エゴイスト

神風団十郎重国

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7話

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綾乃を私が変えてから綾乃はメイクも髪型も劇的に変わった。特にメイクの仕方を変えたのに富田も真奈もすぐに気づいた。二人は綾乃が劇的に変わったのに誉めて喜んでいたが好きな人ができたの?と疑ってもいて綾乃は恥ずかしがりながら隠していた。二人はそれでも綾乃を問い詰めて綾乃を困らせていたので私が最終的に助けてあげた。綾乃の好きな人は教えてしまうと私の障害になるかもしれないから誰にも教えたくない。
私だけが知っていた方が有利に事が運ぶのだ。これは私と綾乃だけの秘密だ。


しかし、外見が変わっても中身が変わらない綾乃は目的の啓太の前じゃ今まで通りうまく話せてはいなかった。私は二人を見ているのはムカつくが助けない訳にもいかず二人の仲をそれとなく取り持ったが啓太は綾乃をまるっきり意識していない。これはこれでまぁいいのかと思うと共に私には楽しみができた。

最近は綾乃と時間があればお互いの家に行ったりして遊ぶのだがそこにキスの練習が加わった。綾乃はこのキスに恥ずかしがるが積極的に頑張ってやっている。
それは可愛いくて貪ってしまいたくなるが私はまだ我慢していた。今やったらせっかくここまで来たのに努力が無駄になる。綾乃は絶対に私のものにするのだから念入りに下準備をしたい。

そんな綾乃との背徳的な日々を過ごしていた私はもうすぐ球技大会があるけど皆でコスメを買いに出掛けていた。

「今日はコスメ買いに行ってからタピオカね?」

前を歩く真奈は少し後ろを向いて言った。

「うん!楽しみ~。富田新しいアイシャドウ欲しかったんだよね~。何色にしようかなぁ?」

「私もどうしようかな?」

学校を出て四人出歩きながら駅近のコスメが大量に売っていて安いと言われている穴場に向かう。富田はアイシャドウを悩んでいるが私も新しいのが欲しかった。

「ナギちゃんはなに買うの?」

隣にいた綾乃は私に話しかけてきた。

「私は…とりあえずアイシャドウとパックとアイブロウかな~。綾乃は?」

「私は、……見てから考える」

「そっか」

綾乃は私が教えた通りあの日から可愛くメイクをするようになった。今日はなんかお勧めでも教えてあげようかなと思ったら前を歩いていた富田が話しかけてきた。

「ねぇ、もうすぐ球技大会だからやる気ないけど皆でお揃いのピンかゴム買わない?球技大会終わったらすぐ体育祭だし体育祭でも使えるようにさ」

「え、いいじゃん富田。ナイス」

「ね!私可愛いやつが良い~」

今年最後だし思いで作りにもなる。真奈も同意見だし綾乃も嬉しそうに同意した。

「私も欲しい」

「じゃあめっちゃ可愛いやつにしよ?富田赤が良いなぁ~」

富田の呟きに真奈は嬉しそうだったのに急に眉を潜めた。

「えぇ~?赤可愛くない。何で赤なの?」

「富田の推しが赤好きだから」

当然みたいに言う富田に真奈は真顔で若干キレていた。

「興味なっ!富田が好きなアイドル全然かっこよくないし却下」

「えぇ?酷い真奈。かっこいいじゃんユノ」

富田は実はKポップが好きなのだ。その影響でダンスもやってるが真奈と富田は全く好みのタイプが違う。なので富田と真奈は店につくまでけなし合いながら議論していた。
店につくと新作のコスメがまた大量に出ていて私達は各自かごをもって店の中を歩いた。富田や真奈は目的の物があったみたいですたすた行ってしまったのに綾乃は変わらずに私の隣を離れないでついてくる。

「綾乃なんか欲しいのあった?」

綾乃はずっと私の隣を離れる気はなさそうだけどいろんなコスメを興味深そうに見ている。

「……分かんない…」

しかし、綾乃はいつも通りだった。

「…欲しいけど、いっぱいあるからどれがいいか分かんないよ……」

困ったように笑う綾乃は無意識に私を頼りにしているようだ。可愛いけれど本当に手のかかる子だ。まぁ、こうでないと私のものにできないのだけど…。私は株を上げるために笑った。

「ん~?じゃあ、一緒に選ぶ?」

「うん。ナギちゃんと選びたい」

「いいよ。それじゃあ、今なんか無くなりそうなのないの?」

綾乃は私についてきながら答える。

「えっと、今は、……ファンデかな?あと、私も…新しいアイシャドウ欲しい…」

「そっか。アイシャドウなら私が使ってるやつがいいよ」

私に簡単に影響された綾乃と歩きながらいつも使っているコスメ売り場に来た。綾乃は濃い目のブラウンの方がきっと今よりも女らしくなる。私は迷わずに選んだ。

「これとかいいんじゃない?発色よくて落ちずらいし。グラデーションしやすいから」

「これ?でも、……ちょっと派手じゃないかな?」

明るめの色が入っているから気になるんだろう。だけどこんな不安は別に何でもない。私は綾乃に押し切った。

「派手じゃないよ。私も使った事あるし今の髪色に合ってると思うよ」

「そうかな?…じゃあ、ナギちゃんがそう言うならこれにする」

否定していたのに私の勧めを信じる綾乃はまた私色になった。こうやって知らない内にどんどん変えていかないと。私は笑いながらその後も綾乃とコスメを選んでいたら綾乃は私が買おうとしていたコスメを見て尋ねてきた。

「ナギちゃん。それなに?アイブロウ?ブラシ大きくない?」

綾乃の言った通り茶色単色で眉毛に使うにはブラシが大きいが私が買おうとしていたのはノーズシャドウだ。知らないであろう疎い綾乃に優しく教えてあげた。

「違うよ。ノーズシャドウ。鼻が高く見えて立体的に見えるように眉頭から目と鼻の間に薄く入れるの」

「へぇ~。そうなんだ…」

この前教えてあげた時に忘れていた。綾乃は興味津々だしこの際だ、また教えてあげよう。

「やり方教えて上げるから綾乃も買えば?可愛くなるよ」

「うん!買う!」

珍しくテンションが高めな綾乃を見ていると勝手に笑ってしまう。綾乃のためじゃなくて私のために変わっているのに健気で可愛いものだ。私は綾乃と一緒にコスメを買うと皆と合流してアクセサリーショップに向かった。いろいろなピンやゴムがあるからここならきっと好みの物が見つかるはずだ。

「え?!ちょっと待ってこれめっちゃ可愛い……。これ良くない?ナギ」

選んでいる最中に真奈が一目惚れしたらしい物を見せてきた。それは青色の可愛らしいシュシュだった。私も可愛いとは思うが問題があった。

「確かに。でも青じゃ……私達のクラス今年の体育祭赤だよ?反感買いそうだし間違われそうじゃない?」

うちはクラスごとで色は決まっているので体育祭も使うとなると厳しい……と言うより浮く。真奈は悲しそうな顔をした。

「あぁ!忘れてたぁ~。じゃあダメじゃん。欲しいけど諦めます」

「だから赤が良いって富田言ったじゃん」

富田はしてやったり顔をして言うと真奈は悔しそうに顔を歪める。

「なんで富田の推しと一緒にしないといけないの?」

「ユノスーパースターだよ?むしろ光栄だよ」

「どこが?私は知らないし赤あんまり惹かれないし黒とかちょっとなんか可愛いのついてるのにしよう。ね?ナギ」

「え?うん。私はなんでも良いけど」

「真奈ナギを見方にするなんてズルい」

いきなりなんか押し付けるように言われて驚いて頷いてしまった。まぁ、私はこだわりないからいいけど赤だと赤でなんかなぁ…。私は無難な事を言ってみた。

「ていうかさ、赤だとはちまきもゼッケンも赤だからしつこいしやる気あるやつみたいになるからやめといたら?皆そんなやる気ないでしょ?」

「「ない」」

即答する真奈と富田。綾乃も控え目にちょっと頷いてるし高校生にもなって体育祭ではしゃげるやつとかいないよね。クラスの皆が仲良しな訳ないし女子は特に運動嫌いだし日に焼ける方が気になるよ。あと暑さ。

「じゃあ、色が被らないように無難な色にしよ」

「だね~。ナギに賛成」

「そうだね。富田はユノのグッズで我慢するわ」

「うん」

ユノについてはよく聞かされるが今だに誰だか分からないので流そう。私達はそれから皆でいろいろ見てから話し合いつつキラキラしたクリスタルがついたヘアゴムにした。白っぽいクリスタルはワンポイントで可愛らしくて皆気に入ったので文句はない。

皆が満足した買い物ができたところで私達は今日の目当てでもあるタピオカ屋さんに行ってタピオカを飲みながら帰った。帰りは途中まで体育祭やいろんな話をしたが綾乃と二人きりになると綾乃はまた啓大の話題を出してきた。

「ナギちゃん。ナギちゃんは知ってるかもしれないけど啓大君ね、コンビニでバイトしてるみたいで……私と一緒だったからこないだ少し話してて盛り上がったの」

「そういえばそうだったね。良かったじゃん。楽しかった?」

綾乃は二人になるとこうやって啓大の話題を頻繁に話してくる。これに関しては好きだから妥協できてるけど嬉しそうな顔をする綾乃は腹が立つ。その嬉しそうな顔が本当ムカつくなと思いながら私はいつもみたいに話していた。

「うん。変わったお客さんいるよねとか、暇な時本当に誰も来ないよねって…他にもいっぱい話せた」

「そっか。じゃあ、ちょっと意識してもらえたかもね」

正直どうでもいいが二人はコンビニバイト同士にしか分からない話もあって楽しかったんだろう。ウザい話だ。綾乃はいつもより嬉しそうだった。

「うん。意識してくれたら嬉しいな……。でも、皆がいないと自分じゃそこまで話せないからもっと頑張らないとだよ」

「まぁ、富田とかはお喋りだからね。でも、席近いから今のうちに勇気だして話せるだけ話しときな」

「うん。……頑張るねナギちゃん」

「うんうん。私もたまに助けに行くから頑張ってね」

私のためじゃないこの気持ちは踏みにじってやりたい。あいつより私の方がいいはずなのにイライラが加速する。あぁ、ムカつくなぁ。私は笑いながら誘った。

「綾乃、ちょっとうちに来ない?今日買ったコスメちょっと使ってみようよ?使い方も教えてあげたいから」

買い物していたらいい気分だったのにムカつくからまた弄んでやろう。綾乃は明るく頷いた。

「うん。私も気になってたから使いたい」

「よし。じゃあ早く帰ろう」

「うん!」

私達は笑いながら帰路を急いだ。今日はもう少し汚せたら汚したい。綾乃が嬉しそうにするから私の欲求が止まらない。私達は私の家についてからすぐに今日買ったコスメを開けてメイクをした。綾乃が泊まりに来た時のように私は親切に教えてやってあげると綾乃は目を輝かせて喜んでいた。それに私が選んだアイシャドウは思った通りに綾乃を良くさせた。

「アイシャドウいい感じじゃん。ノーズシャドウも入れたから鼻がすっとした感じするし。可愛いよ綾乃」

「うん。前より良くなった。ありがとうナギちゃん」

「全然」

私の好みになって女らしさが露になった綾乃は愛らしくて、私は鏡を見る綾乃に欲望をぶつけていた。
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