
 身も心も一つになれるなら、あなたがいい。
「譲司さん」
 世良は胸の中で彼を呼んだ。
 それに応えるように、『gifted』の最後の曲がはじまる。
 ああ、まるで朝露を蜘蛛の糸で編んだような、この世界にはじめからあったものでできた、まっさらな音。あなたの音は曲によって温度を変えるけれど、この曲に抱かれると温かい。
 あなたがこの曲で愛を乞うた理由が、今の僕にはよく分かる。
 ピアニストになれたと思えた日、あなたは、ピアノの師だったおじいちゃんと、やっと家族に戻れるって思ったんだよね。ただ、愛して、褒めてほしかったんだよね。
 でもね、あなたはずっと愛されていたんだよ。
 あなたがこの子を教えている様子を見たら、誰にだって分かる。おじいちゃんは、あなたの音楽を、あなたを、心から愛していた。……だから、あなたを手放したんだよ。強く遠くまで羽ばたいてほしいから、ここからは自分の音楽を探す旅が始まるから……。
 音の余韻が飽和し、譲司が立ち上がる。
 土砂降りのような拍手が譲司一人へ注がれ、会場は震えたようになった。
 拍手はなかなか鳴り止まず、休憩のアナウンスはかき消され、譲司が袖にはけても続いた。世良も、二つの手のひらが熱を持っても拍手し続けた。
 ふと、直が世良の腕を引っ張り、「ママ、よく聞いて」と世良の耳元で囁いた。
「ドリンクコーナーは分かる?そのそばに、スロープがあるよね?急いでそこへ行って」
 世良が直を見つめると、彼女は「だいじょうぶ」と言って世良の胸をポンと叩いた。
「王さまがすぅをおむかえに来てくれるから。大丈夫だから、はやく行って」
 今度こそ背を押すようにされ、世良は直を振り返りながら大ホールを出た。階段を下りロビーへ出て、スロープの辺りを見渡していると、背後に誰かが立つ気配がした。
「あ、」
 腕を掴まれ、振り向きざま、世良は予感した。
 あの肩に頬をすり寄せた時の匂いが鼻孔の奥に蘇って、視界がたちまち緩む。
 目の前の彼はそんな世良を見て、困ったように微笑んだ。
「君は泣き虫だな」
 その言葉に、身も心もほどける。
「じょうじさん」
 世良は目の前の彼の名を呼び、譲司は世良の手を取り「こっち」と世良を導いた。
 バックステージには楽屋がずらりと並んでいた。二人は「A」と札の出た部屋へ駆け込むと、面と面を近づけて互いの瞳に映るものを確かめた。
「譲司さんごめんなさい。我慢できずに、こんなところまで来てしまって」
 強い眼差しに耐えられず許しを請うと、譲司は懐かしいものを見るように目を細めた。
「ほら、また先走る。私は我慢しろなんて言ってない。……君はいつになったら私に歩調を合わせてくれるんだ」
 呆れたように言われ、けれど眼差しは優しくて、世良は譲司の肩を揺すった。
「僕、ぼく、」
 ずっと求めていた眼差しに抱かれて、世良は何も言えなくなった。
伝えたいことがあるのに、あんなことを言いたいわけじゃないのに。ひどく焦れて、唇が空気を食む。譲司はそんな世良を見つめ淡い溜息を吐いた。
「そんなに慌てなくていい。君は本当にせっかちだな。……ここまで来るのが、そんなに怖かった?」
 背中で譲司の腕が交差して、そのまま、落ちるように広い胸へ抱かれる。頭を撫でられると、鼓動がゆっくりとペースを緩め、固くなっていた身体が譲司の身体に馴染んでいった。
「こんなところ、初めて来ました」
 やっと口にできた言葉がそれだったからか、譲司は「ふ」と笑みをこぼした。
 行ったことのない遠い場所に、あなたのいる場所に、こんなにもあっという間に来てしまえるなんて、知ってはいても、思ってもみなかった。来てみてはじめて気付いた。もうずっと、こうしたかったことに。
「小説。書けたんです。譲司さん、僕、書けた。あなたの言う通り……」
「そうか」
