18 / 30
第6章
私、やらかしてしまいました 1
しおりを挟む
目が覚めてから、スマホで現在の時間を確認すると、午前四時を回ったところだった。
妙な時間に目が覚めてしまったものだ。
布団の中でゴロゴロしていた私は、ふと夢の中で見た指輪のことが気になって、起き上がると学習机の引き出しを開けた。
たしかここに、晴明神社のお守りも入れていたはず……
こんな朝早くから、ガタガタ音を立てていたら両親も起きてしまうかも知れないと、できるだけ静かに引き出しを開けた。
中から焼き菓子が入っていた蓋つきの箱を取り出し、中身を確認する。……あった、これだ。
晴明神社のシンボルである、五芒星の模様が描かれているお守り袋。
指輪は高校受験の願掛けとして買ったものだからと、お守りと一緒に仕舞っていたはずだった。
箱の中にはそれらしきものは見当たらない。私はお守り袋を指で触ってみた。
中学時代のあやふやな記憶の糸を辿りながら、結び目を緩め、中身が確認できるくらいにお守りの口が開いたけれど、残念ながら探していた指輪は見つからなかった。
そう言えば、どのお守りかは覚えていないけれど、昔お守り袋の結び目を解いて、中身を確認し『罰当たりなことをするな』とこっぴどく叱られたなぁ……
ふと思い出した黒歴史を、こうして再び繰り返しているなんて、私はつくづく成長してない。
溜め息を吐きながら、私はお守りを箱の中に仕舞うと引き出しの中に片づけた。あの指輪、どこに仕舞ったんだったかな……
指輪のことが気になりながらも眠気に勝てず二度寝をしてしまい、次に目が覚めたのは朝の七時少し過ぎ。スマホのアラームのおかげで何とか寝過ごすことなく起きることができた。
昨夜、飲みすぎたせいで少し頭が重い。
二日酔いに似たような感じだ。
でも習慣というものはすごいと思う。こんな状態で思考は全然働いていないけれど、身体はゆっくりと日常動作を取っている。
洗顔の後で着替えを済ませ、化粧や髪型などの身支度を整えるとダイニングへと向かう。
母も、私が朝きちんと食べられそうにないのを見越して、雑炊が用意されていた。
「昨日はちょっとはしゃぎ過ぎたみたいね。弘樹くんと会うのもいいけど、徹也くんと婚約したんだから、変な噂が立たないように行動には気をつけなさいね」
母からの思わぬ苦言に私は箸が止まった。
弘樹とは友達なのに、異性ってだけで何でこんなふうに言われなきゃならないんだろう。
妙な時間に目が覚めてしまったものだ。
布団の中でゴロゴロしていた私は、ふと夢の中で見た指輪のことが気になって、起き上がると学習机の引き出しを開けた。
たしかここに、晴明神社のお守りも入れていたはず……
こんな朝早くから、ガタガタ音を立てていたら両親も起きてしまうかも知れないと、できるだけ静かに引き出しを開けた。
中から焼き菓子が入っていた蓋つきの箱を取り出し、中身を確認する。……あった、これだ。
晴明神社のシンボルである、五芒星の模様が描かれているお守り袋。
指輪は高校受験の願掛けとして買ったものだからと、お守りと一緒に仕舞っていたはずだった。
箱の中にはそれらしきものは見当たらない。私はお守り袋を指で触ってみた。
中学時代のあやふやな記憶の糸を辿りながら、結び目を緩め、中身が確認できるくらいにお守りの口が開いたけれど、残念ながら探していた指輪は見つからなかった。
そう言えば、どのお守りかは覚えていないけれど、昔お守り袋の結び目を解いて、中身を確認し『罰当たりなことをするな』とこっぴどく叱られたなぁ……
ふと思い出した黒歴史を、こうして再び繰り返しているなんて、私はつくづく成長してない。
溜め息を吐きながら、私はお守りを箱の中に仕舞うと引き出しの中に片づけた。あの指輪、どこに仕舞ったんだったかな……
指輪のことが気になりながらも眠気に勝てず二度寝をしてしまい、次に目が覚めたのは朝の七時少し過ぎ。スマホのアラームのおかげで何とか寝過ごすことなく起きることができた。
昨夜、飲みすぎたせいで少し頭が重い。
二日酔いに似たような感じだ。
でも習慣というものはすごいと思う。こんな状態で思考は全然働いていないけれど、身体はゆっくりと日常動作を取っている。
洗顔の後で着替えを済ませ、化粧や髪型などの身支度を整えるとダイニングへと向かう。
母も、私が朝きちんと食べられそうにないのを見越して、雑炊が用意されていた。
「昨日はちょっとはしゃぎ過ぎたみたいね。弘樹くんと会うのもいいけど、徹也くんと婚約したんだから、変な噂が立たないように行動には気をつけなさいね」
