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再会 2
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話を聞いた当日はショックだったけど、冷静になってみると、逆に腹立たしく思えてきた。
なんでそんなことを言われなきゃならないんだろう。それならば一層のこと、先輩が目を惹くようなスレンダーボディになって、あちらが声をかけてきたらこっぴどく振ってやればいい。
そんな考えがひらめくと、早速それを実行に移したいと思った。でも、ダイエットってどうやればいいんだろう。
食事制限は、リバウンドで逆に太りやすくなると周りのみんなに口を揃えて言われたので、私はダイエットについて色々と調べ始めた。それに従って早速ダイエットを開始すると、面白いくらい順調に体重が落ちた。
それこそ、適度な運動と食事を気をつけるだけで、一か月で二キロは落ちていく。
調子に乗って運動量を増やして食事の量も少しずつ減らしたたところ、空腹から身体がふらついてバランスを崩し、転んだ拍子に右足を骨折してしまったのだ。
絶対安静で二か月。
病院のベッドの上で過ごす羽目になってしまった上に、入院中の病院食が口に合わなかったせいで、せっかくついた筋肉も衰えてしまい、退院する時には更に体重が減っていた。
数字だけ見たら私が当初目標に掲げていた理想の体重だったけれど、胸が垂れるわお腹の皮がたるんでいるわで、なんだかバランスが悪い。
今日はギプスが取れてちょうど二週間、きっと私史上、一番スリムな時だ。そんな姿を見られたものだから、高橋くんが心配するのは当たり前のことだった。
「本当に無理してないんだな? なら、これからは毎日俺の作るスイーツ食べれるな?」
その言葉に、私は即座に反応する。
食いしん坊な性格は、ダイエットが成功してもそう簡単には変わらない。
「え、なにそれ最高じゃん。有名パティシエの作るスイーツは、開店してすぐ売り切れるほどの人気があるって聞いてるよ」
高校を卒業してから、高橋くんは洋菓子の専門学校に進学し、大手ホテルが経営する有名パティスリーで働いていた。とあるテレビ番組でお店の取材を受けた際、イケメンパティシエと紹介されてから、高橋くんは有名人となり、高橋くん目当てのお客さんが激増したと耳にした。
もちろん、高橋くんの作るスイーツも評判が良く、お店でも一、二位を争う人気の商品だった。
そんな中、高橋くんはパティスリーを退職し、三か月前に独立開業した。それが「パティスリー VERDE」だ。
お店がオープンしてから、高橋くんのファンがSNSでお店を紹介した投稿がみるみるうちに拡散され、VERDEは瞬く間に大繁盛だ。
「ありがたいことに、お客さんが宣伝してくれるからな。それよりも、お前ちょっと痩せすぎて、見た目がなんか気持ち悪いんだよ。他の人はどう思うか知らないけど、俺は学生時代のスイがいい。だからあの頃の体型に戻れ」
酷い言われように私は内心ムッとするも、高橋くんが本気で心配してくれていることは伝わった。
「見た目のことは、ちょっとワケありで、体型を絞ってる最中だから、計画が成功するまでは言わないでよ。でも、昔みたいに本当に毎日スイーツ食べさせてくれるの?」
「ワケあり? ちょっとそれ、場合によっては協力してやるけど、とにかく今のダイエットは止めろ。細すぎて折れそうで、見てられない。そのかわり、スイーツは毎日食わせてやる。約束する」
高橋くんは、私の言葉に怪訝な顔を見せるものの、私のスイーツへの食い付きに、大きく頷いた。
「本当? やったぁ! 高橋くんのスイーツ、高校の頃ほぼ毎日食べさせて貰ってたから、舌が肥えて大変だったんだよ。あの頃よりも腕が上がってるでしょうから、私、期待しかないんだけど」
「おう、任せとけ。スイの仕事は平日? 仕事終わりに連絡くれたらスイーツすぐに食べられるように用意しとくから、連絡先交換しようぜ」
こうして二人はそれぞれスマホを取り出すと、連絡先を交換した。私のSNSアイコンは、飼い犬のチワワ、高橋くんのアイコンは、意外なことに緑色の羽根を持つ鳥──カワセミだった。
「なんか意外。てっきり自分が作るスイーツをアイコンにしてるものだと思ってた」
交換した連絡先を登録すると、徐ろに私が感想を口にした。すると高橋くんはニヤリと口角を上げる。
「スイーツにしたら俺だってバレバレだろ? それに、よく見れば鳥もつぶらな瞳がかわいいぞ」
雑談をしながら披露宴会場に到着し、受付を済ませると、二人の座席は離れていたので、ゆっくり話ができたのはこの時だけだった。
なんでそんなことを言われなきゃならないんだろう。それならば一層のこと、先輩が目を惹くようなスレンダーボディになって、あちらが声をかけてきたらこっぴどく振ってやればいい。
そんな考えがひらめくと、早速それを実行に移したいと思った。でも、ダイエットってどうやればいいんだろう。
食事制限は、リバウンドで逆に太りやすくなると周りのみんなに口を揃えて言われたので、私はダイエットについて色々と調べ始めた。それに従って早速ダイエットを開始すると、面白いくらい順調に体重が落ちた。
それこそ、適度な運動と食事を気をつけるだけで、一か月で二キロは落ちていく。
調子に乗って運動量を増やして食事の量も少しずつ減らしたたところ、空腹から身体がふらついてバランスを崩し、転んだ拍子に右足を骨折してしまったのだ。
絶対安静で二か月。
病院のベッドの上で過ごす羽目になってしまった上に、入院中の病院食が口に合わなかったせいで、せっかくついた筋肉も衰えてしまい、退院する時には更に体重が減っていた。
数字だけ見たら私が当初目標に掲げていた理想の体重だったけれど、胸が垂れるわお腹の皮がたるんでいるわで、なんだかバランスが悪い。
今日はギプスが取れてちょうど二週間、きっと私史上、一番スリムな時だ。そんな姿を見られたものだから、高橋くんが心配するのは当たり前のことだった。
「本当に無理してないんだな? なら、これからは毎日俺の作るスイーツ食べれるな?」
その言葉に、私は即座に反応する。
食いしん坊な性格は、ダイエットが成功してもそう簡単には変わらない。
「え、なにそれ最高じゃん。有名パティシエの作るスイーツは、開店してすぐ売り切れるほどの人気があるって聞いてるよ」
高校を卒業してから、高橋くんは洋菓子の専門学校に進学し、大手ホテルが経営する有名パティスリーで働いていた。とあるテレビ番組でお店の取材を受けた際、イケメンパティシエと紹介されてから、高橋くんは有名人となり、高橋くん目当てのお客さんが激増したと耳にした。
もちろん、高橋くんの作るスイーツも評判が良く、お店でも一、二位を争う人気の商品だった。
そんな中、高橋くんはパティスリーを退職し、三か月前に独立開業した。それが「パティスリー VERDE」だ。
お店がオープンしてから、高橋くんのファンがSNSでお店を紹介した投稿がみるみるうちに拡散され、VERDEは瞬く間に大繁盛だ。
「ありがたいことに、お客さんが宣伝してくれるからな。それよりも、お前ちょっと痩せすぎて、見た目がなんか気持ち悪いんだよ。他の人はどう思うか知らないけど、俺は学生時代のスイがいい。だからあの頃の体型に戻れ」
酷い言われように私は内心ムッとするも、高橋くんが本気で心配してくれていることは伝わった。
「見た目のことは、ちょっとワケありで、体型を絞ってる最中だから、計画が成功するまでは言わないでよ。でも、昔みたいに本当に毎日スイーツ食べさせてくれるの?」
「ワケあり? ちょっとそれ、場合によっては協力してやるけど、とにかく今のダイエットは止めろ。細すぎて折れそうで、見てられない。そのかわり、スイーツは毎日食わせてやる。約束する」
高橋くんは、私の言葉に怪訝な顔を見せるものの、私のスイーツへの食い付きに、大きく頷いた。
「本当? やったぁ! 高橋くんのスイーツ、高校の頃ほぼ毎日食べさせて貰ってたから、舌が肥えて大変だったんだよ。あの頃よりも腕が上がってるでしょうから、私、期待しかないんだけど」
「おう、任せとけ。スイの仕事は平日? 仕事終わりに連絡くれたらスイーツすぐに食べられるように用意しとくから、連絡先交換しようぜ」
こうして二人はそれぞれスマホを取り出すと、連絡先を交換した。私のSNSアイコンは、飼い犬のチワワ、高橋くんのアイコンは、意外なことに緑色の羽根を持つ鳥──カワセミだった。
「なんか意外。てっきり自分が作るスイーツをアイコンにしてるものだと思ってた」
交換した連絡先を登録すると、徐ろに私が感想を口にした。すると高橋くんはニヤリと口角を上げる。
「スイーツにしたら俺だってバレバレだろ? それに、よく見れば鳥もつぶらな瞳がかわいいぞ」
雑談をしながら披露宴会場に到着し、受付を済ませると、二人の座席は離れていたので、ゆっくり話ができたのはこの時だけだった。
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