「賞に出そうと思っていて。ずっと、書けないって思ってたのに、今はそんなことを考えていて、僕は、」
 けほ、と咳き込むと、譲司は背中をゆっくりと撫でてくれた。
 溢れる。とめどなく。あなたの手に触れられて、あなたの瞳に見つめられて、なにもかも。
「あなたは僕に、魔法をかけた」
「……魔法?」
「でなければ、どう説明するんです、こんなこと。さっきまでの僕にできなかったことが、次の瞬間にはできていて……。あなたに出会わなかったら僕、どうなっていたんだろうって……、」
 生まれ変わったような気がするんです、あなたといると。
 胸に顔を埋めながらそう続けると、譲司は先ほどと同じ優しい声で、「そうか」と言った。
「まるで子ウサギみたいに鼓動が早いな」
 忙しなく脈打つ心臓を揶揄われ、世良は譲司の腕の中で顔を背けた。すると譲司の胸に耳を押し当てたようになって、彼の鼓動が聞こえてきた。
「あ……」
 トッ、トッ、トッ、トッ……。
 今まさに未来に向かって紡がれているこの音が、はっきりと愛しい。どんな場所よりも、ここが安心する。もとの自分に帰って来られる。
「どうした?急に静かになって」
「……子ウサギは、二匹だったんだなって」
 顔を背けたまま可愛くないことを言えば、譲司は指先で世良の頬を擽り、顔を上げさせた。
「ウサギは寂しいと死ぬ、というのは本当だろうか」
「そんなの迷信です。寂しいと死ぬなんて、そんなこと」
「私は、死んでしまいそうに寂しかったけどね」
 その呟きは、悲しげに曇っていて。世良は思わず譲司のシャツの胸元を握りしめた。
「君に、さよならもありがとうもいらないと言われた時、寂しかったよ。こんな寂しさがこの世にあるんだって、私は生まれて初めて知った」
 彼の心に傷がついて、東京に戻っても、その傷の疼きが僕に結びついてくれるといい。あの時の世良には、そういう下心が確かにあった。
 自分の心を宥めるために、彼の心を傷付けてしまった。世良は譲司の両頬を両手で包み、揺れる瞳を覗き込んだ。
「僕も、生まれて初めてです。……こんなにも駆け足で誰かを想うようになったのも、こんな場所まで来てしまうほど夢中になったのも、頑固な強がりが会いたいって気持ちに負けたことも」
 今度傷つくのは、僕の方かもしれない。
 世良は予感し、けれどその不安を気丈に一蹴した。
 それでも構わない。
 あなたになら、傷つけられてもいい。
「僕、あなたが好き」
 あなたを求め囀ることは、僕に羽ばたくことを思い出させてくれた。
 あなたの帰る場所には、僕がいたい。僕の帰る場所には、あなたにいてほしい。
 僕はあなたを愛してる。
 どうか……。
「……でも、私とは、来ないんだろう」
 譲司は、面に差す影を深めてそう言った。
「行けない。あそこには、僕の家や仕事や、やらなきゃならないことがある。あの場所を離れようとは思わない」
 はりぼての安寧は、間違っても差し出したくない。刃の切っ先で彼の寂しさを拭うなんてできない。
 譲司は黙り込み、視線を伏せたまま、絞り出すように「全てを、」と言った。
「全てを捨てて私の元へ行ってしまいたいと、そう考えたことはある?」
 言い終えると、譲司は自分を恥じるように世良から顔を背け、瞳を歪めた。
「……ない。今の僕が抱えているものは全て、僕が望んだもの。捨て置くことはできない」
「ふ。君、ふわふわしているように見えて、リアリストだものな」
 譲司は笑ったけれど、その笑みから彼の心が傷付いたことが感じられ、世良は譲司の横顔を見つめた。
 ほんとうなら、あなたの寂しさにいつでも応えられる誰かの方がいいんだろう。
 あなたは、自身の抱えた寂しさを、そうすることで癒したいんだろう。
 でも、僕は……。
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