母からの思わぬ苦言に私は箸が止まった。
弘樹とは友達なのに、異性ってだけで何でこんなふうに言われなきゃならないんだろう。
129
あなたにおすすめの小説
婚約解消を宣言したい忠犬令息の攻防戦
夕鈴
恋愛
薔薇が咲き誇る美しい庭園で椅子に座って悲しそうな顔で地面に向かって何度も同じ言葉を呟く少年がいた。
「僕は、姫様に相応しくないので、婚約を解消しましょう」
膝の上で固く握った拳は震えている。
少年の拳の上に真っ赤な花びらが落ちてきた。
少年が顔を上げると、美しい真っ赤な薔薇が目に映る。
少年は婚約者を連想させる真っ赤な薔薇を見ていられず、目を閉じた。
目を閉じた少年を見つめる存在には気付かなかった。
鈍感な少年と少年に振り回される恋するお姫様の物語です。
地味で器量の悪い公爵令嬢は政略結婚を拒んでいたのだが
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
心優しいエヴァンズ公爵家の長女アマーリエは自ら王太子との婚約を辞退した。幼馴染でもある王太子の「ブスの癖に図々しく何時までも婚約者の座にいるんじゃない、絶世の美女である妹に婚約者の座を譲れ」という雄弁な視線に耐えられなかったのだ。それにアマーリエにも自覚があった。自分が社交界で悪口陰口を言われるほどブスであることを。だから王太子との婚約を辞退してからは、壁の花に徹していた。エヴァンズ公爵家てもつながりが欲しい貴族家からの政略結婚の申し込みも断り続けていた。このまま静かに領地に籠って暮らしていこうと思っていた。それなのに、常勝無敗、騎士の中の騎士と称えられる王弟で大将軍でもあるアラステアから結婚を申し込まれたのだ。
婚約破棄されたショックで前世の記憶を取り戻して料理人になったら、王太子殿下に溺愛されました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
シンクレア伯爵家の令嬢ナウシカは両親を失い、伯爵家の相続人となっていた。伯爵家は莫大な資産となる聖銀鉱山を所有していたが、それを狙ってグレイ男爵父娘が罠を仕掛けた。ナウシカの婚約者ソルトーン侯爵家令息エーミールを籠絡して婚約破棄させ、そのショックで死んだように見せかけて領地と鉱山を奪おうとしたのだ。死にかけたナウシカだが奇跡的に助かったうえに、転生前の記憶まで取り戻したのだった。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
*全28話完結
*辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
*他誌にも掲載中です。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
勇者様がお望みなのはどうやら王女様ではないようです
ララ
恋愛
大好きな幼馴染で恋人のアレン。
彼は5年ほど前に神託によって勇者に選ばれた。
先日、ようやく魔王討伐を終えて帰ってきた。
帰還を祝うパーティーで見た彼は以前よりもさらにかっこよく、魅力的になっていた。
ずっと待ってた。
帰ってくるって言った言葉を信じて。
あの日のプロポーズを信じて。
でも帰ってきた彼からはなんの連絡もない。
それどころか街中勇者と王女の密やかな恋の話で大盛り上がり。
なんで‥‥どうして?
「帰ったら、結婚しよう」と言った幼馴染みの勇者は、私ではなく王女と結婚するようです
しーしび
恋愛
「結婚しよう」
アリーチェにそう約束したアリーチェの幼馴染みで勇者のルッツ。
しかし、彼は旅の途中、激しい戦闘の中でアリーチェの記憶を失ってしまう。
それでも、アリーチェはルッツに会いたくて魔王討伐を果たした彼の帰還を祝う席に忍び込むも、そこでは彼と王女の婚約が発表されていた・・・
【完結】大好きな彼が妹と結婚する……と思ったら?
江崎美彩
恋愛
誰にでも愛される可愛い妹としっかり者の姉である私。
大好きな従兄弟と人気のカフェに並んでいたら、いつも通り気ままに振る舞う妹の後ろ姿を見ながら彼が「結婚したいと思ってる」って呟いて……
さっくり読める短編です。
異世界もののつもりで書いてますが、あまり異世界感はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる