8 / 33
8話
しおりを挟む「綾乃、今日もキスの練習しない?まだ時間あるし今日は綾乃からキスする練習しようよ?」
「え?…私から?」
戸惑う綾乃の反応なんて分かりきっていた。私は当然のように言った。
「うん。綾乃から。いつもしてもらうばっかじゃする方が疲れちゃうよ。だから綾乃からもキスできないと困るよ?」
「……でも、……緊張するし……した事ない……」
「もう、緊張しなくて平気だって。自分からできなかったらしてくれないのかなってちょっと相手も不安に思うかもしれないし。だからやろうよ?」
今日は可愛らしい綾乃の表情を堪能してやろう。綾乃は私の言葉に騙されて小さく頷いた。
「……うん。分かった」
「じゃあこっち向いて?」
「うん」
緊張している綾乃は隣にいた私に体を向ける。自分からするだけで恥ずかしそうにする綾乃に胸が擽られる。
「ナギちゃん。……やっぱりナギちゃんからじゃダメ?」
「ダメ。ほら早くして?動かないから」
「……うん」
こんな楽しい状況で逃がす訳がない。私は笑って催促したら綾乃は私の肩におずおずと手を添えてきた。
「ナギちゃん……目……つぶってて?……恥ずかしいから…」
可愛らしく照れる綾乃をこのまま見ていたいのに綾乃に言われては目をつぶらないといけない。私は少しがっがりしながらも目をつぶった。
「これで平気?」
「……うん。そのまま動かないでね?」
「うん」
すぐそばに綾乃を感じる。さぁ、これからが楽しみだ。私は綾乃からのキスを焦れったく思いながら待っていたら綾乃は本当に軽くだけ唇に触れるだけのキスをして私にそのまま抱きついてきた。
「……ナギちゃん……私、自分からはもう無理かも……」
「今キスできたじゃん」
私に軽く抱きついて恥ずかしがる綾乃を抱き締め返す。本当に可愛くて可愛くて顔がにやけてしまう。こんな軽いキスだけでこんなに可愛くなるなんてエッチしたらどうなるんだろう?綾乃はぎゅっと強く抱きついた。
「今はギリギリだったもん。まだドキドキ止まらないよ。……こんなに緊張すると思わなかった……」
「綾乃はキスに意識しすぎなんだよ。軽いスキンシップだと思えば平気」
「そんなの無理だよ。勝手にドキドキしちゃうんだもん…」
経験がないからこうやって初めての事に異様に緊張する綾乃に笑みが止まらない。私は綾乃の体を少し放すと照れる綾乃を見つめながら催促していた。
「もう一回して綾乃」
「……無理……」
断る綾乃はもう赤くなっているが私は高まりすぎて引けなかった。
「無理じゃない。付き合って言われたらどうするの?」
「……逃げてからナギちゃんに相談する…」
「綾乃なに言ってんの?男相手なんだから待ってくれないよ?」
可愛い事を言う綾乃には不安要素を与えよう。経験も踏まえてるしこれは間違いではない。
「なんで?」
「だって男なんだからキスだけじゃなくてやりたいって思うのは当たり前なんだよ?付き合ったら絶対するし、キスだけでいつまでも綾乃がそうやって逃げてたら別れる原因になるかもしれないよ?」
告白されたから付き合ってみたけど最終的にこうなるからなぁと内心少し呆れていた。でも、分からなくはなかった。好きだのなんだの言ったってヒトなんだもん。欲に純粋にはなるよ。ただヒトとして、女と男として欲の優先順位が違うだけだ。
「そ、そうなの?」
私は綺麗な綾乃を笑いながら追い詰めた。
「そうだよ。だって付き合ったのにできないなんてあっちからしたら生殺しだし、キスもエッチもできなかったら男からしたら意味ないんじゃない?最後はそこに行き着くから」
「でも、エッチとか……怖いよ」
「別に大した事ないよ。こんなもんかって感じだよエッチなんか」
私は最初は夢を見ていた。付き合ってキスしてエッチしたら幸せになるし気持ちいいって。でも、夢と現実は違う。実際は温度差があって異常に興奮する男を見て気持ち悪く思ったし、そんな男見て興奮なんかしなかった。しかも自分本意にやられて気持ちよくなんかないし気持ちいい?とか聞いてくるから逆に気を使う。そんな事を思っていたらオナニーに付き合ってるみたいで醒めたのだ。
好きとは言われたけれど、こいつらこれがしたいから付き合いたいとか好きって言ってんだって思ってしまった私はそれから急激に恋愛に対する熱が無くなった。エッチも考えも男と女は別な生き物だからあんな気持ちよくないんだなと思うし、実際自分でした方が気持ちいい。
綾乃は私の言った事に表情を歪ませた。
「でも、私は付き合ったからってすぐにはできないよ。男の人はしたいのかもしれないけど、私は……すぐに受け入れられない…」
いい感じで不安を煽れた私は綾乃を呼び掛けて軽くキスをした。この不安は本当によく役立ってくれる。
「だからこうやって練習してるんでしょ?綾乃が本番に怖がらないように」
「うん。……でも、でも、……エッチとか……私、ちゃんとできるかな……」
少し困りながら恥ずかしがる綾乃に内心薄ら笑いをしていた。ちゃんとできるも何もあんなの適当に付き合ってれば終わる。まぁ、私は綾乃が好きだから私のようには思わせないようにするつもりだ。綾乃のエッチの初めてはこんなもんなんだなんてがっかりさせたくない。
「そんなに心配なら体を軽く触ったりして練習する?触られて引かれたらあっちもビックリしちゃうだろうし」
またワンステップ進める。その楽しみを隠しながら私は優しく聞いた。
「で、でも、……恥ずかしいよ。体なんか……触られた事ないし……私、私……うまくできる自信ない……」
初な反応をする綾乃は可愛くてほくそ笑みそうだ。私は綾乃にそんなものは求めていない。女は気持ちが重要なんだ。気持ちとちゃんとした手順を踏んでちゃんとした気遣いがなければ本当の意味で好きになんてならない。
そもそも今までこれをまともにクリアしたやつがいないから今の私がいるんだ。綾乃は別だけど何度か付き合ってみてこれが一番重要な気がした。
これがうまくできないと確実に温度差が生まれるから。
「初めてなんだからうまくしなくていいんだよ?最初は不安なのは分かるけど最初からうまい人はいないからそんな顔しないの」
私の可愛い綾乃の頬を至近距離で撫でた。不安そうな綾乃の顔をみるとワクワクしてしまう。だってこういう顔をする綾乃は私にすがる。いつもこうだったんだ。あと一押しだ。綾乃は私を見つめながら答えた。
「うん。ナギちゃん……あの、キスも……だけど、体……触ったりする練習もしたい…」
私の予想通りに動く綾乃に私は高揚を感じながら笑った。知らない綾乃は実に可愛らしい。これでまた綾乃に色をつけられる。
「恥ずかしいのは平気なの?」
私は綾乃に優しく尋ねる。綾乃の決意を強めて、やっぱりやめるなんてないようにこれは大事な誘導だ。
「……恥ずかしいけど平気。……本番でできなかったら嫌だもん…」
「そっか。じゃあちょっとずつやっていこっか?綾乃が慣れるように」
確信を聞いた私は満足していた。これで綾乃にもっと容易く触れられるようになった。あとは体と一緒に心も染めていこう。綾乃は小さく頷いた。
「うん。私……ちょっと驚いちゃうかもしれないけどナギちゃんよろしくね?」
「もちろん。綾乃のためなら平気だよ」
「ナギちゃん……んっ…はぁ…」
私は元から近かった距離を埋めてキスをした。触れるだけのキスでも満たされていく私は腕の中に綾乃を納める。この体ももう私の自由にできると思うと堪らない。少し強く抱き締めると綾乃はそれだけでちょっと体を強張らせていた。
「怖い?」
私は唇を離して綾乃に問いかける。綾乃は小さく首を横に振った。
「…ううん。なんか、……緊張しちゃって……」
「私なんだからそんな緊張しないでよ。ほら、綾乃は私の首に手回して?」
「うん……」
恥ずかしがる綾乃は私の服を強く握っているので促してみた。綾乃は控え目に手を伸ばして私の首に抱きつく。
「これ、……近くて恥ずかしい……」
至近距離にいるくせに目を逸らす綾乃は愛らしいものだった。近いだけで本当に初な反応を見せる。私はもっと可愛らしい綾乃が見たくて笑顔で言った。
「抱きついたらこうなるよ。これも付き合ったらするんだから慣れないとだよ綾乃」
「うん……。でも、……ドキドキしてるのバレちゃう……」
「バレても平気。綾乃それよりさ、私にキスしてみて?こういう感じで皆キスしたりするからできないとだよ」
さぁ、もっと普段見れない綾乃を見せてくれ。私の楽しみな気持ちは増幅するも綾乃は私に視線を向けて躊躇していた。
「……さっきしたのにまたしないとダメ?」
「ダメ。さっきとは状況が違うでしょ?ほら早く綾乃」
「……でも、さっきよりドキドキする……」
「練習なんだからドキドキしても平気だよ」
綾乃を逃がさないように縮まっている距離をまた少しだけ縮める。綾乃は少し目を逸らすも私を見つめた。
「……ナギちゃん、目、開けたらダメだからね?」
「分かったよ」
そんなに見られたくないのか、それも可愛らしく感じながら近づいてきた綾乃に目を閉じると軽くキスをされた。だけどそれだけじゃ足りなかった。可愛らしい綾乃を見て欲望は収まらない。唇を離した綾乃と見つめあいながら私は囁いた。
「綾乃もっとしてみて?」
「……うん。じゃあ、目閉じててねナギちゃん」
「うん」
この雰囲気に流されたように綾乃は恥ずかしがりながらキスをしてきた。あの控え目な綾乃がこうやってキスをする事実に喜びが増す。綾乃はキスをする度に甘い表情をしている。これなら、……これならまた先に進めそうだ。私は唇を離して火照ったような顔をする綾乃に言った。
「綾乃?」
「なに?ナギちゃん」
「次は私がしてあげる」
「うん…」
素直に応じる綾乃にキスをすると私は綾乃の口の中に舌を入れた。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~
楠富 つかさ
恋愛
中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。
佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。
「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」
放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。
――けれど、佑奈は思う。
「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」
特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。
放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。
4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。
さくらと遥香
youmery
恋愛
国民的な人気を誇る女性アイドルグループの4期生として活動する、さくらと遥香(=かっきー)。
さくら視点で描かれる、かっきーとの百合恋愛ストーリーです。
◆あらすじ
さくらと遥香は、同じアイドルグループで活動する同期の2人。
さくらは"さくちゃん"、
遥香は名字にちなんで"かっきー"の愛称でメンバーやファンから愛されている。
同期の中で、加入当時から選抜メンバーに選ばれ続けているのはさくらと遥香だけ。
ときに"4期生のダブルエース"とも呼ばれる2人は、お互いに支え合いながら数々の試練を乗り越えてきた。
同期、仲間、戦友、コンビ。
2人の関係を表すにはどんな言葉がふさわしいか。それは2人にしか分からない。
そんな2人の関係に大きな変化が訪れたのは2022年2月、46時間の生配信番組の最中。
イラストを描くのが得意な遥香は、生配信中にメンバー全員の似顔絵を描き上げる企画に挑戦していた。
配信スタジオの一角を使って、休む間も惜しんで似顔絵を描き続ける遥香。
さくらは、眠そうな顔で頑張る遥香の姿を心配そうに見つめていた。
2日目の配信が終わった夜、さくらが遥香の様子を見に行くと誰もいないスタジオで2人きりに。
遥香の力になりたいさくらは、
「私に出来ることがあればなんでも言ってほしい」
と申し出る。
そこで、遥香から目をつむるように言われて待っていると、さくらは唇に柔らかい感触を感じて…
◆章構成と主な展開
・46時間TV編[完結]
(初キス、告白、両想い)
・付き合い始めた2人編[完結]
(交際スタート、グループ内での距離感の変化)
・かっきー1st写真集編[完結]
(少し大人なキス、肌と肌の触れ合い)
・お泊まり温泉旅行編[完結]
(お風呂、もう少し大人な関係へ)
・かっきー2回目のセンター編[完結]
(かっきーの誕生日お祝い)
・飛鳥さん卒コン編[完結]
(大好きな先輩に2人の関係を伝える)
・さくら1st写真集編[完結]
(お風呂で♡♡)
・Wセンター編[完結]
(支え合う2人)
※女の子同士のキスやハグといった百合要素があります。抵抗のない方だけお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる