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史那編
中学二年、卒業式 3
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そんなことは母にも言えなくて、ずっと黙っていた。
とりあえず中等部に在籍中、高校に上がるための内部試験をパスしなければならない。
これに合格しなければ、私は改めて一般枠の外部受験生と一緒に再受験となるのだ。
いよいよ他校受験も視野に入れなければならないと崖っぷちに立たされている。
それならもう一層のこと、しんどい思いをして内部進学に拘らず、愛由美ちゃんのいる高校を受験しようか……
愛由美ちゃんの通う学校は、良家や資産家のお嬢様の通うことで有名な私立の女子校で、今私が通っている学校と同じく中等部、高等部、大学とエスカレーター方式だ。
しかも、ここより偏差値は低いから、編入しても落ちこぼれることはないだろう。
ここで無理をして理玖に合わせて色々としんどい思いをするよりも、自分の学力に見合った学校の方が、心身ともに楽だ。
それになにより、学年は違えど愛由美ちゃんもいる。
今度、愛由美ちゃんや、愛由美ちゃんのお母さんである智賀子おばさんにも相談してみよう。
まだこの場では言えないけれど……
和やかな雰囲気の中で、私たちは五感を全て満たされてご機嫌だった。
案の定、帰りは高宮家の車で自宅マンションまで送って貰った。
エントランスでコンシェルジュの桜田さんが私たちに挨拶をする。私たちも挨拶を返してエレベーターに乗ると、最上階のボタンを押した。
部屋に戻り制服から普段着に着替えると、果穂はお腹も満たされて久しぶりに昼寝をすると、母が寝室へと連れて行った。
私は愛由美ちゃんにメッセージを送ろうと、スマホの電源を入れた。
学校に持ち込みをしない約束で、中学受験で合格した時に父からスマホを買って貰ったのだ。
だから、インターネット接続はフィルタリングをかけられているけれど、私は主に両親や理玖を含む親戚、友達との連絡用でNYAINを使ったり、動画を見る為にNYANTUBEを使うくらいだ。
たまに調べ物をしたりするけれど、スマホがないと駄目! というような依存する使い方はしていない、と思う。
電源を入れてロックを解除すると、アプリのアイコンにメッセージの受信を知らせる数字が表示されている。
メッセージは受信通知を切っているので、一つ一つ、それぞれを確認しないと誰から受信しているか分からない。
メッセージを作成中にバナー表示が出ると、なんだか邪魔に感じてしまうのだ。
緊急性のある時は助かるけど、今の私にそこまで緊急性は必要ない。
多分スマホを使うのが自宅に限っているからだろう。
受信しているメッセージを確認する為、アプリを開いてみると……
友達から春休みに遊ぶ約束をしていた件で、家族旅行と重なってしまったお詫びのメッセージが届いていた。
気にしないでいいよと返信し、溜め息を吐く。
……当たり前だけど、理玖からの連絡はない。
理玖も中等部の入学祝いでスマホを買って貰っており、私もスマホを手に入れた時、無理矢理連絡先を交換していたのだ。
いくら従兄妹同士とはいえ、特に理玖からは私に対して用事もないのだ。
緊急性のある場合、両親が仲介に入ったり、遥佳伯母さんから直接連絡が入ったりする。
理玖と連絡を取り合ったことって、履歴を見ても本当に数える程度のものだ。
そう思ったら、本当に私は理玖にとってその程度の存在なんだとまざまざと思い知らされる。
もう、片思いを止めよう。
私は愛由美ちゃんにメッセージを送ろうと気持ちを切り替えた。
* * *
春休み中、私は愛由美ちゃんの家へ遊びに行き、さりげなく愛由美ちゃんの通う学校のことを聞き出した。その時に、それまでの理玖との経緯も話をして理玖への思いを諦めることも話した。
愛由美ちゃんは私が理玖のことが大好きで、理玖の後を追いかけて今の学校を受験したことを知っている。
だからまさか私が理玖を諦めるなんて思ってもみなかったのか、かなりの衝撃を受けていた。
でも、私の話を聞いて、愛由美ちゃんも複雑な表情を浮かべている。
「私としては、学年は違えど史那ちゃんが同じ学校にいるのは凄く嬉しいよ。実際には私が高等部に進級してからになるから一年後の話にはなるけど……
でも、本当に史那ちゃんはそれでいいの? 理玖くんに一言でも相談しなくていいの?」
愛由美ちゃんの言葉に私は言葉が詰まりなにも言えなくなる。
仮に相談したところで、理玖のことだ。
良くて『好きにすればいい』って言われるのがオチだ。
最悪の場合、またやれやれと言われてしまうかも知れない。
どちらにせよ、これ以上しんどい思いをしたくない。きっとそう簡単に理玖のことを諦めるなんて無理なのは自分自身が一番よく分かっている。
