好きをこじらせて

神風団十郎重国

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52話

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葵は、たかがお揃いだというだけで本当に嬉しそうにしている。それになんだか私まで嬉しくなってしまう。なんか、高校生みたいだなと思っていたら葵は思い出したようにおもむろに私に封筒のような物を渡してきた。

「あとね、これ、……手紙書いたの」

「手紙?」

確かにそれはよく見ると手紙に使うような可愛らしい封筒だった。私が受け取ると葵は照れたように言った。

「うん。いつもの……お礼と、由季への気持ち……手紙にしてみたの。誕生日だから、いっぱい言いたいけど…恥ずかしいし、緊張して……言えないかもしれないから。手紙でまとめてみたんだけど…」

「うん、そっか。葵らしいね?ありがとう。読んでも良い?」

沢山気持ちは伝わってるのにまだ伝えたい葵の気持ちは嬉しかった。まめな葵らしくて思わず笑ってしまう。わざわざ紙に書くなんて大変だったろうに、そう思うとさらに愛しさが募る。手紙を開けよとしたらなぜか葵はその手を止めてきた。

「だっだめ!」

珍しく強目な口調で葵は私の手を掴んだ。

「え、なんで?」

「は、……恥ずかしいから…家で読んで?」

恥ずかしがる葵。私は葵からのせっかくの手紙を今読みたくて抗議した。ここで待てるはずがない。

「いいじゃん、今読みたい」

「だ、だめなの!いっぱい書いちゃったし、恥ずかしいから」

「どうせ見るんだから後で見ようが今見ようが変わらないでしょ?」

「それは、そうかもしれないけど……でもだめなの!」

頑なに読ませようとしない葵に私はそれでも読みたかったから強引に手を退けて便箋を取り出した。内容を見てみると葵は慌てて止めさせようとしてくるけどその手を片手で払いながら体の向きを変えて逃げる。

「由季!だめ!!」

「ええっと、誕生日おめでとう、いつも優しくしてくれてありがとう由季。由季と付き合うことができて私は毎日幸せです。私は…」

「由季!止めて!!もう本当にやだから!!やだ!」

私の音読に葵は本当に恥ずかしそうに嫌がってきたけど構わず読んでいく。こんな物貰ってお預けなんて私には無理だ。でも、葵も必死に手紙を読ませないように邪魔してくる。

「私は、由季しか見えてないくらい由季の虜だよ。ちょ、葵止めて!……世界で一番由季が好きです。…もう葵止めて?読めない!」

葵があまりにも邪魔してくるから私は、ついには立って歩きながら手を避けて逃げる。だけど葵は、前からも後ろからしつこく手を伸ばして邪魔してくる。私は今回は止める気はない。素早く体を動かして避ければ問題ないのだ。

「や、やだもん!読まないで!」

「私もやだ。読んじゃうね?えっと…毎日由季のことを考えていて仕事中も…こら、止めて!」

「由季!ばか!もう意地悪!」

「意地悪じゃないよ?気になるんだもん。えー、あ、ここか、由季が気になっちゃうよ。こないだ由季と初めてエッチした時に…って葵?」

避けて逃げていたのに葵は後ろに回って両手で目を隠してきた。これは一本取られた。暗くて見えない。まだ読みたいのにこれじゃ続きが読めない。

「もうそれ以上読んじゃだめ!恥ずかしくて火が出て死んじゃうから!!」

必死に焦って言う葵に思わず笑ってしまう。どっから火が出るんだろう。葵は冗談は言わないから本当におもしろくなってしまう。

「葵?火は出ないから大丈夫だよ」

「ほ、本当に出ちゃうよ!恥ずかしくて熱いもん!由季が読むからだよ?!」

必死な葵がおかしくて笑いが止まらない。

「だから出ないよ?せっかく書いてくれたから読みたかったのに」

「い、いいから!もう家でゆっくり読んで!今は、本当に読まないで!」

読みたいのにこんなに言われるともう仕方ないか。私は、渋々承諾して葵に振り返った。葵は、もう本当に顔を赤くしていた。これは、やり過ぎたかもしれない。

「…由季、酷い。嫌だって言ってるのに…」

「ごめんごめん。気になっちゃったんだもん」

少し葵は拗ねるけど私はまだどうしても読みたかった。続きが気になって仕方ない。葵はさっき嫌がっていたし、今はむくれてるけど後でしっかり謝れば許してくれるだろう。葵には悪いけど確実な方法で手紙を読むことにした。

「葵、ごめんね?ほら座って?」

「……え?う、うん」

「本当にごめんね?」

葵を座らせてから正面から葵を抱き締める。葵は動揺しているけど先に謝っておいた。私は少し強めに抱きつきながら葵の背中で手紙を読み出す。さっきの続きを目で探した。

「えっと、初めてエッチした時に……」

「ゆ、由季!だから止めて!もう!ばか!ばか!離して!」

騙された葵は、激しく抵抗してくるけど葵の力はたかが知れているので問題なく読み続けた。

「由季は私にいっぱい好きだよって言ってくれて私をいっぱい触ってくれたよね。すっごく嬉しかったよ。大好きな由季とエッチができて幸せ過ぎて…」

「由季!嫌だ!ばかばかばかぁ!もうやだ!」

葵は抵抗しても意味を成さないことを理解してか自分の耳を塞ぎ出した。顔のすぐ横で話してるから絶対聞こえるだろうけどせめてもの抵抗なんだろう。それでも私は読み続けたけど読んでいて私が少し恥ずかしかった。

「頭がおかしくなりそう。由季に触られた時を思い出すと体が熱くなっちゃう。たまに夢に見ちゃうんだよ?エッチの時も由季は優しくて綺麗で、私を求めてくれるのに凄くドキドキして興奮しちゃった。だめって言ってるのに触るのは意地悪だったけど凄く気持ち良かったよ。また由季とエッチしたい。私は、由季がしてくれるならいつでも嬉しいよ?全然嫌じゃない。由季がしたかったら痛いプレイとか恥ずかしいこともやるから言ってね?由季がやってくれるなら気持ち良いと思うし私は恥ずかしいけど、やってあげるからね」

そこまで読んで葵がなんでここまで嫌がったのか分かった気がした。つまり、葵はエッチを沢山したいということか。確かにこないだも私の誘いに乗ってくれたし、私的には葵の仕事のこともあるから体調とか考えないと、と思っていたけど葵はエッチに随分積極的なようだ。私は人並みにできれば良いと思っていたのでこれには私まで熱くなってくる。可愛い葵に求められて止まれそうにない。なんだかムラムラしてきてしまった。

私が抱きつくのを止めると葵は私に背中を向けて体育座りをして俯いて顔を隠してしまった。

「……なんで、読むの?……ばか。もう、死にたい…」

全部聞こえていたであろう葵は小さくそれだけ呟いて動かない。私は便箋を封筒に戻してテーブルに置くとそのまま後ろから抱き締めた。

「葵、エッチしたかったの?」

「……」

私の問いに葵は何も答えない。

「葵?」

「……」

それでも何も言わないから前に回って俯いていた葵の顔を優しく両手で上げる。葵は抵抗をしないからその顔はすぐに見れた。半泣きな葵は恥ずかしがりながら私を見てくる。

「私もしたいよ。葵に触りたい。葵がそんな風に思ってくれてて嬉しいよ」

葵は黙ったまま頷くだけだった。私はそれを見て唇にキスをした。もうこれだけでなんだかお互いにスイッチが入った気になる。

「ねぇ、今からしてもいい?」

「…うん」

葵が頷くのを確認してからベッドに向かう。葵を横にさせて私は上に四つん這いになりながらのし掛かる。首筋に顔を埋めて葵の匂いを嗅ぎながら首筋に舌を這わせた。

「ねぇ、葵はずっとエッチしたかったの?」

「んっ、それは……」

「葵、教えて?」

首筋を舐めながら葵の手を絡ませて繋ぐ。葵は体を震わせながら誘うように吐息を漏らすだけだ。

「んんっ!はぁ、……あっ、恥ずかしいよ。手紙、んっ、読んだから…分かるでしょ?」

「葵の口から聞きたい」

私は舐めながら耳まで近づくと耳をあま噛みしながらまた舐める。葵は繋いでいた手を強く握ってさっきよりも感じているように反応を大きくさせた。

「あっ、だめっ!んんっそれ、弱いっから、あっ!はぁんっ、ゆっ…っんん!ゆき…」

「葵?早く教えて?」

葵の弱いところなんかあの日でよく理解している。私は一旦舐めるのを止めると顔を撫でながら見つめる。もう葵は私に抵抗できない。目は私を熱く見つめて手紙に書いていた通り、虜のようになっているから。

「……エッチ……ずっとしたかったよ…」

やっと聞けた返答ににんまりと笑った。

「そっか。それで、感じてくれたの?」

「……うん。すごく。……ドキドキして、熱くなっちゃった」

恥ずかしがりながら目は私から離さない。普段はエッチなことなんかない葵が今は己の性の感じたことを赤裸々に告白してくれる。それが興奮を煽る。

「嬉しいよ。葵は、どこ触ってほしい?」

キスをして唇に触れそうな距離で問いかける。

「…全部。全部……触ってほしい」

「葵の良いとこじゃなくて?」

「そこも、……触ってほしいけど…」

「じゃあ、どこか教えて?」

またキスをして顔を離す。私の意地悪に葵は少し困った顔をしたけど顔に触れていた手を掴んで葵の体の上を滑らせるようにして胸に持っていく。

「首と、胸と、お腹と……あと…んっ」

胸から下がりながら下半身の方に私の手を動かす葵はもう体を震わせている。可愛らしくていやらしくて、それから目が離せない。葵のいやらしい姿に熱さが増す。

「あと、……ここも。中まで……全部触って?」

葵の大事なところで止まる手に葵も止まれないくらい興奮しているのが伝わる。誘惑のようなそれに本当に葵がほしくなった。私はその欲望に飲まれてしまいそうだった。

「いいよ。良いところも全部触ってあげる」

深くキスをして体に手を這わす。愛しくて愛しくて全てが欲しくなった。私の方が葵の虜になっている。唇を離す頃にはお互いに興奮はピークだった。もう我慢できない。

「由季、はやくもっと…して?」

「うん、分かってる」

葵に急かされて私は葵の体に触れた。

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