少し、理玖と距離を置けばいいんだ。
幸い、来月からは理玖も高等部への進学で、通学は別々になるのだから。
とりあえず中等部に在籍中、高校に上がるための内部試験をパスしなければならない。
これに合格しなければ、私は改めて一般枠の外部受験生と一緒に再受験となるのだ。
いよいよ他校受験も視野に入れなければならないと崖っぷちに立たされている。
それならもう一層のこと、しんどい思いをして内部進学に拘らず、愛由美ちゃんのいる高校を受験しようか……
愛由美ちゃんの通う学校は、良家や資産家のお嬢様の通うことで有名な私立の女子校で、今私が通っている学校と同じく中等部、高等部、大学とエスカレーター方式だ。
しかも、ここより偏差値は低いから、編入しても落ちこぼれることはないだろう。
ここで無理をして理玖に合わせて色々としんどい思いをするよりも、自分の学力に見合った学校の方が、心身ともに楽だ。
それになにより、学年は違えど愛由美ちゃんもいる。
今度、愛由美ちゃんや、愛由美ちゃんのお母さんである智賀子おばさんにも相談してみよう。
まだこの場では言えないけれど……
和やかな雰囲気の中で、私たちは五感を全て満たされてご機嫌だった。
案の定、帰りは高宮家の車で自宅マンションまで送って貰った。
エントランスでコンシェルジュの桜田さんが私たちに挨拶をする。私たちも挨拶を返してエレベーターに乗ると、最上階のボタンを押した。
部屋に戻り制服から普段着に着替えると、果穂はお腹も満たされて久しぶりに昼寝をすると、母が寝室へと連れて行った。
私は愛由美ちゃんにメッセージを送ろうと、スマホの電源を入れた。
学校に持ち込みをしない約束で、中学受験で合格した時に父からスマホを買って貰ったのだ。
だから、インターネット接続はフィルタリングをかけられているけれど、私は主に両親や理玖を含む親戚、友達との連絡用でNYAINを使ったり、動画を見る為にNYANTUBEを使うくらいだ。
たまに調べ物をしたりするけれど、スマホがないと駄目! というような依存する使い方はしていない、と思う。
電源を入れてロックを解除すると、アプリのアイコンにメッセージの受信を知らせる数字が表示されている。
メッセージは受信通知を切っているので、一つ一つ、それぞれを確認しないと誰から受信しているか分からない。
メッセージを作成中にバナー表示が出ると、なんだか邪魔に感じてしまうのだ。
緊急性のある時は助かるけど、今の私にそこまで緊急性は必要ない。
多分スマホを使うのが自宅に限っているからだろう。
受信しているメッセージを確認する為、アプリを開いてみると……
友達から春休みに遊ぶ約束をしていた件で、家族旅行と重なってしまったお詫びのメッセージが届いていた。
気にしないでいいよと返信し、溜め息を吐く。
……当たり前だけど、理玖からの連絡はない。
理玖も中等部の入学祝いでスマホを買って貰っており、私もスマホを手に入れた時、無理矢理連絡先を交換していたのだ。
いくら従兄妹同士とはいえ、特に理玖からは私に対して用事もないのだ。
緊急性のある場合、両親が仲介に入ったり、遥佳伯母さんから直接連絡が入ったりする。
理玖と連絡を取り合ったことって、履歴を見ても本当に数える程度のものだ。
そう思ったら、本当に私は理玖にとってその程度の存在なんだとまざまざと思い知らされる。
もう、片思いを止めよう。
私は愛由美ちゃんにメッセージを送ろうと気持ちを切り替えた。
* * *
春休み中、私は愛由美ちゃんの家へ遊びに行き、さりげなく愛由美ちゃんの通う学校のことを聞き出した。その時に、それまでの理玖との経緯も話をして理玖への思いを諦めることも話した。
愛由美ちゃんは私が理玖のことが大好きで、理玖の後を追いかけて今の学校を受験したことを知っている。
だからまさか私が理玖を諦めるなんて思ってもみなかったのか、かなりの衝撃を受けていた。
でも、私の話を聞いて、愛由美ちゃんも複雑な表情を浮かべている。
「私としては、学年は違えど史那ちゃんが同じ学校にいるのは凄く嬉しいよ。実際には私が高等部に進級してからになるから一年後の話にはなるけど……
でも、本当に史那ちゃんはそれでいいの? 理玖くんに一言でも相談しなくていいの?」
愛由美ちゃんの言葉に私は言葉が詰まりなにも言えなくなる。
仮に相談したところで、理玖のことだ。
良くて『好きにすればいい』って言われるのがオチだ。
最悪の場合、またやれやれと言われてしまうかも知れない。
どちらにせよ、これ以上しんどい思いをしたくない。きっとそう簡単に理玖のことを諦めるなんて無理なのは自分自身が一番よく分かっている。
少し、理玖と距離を置けばいいんだ。
幸い、来月からは理玖も高等部への進学で、通学は別々になるのだから。
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